2007/1/27

新日本フィルが、新シーズンプログラムを発表  ニュース

新日本フィルが、新シーズンのプログラムを発表した。この楽団は9月を期首とした運営をしているので、いささか早めの発表に思えるが、ライバルたちが新シーズンの会員を集めはじめているこのときに、NJPも黙ってはいられないというわけなのであろうか。

来シーズンも、アルミンクはひとつのテーマに沿って、年間のプログラムをデザインした。前もって発表されているように、そのテーマは「抵抗」だ。ここに来て、いよいよ骨のあるテーマとなった。プログラムを眺めてみると、なるほど、その気骨がきっちり感じられる構成になっている。目につくのは、やはり、このテーマでは外せないショスタコーヴィチだ。5番と11番の交響曲が演奏されるほか、コンマスの崔の独奏によるヴァイオリン協奏曲第2番がプログラムされた。これに加えて、ムソルグスキーの曲をショスタコーヴィチが編曲した、歌曲集「死の歌と踊り」というのも興味ぶかい。

シーズン冒頭は、J.シュトラウスの「こうもり」で幕を開ける。このオペレッタのどこが「抵抗」に関係するのかは、なかなか奥のふかい議論になりそうだが、さしずめ、見下された男による、精神の抵抗劇と読めばいいのかもしれない。これと並んで、マーラーの交響曲第7番「夜の歌」が、新シーズンの開幕に花を添える。この曲は失敗作とも言われた不評の作品であったため、時代への抵抗という意味がこもっているのかもしれない。単に、同時代人に理解されなかったというに止まらず、中身の問題もあろうかと思う。

アルミンク&新日本フィルは、マーラーをひとつの柱としているが、新しいシーズンは、この7番に加えて、4番が組まれている。後者の演奏会の前半には、J.ラクリンの独奏による、シベリウスのヴァイオリン協奏曲がプログラムされており、注目される。

アルミンクは、新シーズンのテーマに関してメッセージを出しており、べートーベンの「ミサ・ソレムニス」について、カトリックの教義で生活を縛ることへの疑問を抱いていた、という問題を提起している。一般的には、信仰心に燃えて、この作品を作曲したとされるだけに、アルミンクの解釈に注目が集まる。宗教に関するこころの闘いに注目する曲目としては、昨年のシリーズでは、最終的に外れることになった、ヒンデミットの「画家マティス」が含まれている。また、その究極に置かれるべきニーチェの哲学を素材とした、R.シュトラウスの「ツァラ」が定期のプログラムに上がった。

民俗的な曲目、作曲家も数多く取り上げられており、そのなかでもっとも多いのは、チャイコフスキーである。だが私は、ドヴォルザークの7番に注目する。この作曲家の曲目は、ほかに人気曲の新世界が、若きフルシャの手にかかる。ローカリティの抵抗という観点でいけば、ラロの「スペイン」交響曲とか、ムソルグスキーのシェヘラザード、それに、やや強引ながら、メンデルスゾーンの「イタリア」交響曲がある。

このように、国家や民族、政治、歴史の「抵抗」というレヴェルに加えて、こころの抵抗、地域の抵抗、信仰の抵抗、さらに、芸術の抵抗などが慎重にデザインされ、組み合わされていることは明らかだ。

また、NJPの誇る3人のコンマス陣が、それぞれ1曲ずつ、ソリストとして役割を担う演奏会も組まれた。崔、西江、豊嶋が、ショスタコーヴィチ、チャイコフスキー、コルンゴルトの独奏を務める。ほかに、clの重松がモーツァルトの名曲「クラリネット協奏曲」を演奏する回もあり、団員をフォーカスする企画が組まれたのも面白い。

全体的に見せ場も多く、アルミンク体制の好調さをよく示すプログラミングであろうかと思う。ソリストは若手が多く選ばれ、ラクリンはともかく、ハイペリオンの秘蔵っ子であるチェロのアルバン・ゲルハルト、ザルツブルク・デビューで気勢を上げるピアノの小菅優、仙台国際コンクール優勝が話題となったヴァイオリンの松山冴花など、フレッシュな顔触れが並んでいる。

なお来年は、小澤征爾の登場は予定されていない。
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2007/1/24

阪哲朗 シュトゥッツガルト歌劇場を指揮(予定)  ニュース

雑誌「ぶらあぼ」の海外公演の一覧を眺めていると、誰がどんなところで活躍しているかがよくわかる。ここにも、日本人の歌手の名前は、よく見かけるようになってきた。ロンドンで常連となっている藤村実穂子は当然としても、ウィーンで当たり前のように主要キャストに名前を連ねるようになった、バリトンの甲斐栄次郎。イタリアで活躍して、日本公演で見事な凱旋も飾った中島康晴などである。そして、ゼンパーオーパーへの出演が決まっている森麻季が、今後、ここに加わってくるのであろうか。

だが、世界の'OZAWA'と大野和士を例外とすれば、指揮者の名前はなかなか挙がってこないのが現状である。ところが、シュトゥッツガルト歌劇場の公演の指揮者として、阪哲朗の名前が現れた。目下、アイゼナハ歌劇場のポストに就いている阪だが、なかなか、その風聞は聴こえてこない。マネジメントのページによると、現地での評価は高いらしいが、一方、アイゼナハ歌劇場の予算が6割も削減されるという、厳しい便りも届いている。

さて、阪哲朗は当地では、ブザンソン・コンクールでの優勝経験があるせいか、フランスもの、もしくは、パリに集った作曲たちの作品が得意だとみられているのか、そのような曲目の指揮機会に恵まれているようだ。シュトゥッツガルト歌劇場で指揮する演目も、ドビュッシーの歌劇「ペレアースとメリザンド」である。最初の公演が4月29日なので、キャストなどは記載がないが、欧州でも売れっ子といえる演出チームであるヨッシ・ヴィーラー&セルジオ・モラービト演出のプレミエを任されるのだから、劇場としても阪のことを高く買っていることが推察される。4月おわりにプレミエを開けて、6月に再演する予定だから、勝負がかかる演目のひとつであろう。

実を言うと、下野に焦点を移す前は、阪に対して注目を置いていたこともあり、このニュースを取り上げてみた。1月のシティフィルのコンサートを逃したので、今年は関東では、秋の日生劇場の「天国と地獄」(但し、日本語上演)しか聴くことのできる機会はない。阪のオッフェンバックは面白いし(新国で『ホフマン物語』を2度にわたって指揮)、日本語上演でも楽しめるかもしれない。

阪は、かつてポストに就いていたベルリン・コミュッシェオーパーでの評価も高かったと聞くが、今後のアイゼナハでの活躍も楽しみである。苦難を乗り越えてほしい。今後、オペラでは「ボエーム」を指揮するという。
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