2007/5/22

アシュケナージ ピアニストとしての一線を去る  ニュース

ウラディーミル・アシュケナージが、ピアニストとして引退するという情報を、今更ながら知った。「音楽の友」誌によると、4月20日付けのイタリア誌のインタビューのなかで、明らかにしたという。原因はもともと手の故障(関節症)によるものらしいが、最近の彼はモーツァルトの弾き振りをやるぐらいで、実質的には、ほとんどピアノを弾いていなかった。それは指揮活動などが忙しかったせいでもあろうが、自分なりに満足のいかないところが多くなっていたのかもしれない。

最近のトピックとしては、プレトニョフがピアニストとしての活動に終止符を打っており、またしても、著名なピアニストが一線を去ることになった。

リストのハ短調ソナタに愛着をもっていたが、自分の手が小さいために弾くことができなかったことが残念だとある(リストのソナタはロ短調だけと思っていたが、ハ短調もあるのか、どなたかにご教示願えれば幸いだと思う)。

結局、録音はたくさんもっているのに、アシュケナージの実演は聴かないままになってしまって残念だ。高校生のとき、私は最初、アルゲリッチのファンになった。しかし、やがて、どこか満ち足りないものがあったのか知らないが、正反対のタイプであるアシュケナージの録音を、アルゲリッチのレパートリーに重ねて聴くようになった。うまく、バランスをとったものである。この精確無比なピアニストの演奏が聴けなくなることは、私にとって淋しいことだ。

ただし、面白いことに、録音では、アシュケナージはピアニストとしての活動を継続する。雑誌でも、息子のクラリネットと共演した録音を出すとか、シベリウスを入れるという計画が明らかにされている。

今後は、指揮者としての活動にウェイトが置かれる。私は、前にも述べたとおり、指揮者としてのアシュケナージにも一目置いているのだ。最近、シドニー響のポストに就くことが発表されているが、昵懇のEXTONレーベルを使って、奥さんの故郷であるアイスランドとともに、オセアニアからの情報発信が期待される。また、N響のポストは離れるようだが、ヨーロッパや日本でも、従来の活躍に拍車をかけていただきたいと願って止まない。
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2007/5/22

エヴェリン・グレニー 世の中には理解できないことがある!  期待のコンサート

この週末(5/26)、ミューザ川崎で、エヴェリン・グレニーのコンサートがある。欧米ならば、もう売り切れていても不思議ではないのだが、@ぴあの残券状況は「◎」だ。主催はホールで、「アンサンブル2007」という一連のシリーズの第1回だが、あまり広報が上手くいっていないように見えるので、すこし残念に思う。

エヴェリン・グレニーは、世界中でもっとも有名なパーカッショニスト、しかも美人ときている。そして、驚くべきは、耳が聞こえないのだ。「8歳の頃より自らの聴覚に異常を覚え、聴覚障害を患って、12歳の誕生日を迎える頃にはほとんど耳が正常に機能しなくなった」という。

世の中には、我々の想像もつかないことがあるものだ。目が見えない状態で、あんなにも正確に打鍵できるピアニストである、わが国の梯さんや辻井さんも瞠目すべき存在だが、音楽家にとって、耳が聴こえないなどというハンデは、ほとんど致命的であると思う。まだ1人で何役もできる鍵盤ならわかるが、グレニーの楽器は、マリンバをはじめとするパーカッションだ。つまりは、周りとのコミュニケーションがもっとも重要な楽器であろう。その秘密に迫った彼女の映画もあるが、まず、グレニーがどんな演奏をするのか、実地に確かめてみたい。

私は、彼女の演奏を聴いたことがあるわけではないので、誰かに薦めるというような言い方は適切でない。だが、彼女は世界中でもっともエキサイティングな打楽器奏者であり、ラトルをはじめとする、多くの優れた音楽家に認められた世界のトップ・パーカッショニストであることは、疑うべくもない。特に英国では、なんとラトルやコリン・デイヴィスと同等である、”Dame”の勲位を受けている。

彼女のことを囲んで、2人の優れたピアニストが、グレニーとともに舞台に立つ。1人は、グレニーとは20年来のパートナーであるというフィリップ・スミス。もう1人は、このホールのアドヴァイザーでもあり、特に玄人筋からの評価が高い小川典子だ。小川は国内よりも、英国での評価が芳しく、グレニーとも親交があるという話である。

曲目が耳慣れない作曲家の現代ものが多いので、二の足を踏んでいるファンも多いのかもしれないが、相手がパーカッションだから、そう構える必要はないと思う。小川さんの委嘱を受けて、この日のために作曲した菅野由弘さんは、エレキを使った音楽がお得意なはずだが、今回の曲はどうだろうか?

グレニーは耳が聞こえないのだから、良い演奏を聴けたら、スタンディングで讃えることにしよう!

 曲目等の確認には、こちらのページがよくまとまっているかも・・・
 http://www.marimba.org/ja/modules/events/index.php?id=760
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