2007/10/10

非売品 新交響楽団 ベートーベン 交響曲第5番  CDs

8日、素晴らしいマーラーの演奏を聴かせてくれた新交響楽団。実は・・・というほどのことでもないのですが、私は、このアマチュア・オーケストラを支援する目的で、維持会に加入しています。内部の人たちに何の縁もなく、維持会員になっている人は、もしかしたら珍しいかもしれません。

それはともかくとして、維持会員向けのサーヴィスとして、最近、はじまったと思われることがあります。というのは、過去の演奏会の模様をCD化したのを、手もとに置けるという特典です。一部の録音は、会場で一般向けに販売もしているのですが、多分、売り場には並ばないものもあると思われますね。システムは、こうです。維持会員になると、2年間有効のチケットが送られてきて、それを当日、受付で交換して演奏会をみることができるというのが基本です。でも、毎回来られるとは限らず、チケットを使いきれない可能性もあります。そこで、事前に席数確保のために送られてくる葉書にCD入手希望の旨を書いて送っておくと、当日、余分なチケットとCD1枚を交換してもらうことができるのです。入手できる録音が、何年前までのものだったかは記憶していません。さすがに、数十年前の思い出の演奏まで遡るというわけにはいかないようですが、私が貰ってきたCDは「2004年4月17日」の録音ですから、なんとか3〜4年前までは大丈夫ということでしょう。

こうして入手したCDは、上の日付の第185回定期演奏会のものに当たります。封をあけると当時のチラシの模様が、CDケースを彩っております。ジャスラックにも、ちゃんと登録しているんですね。中身を取り出すと、CD−Rにもジャケットと同じ図柄がややぼかし気味にプリントされて、きれいです。盤面には、「研究試聴用非売品」という文字が・・・なるほど、そういうことですか。音質も、意外ときれいで驚きました。曲目は、最初にR.シュトラウスの歌劇「ばらの騎士」組曲、つづいて石井眞木の交響詩「幻影と死」は全曲版の世界初演/世界初レコーディングとなります(他に一般的な録音は存在しないと思われるので、世界で唯一の音源ということになります)。最後にベートーベンの交響曲第5番ですが、これは当時の最新鋭だったクレイヴ・ブラウンによるブライトコップ新版による演奏というプレミア付きです。指揮者は、マーラーの名演奏の立役者となった高関健でした。

シュトラウスは、やはり、瑕が目立つ演奏です。でも、ワルツの部分はよくできていて、感興も十分です。弦の音色もきれいです。はまっている部分では、管の音色にも艶があります。「幻影と死」は、途中で打楽器が引っくり返ってしまったテイクはカットで、最初からやり直したほうの演奏が収まっています。これは現代音楽だからということで肩に力が入ることもなく、これこそ我らの音楽という自然さで演奏しているのは、さすが新響といえるでしょう。

そして、ベートーベンは、これを演奏しているのがアマチュアだなんていうことは、ほとんど信じられないような、しっかりした演奏です。冒頭、いきなりアイン・ザッツでこけてしまったり、いくつかの箇所で明確なミスがありますが、それ以外の部分では、音の厚み、機動力の高さ、構成感、音色の豊かさ、テンポやリズムに対するしっかりした感覚など、申し分ありません。「運命」の録音はいくつも持っていますが、そのなかでも、特に気に入ったもののなかに入ります。当時の潮流を踏まえて、ヴィブラートも控えめになっており、それを選択的に使うという芸当ができているのも、驚きではないでしょうか。

やや淡白なくらいの両端楽章に対して、たっぷりした中間2楽章という基本構図です。アンダンテ・コンモートは、正に歩くような速さで、細かい音色のちがいをアピールして、丁寧に聴かせていますが、荘厳な部分では一気にヴィブラートを解放して、厚みのある響きをつくっています。第3楽章のアレグロも、同様の傾向と言えます。スケルッツォの主題は3泊めを強調し、引っかかりつつ進むような演奏が興味ぶかいです。トリオ以降も隙がなく、低音の細かい動きもよく弾けています。スケルッツォの回帰から、それが解けていくときのピッチカートの集中力の高さ。徐々に弱くなって行く部分の、表現の粘りづよさにも注目。コーダから一気にもっていくときの迫力も素晴らしい!

終楽章は勢いがついて爽やかな演奏だが、それだけではないようです。高関さんの細かい指示に応えて、例えば弦の音色ひとつとっても千変万化で、聴きごたえがあります。さすが高関というところのアーティキュレーションの美しさ、フレージングも新鮮味に溢れている。バランスがよく、情報量の多さも特筆すべきもの。こういうレヴェルで、アマチュアの演奏を論じられるとは、ちょっと信じがたい名演奏といえるでしょうね。

新響の歴史のなかでも、エポック・メーキングな演奏会のうちのひとつであると思います。是非、維持会員となり、入手していただきたい。1口=1万円は小さくないのですが、これは4回分の演奏会A席の料金と同じですから、新響を1年間つづけて追っかけてみようということならば、決して高いとはいえないのではないでしょうか。
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