2008/5/22

ヘンリク・シェーファー 広響の首席客演指揮者に  ニュース

すこし情報が遅いのだが、広島交響楽団(首席指揮者・ミュージックアドバイザー:秋山和慶)の首席客演指揮者として、ヘンリク・シェーファーが就くことになった。ヘンリクは、ベルリン・フィルでヴィオラを弾いていたオケマン出身の指揮者。日本へは2003年の広響の演奏会でデビュー。東響へも、重ねて客演。大フィル、札響への登場も果たしている。ルツェルン・フェスティヴァルの日本公演では、なぜかヴィオラ奏者として来日している。

私は、2004年の東響の演奏を聴いているが、そのとき弾いたハイドンの「オックスフォード」とチェロ協奏曲は、いまでも記憶に残っているほど、素晴らしかった。その年の9月に、スダーンが音楽監督に就任するのだから、そのころの東響はまだ、いまのようなノーヴルな響きの少ない演奏スタイルとは遠かった。ただし、モーツァルトやハイドンの繊細な感情を織り込んだ演奏には、定評があった。30代半ばで、映画俳優のような麗人でもあったヘンリクは、そんな東響のよさをさらに高貴に仕上げていく。対向配置、ヴィブラート少なめの響きは、当時としては、まだまだ珍しかったかもしれない(たった4年前というのに!)。しかし、「オックスフォード」の演奏は、緒方光琳の蒔絵を思わせるような、気品の高い豪奢さがあって、東響としても出来の良い演奏だったはずだ。チェロ協奏曲は、ソリストが石坂団十郎ということもあって、これも印象深いものであった。

これまで、広響とのコンビは耳にしたことがないが、これだけ頻繁に呼ばれているということは、やはり、相性のよさがあるのだろう。また、東響への登場は、いずれも秋山時代であることを思うと、氏からの評価がとても高い指揮者ということになるのかもしれない。偶然かもしれないが、スダーン時代になってからは、シェーファーの東響への客演はないからである。至極、ノーブルな響きをつくれる人なので、昨年のショスタコーヴィチで大いに聴かせてくれた、広響のハイテクなサウンドを、表現に有効な機能性として高めてくれるに違いない。

ヘンリク・シェーファーは1968年生まれというから、ようやく40代になろうとするところ。ヴィオラ奏者から転じて、ベルリン・フィルで、アッバードのアシスタントを務めたのが振り出しで、前任者は、ハーディング。彼とはやや差が開いたが、決して実力では劣らない。この5月より着任し、16日に最初の演奏会を振ったようだ。

なお、広響は秋山体制の下、かつて広響でもコンマスを務めていたというエヴァルド・ダネルを、同じく首席客演指揮者に。「広響の出発である広島市民交響楽団の時代から20年にわたり実力を上げる事に奔走され現在の礎を作」ったという功績を称え、かつてのエリーザベト音大の学長、井上一清氏を名誉創立指揮者とした。氏は、指揮者としては既に引退しているらしいので、完全な名誉職である。

ヘンリクのことはたった一度の演奏会の印象だけではあるが、いまでも記憶に留めてあるほどなのだ。今後の活躍に期待したい。
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