2007/10/15

河村尚子、クララ・ハスキル・コンの演奏を聴いてみた!  クラシック・トピックス

ニュースで取り上げたので、コンクールでの河村さんの演奏を聴いてみました。他の2人と比べてみましたが、優勝は当然だろうという感じでしたね、相対的には。曲目が、他の2人がモーツァルトやベートーベンだったのに対して、ショパン(1番)だったというのも有利に働いたと思いますが、匂いたつ響きの芳醇さ、音色のカラフルさなどは、やはり一日の長があるという感じがしました。ミス・タッチなども多いのですが、これは3人とも多かったので相殺されます。

でも、先を目指すのであれば、この演奏で満足してはいけないだろうというのは、正直なところです。オンライン配信ですから、音質は十分ではないです。でも、すごく大事なところで音を濁らせていたり、タッチの重みが適切でない箇所が目立っています。ショパコンに向けて準備した甲斐はあったといえそうですが、ルバートなんかがすごく上手だということもないし、魅力的な部分と、そうでない部分の落差が大きすぎます。オケが下手で、弾きにくそうだということもあるのですが、それだけでは説明がつきません。駆け下りたり、上がったりする部分や、周囲から音を集めて響きを構築するときのコクの深さや、切れ味などは凄いのですが、ひとつずつ鍵盤を叩くようなときには、打鍵にムラがあることも多く、アクセントをつけてポンと叩くところでは、音がはずれ気味に聴こえてしまうことが多すぎます。

ベルクは、ベートーベンの4番ですが、これを弾くならば、もっと知的に洗練された演奏でないと駄目ですね。第3楽章は技巧的に追いつかない部分が多く、バタバタしてしまいました。第1楽章などは悪くないのですが、より響きに色彩感があってほしかった。それは、幅の狭い範囲でトレモロを叩くときなどに、顕著に感じられます。ヴァシリエヴァは、緩徐楽章などは表現力が高い感じもしましたが、急速楽章では表現が小さくなってしまいます。終楽章などは若さが出て、少し急ぎすぎてしまったと思います。

こうなると、レヴェルが低かったのではないかという考えも浮かんできますが、それを検証するためには、セミの演奏なども加味して考える必要があります。さっと聴く限りですが、このラウンドは魅力的な演奏が多いです。超高レヴェルというわけではなかったと思いますが、河村さんの優勝が相手に恵まれたものとするのはフェアでないと思います。ファイナルでは、演奏終了とともに大きな掛け声がわき、彼女の演奏を賞賛する熱気が伝わってきます。セミの演奏も、一枚抜けていると思います。このモーツァルトの演奏は、今回のコンクールで、彼女のもつ、いちばん美しいフォルムが拝めた演奏だったと言えそうです。全体を通してみたときに、彼女は、スイスの聴衆のこころを掴むに十分のパフォーマンスはみせたと言えるのでしょう。
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