2006/9/28

ルツェルン祝祭チェンバーフェスト  期待のコンサート

ルツェルン音楽祭の日本公演は、今秋、もっとも大きな話題になりそうだ。で、普通はアッバード様の祝祭オーケストラのほうの話をするところだが、私はどうも、アッバードの音楽は好きでも、そのスペシャル・オーケストラには、あまり興味がもてないのだ。曲目もマーラーの6番や、ブルックナーの「ロマンティック」だから、敢えて、彼らに聴かせてもらいたい曲でもないだろう・・・。

一方、祝祭チェンバーフェストおよび室内楽のシリーズのほうが、内容的には、ルツェルンからの引越しムードが出ていて楽しみだ。15日のチェンバー・フェストTは、あまり券が売れていないようだから、援護射撃にはならないが、室内楽のほうをまとめて、ちょっと特集を組んでみる。

私は休日専門だから、15日の2つのシリーズに出かけるが、まずは、10月11日、ポリーニのリサイタルで幕を開ける。シェーンベルク、ベートーベン、リスト。見るからにカラフルな曲目が並び、ポリーニによって、どれだけゆたかな色彩が紡ぎ出されるかに注目したい。

10月12日は、フルートの名奏者、ジャック・ズーンを中心に、ハープの吉野直子、チェロのイズ・シューの3人による室内楽。バッハ、ハイドン、モーツァルトから、ドビュッシー、ルトスワフスキ、武満、シャポシニコフと、古典と近現代が混ざって内容が入り組んでいるが、知的好奇心に訴えるプログラミングといえよう。

15日の2つの「ルツェルン祝祭チェンバー・フェスト」は、売れてはいないが、マチネのほうが大注目だ。2本立てのプログラムは、音楽が本当に大好きな人ならば、こころから愛しているであろう曲目が並んでいる。まずは、ストラヴィンスキーの愛らしくもシュールなドラマ、「兵士の物語」の組曲。ジャズに強くインスパイアされたこの作品では、楽器たちの自由な響きが親しげに対話する。注目すべきは、アロイス・ボッシュのバス、ラインホルト・フリードリヒのトランペット、レイモンド・カーフスのパーカッション、そして、ウォルフガング・マイヤーのクラリネットだ。特に、これらの楽器がめまぐるしく舞い踊る「悪魔の踊り」がどのように表現されるかは見もの。

メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲は、さらに人気がある曲目だ。ヴァイオリンにコーリャ・ブラッハー、竹澤恭子、ラティカ・ホンダ=ローゼンベルク、アレハンドロ・カレーニョ。ヴィオラにヴォルフラム・クリスト、豊嶋泰嗣。チェロに堤剛、イェンス=ペーター・マインツ。老壮青若がバランスよく配されているが、竹澤・豊嶋・堤の「フェスティバル・ソロイスツ」が、アンサンブルの骨組みとして入っているのがポイント。もしかしたら、ここに日本人が入っているために券が売れないのかもしれないが、昨年のリサイタルで、彼らの素晴らしいアンサンブルは体験済み。乗ったときの堤は、すごいパフォーマンスをする。彼がどれだけ生き生きと唸れるかによって、アンサンブルの良し悪しも決まってくると思う。曲目は、作曲家16歳のときの作品だが、稀有の完成度があり、どこを切っても美しく、エネルギーに満ちた名曲だ。

ソワレは、ザビーネ・マイヤー、マリオ・ブルネロ、ポリーニが加わって、王道のプログラムを演奏する。とはいえ、マイヤーは1曲目のモーツァルト「クラリネット五重奏曲」、ポリーニはあとのブラームス「ピアノ五重奏曲」のみの出演。それぞれのファンには、もう一押しというところだろうか。光藍社の企画で毎年来日するヴァイオリンの、アントン・バラホフスキーがメンバーに加わっているのは意外だった。どぎついデザインの広告で、キワモノっぽい雰囲気が漂っている光藍社だが、ミシュクもバラホフスキーも、アニハーノフも、みな実力本位の音楽家だ。バラホフスキーは、チャイコフスキー・コンクール4位だが、堅実ながら味のあるヴァイオリン弾き。チェロのヴァレンティン・エルベンは、周知のとおり、アルバン・ベルクQの不動のチェリストである。ブルネロと1曲ずつをシェアするだろうが、2人のチェリストの聴き比べは堪らない。

次の週のウィーク・デイも、それぞれに見ごたえがある。先に示したフェスティバル・ソロイスツのアンサンブルの魅力を確かめるには、より小さな編成となる16日の公演がよい。ロッシーニ「弦楽のためのソナタ第3番」のプログラミングが光る。他に、モーツァルトの名曲たちがプログラムを飾る。

17日はブルックナーとブラームスの夕べ。クレメンス・ハーゲン、ブラッハー、クリストを中心に、バラホフスキー、ヘンリク・シェーファー、マインツというメンバー構成。シェーファーは現在、指揮者として頭角を現しつつある人で、東響など国内のいくつかのオケに客演。端正で、美しい音楽をつくる。是非、KSTでも振っていただきたい。もとヴィオラの出身だと聞いていたが、22歳でBPOに入団し、アッバードの下で弾いていたときの腕前が聴ける珍しい機会となる。

正しく、見どころ満載! この前後、あちこちのブログを覗いてみても楽しいだろう。面白い記事があったら、是非、ご紹介を!
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2006/9/25

パレルモのマッシモ劇場がやってくる! A  演奏会

マッシモ劇場の公演、既にBUNKAMURAのホームページで、詳細が発表になっていた。

注目のヴェルディ「シチリア島の夕べの祈り」は、6月30日と7月2日の2回上演となるようだ。26日のカヴァ・パリで初日を迎え、30日からシチリアとカヴァ・パリが交互に上演されて、3日まで続くというタイトなスケジュールだ。歌手は違うが、オケとコーラスには負担だろう。

演出は、ニコラス・ジョエル。元来、それほど奇を衒わず、美しい舞台をつくるといわれる演出家なので、変な舞台を見せられるリスクは少ないと思う。当地では、既に舞台にかかったプロダクションで、やはり、美しい舞台だったということである。

指揮者のステファノ・ランザーニは、国内でもお馴染みの存在だが、ラ・ヴォーチェの公演(ランメルモールのルチア)で来日したのを聴いたことがある。そのときは、緊張感に満ちたドラマを聴かせてくれて、良い演奏になった記憶がある。あれから2年、ランザーニの評価は順調に伸びている。

肝心の歌手は主要三役のみの発表だが、超一流という感じではないものの、伸びざかりの面白い時期にある歌手が揃っている。ウラディミル・ストヤノフ、オルリン・アナスタソフの男性陣は、聴いておいて損はない。ストヤノフについては、ヴィオッティの追悼盤となったフェニーチェ劇場のマスネ「ラオールの王」のディスクで声を聴くことができる。アマリッリ・ニッツァはよく知らないが、ネットで調べた限り、声よりも容姿において楽しみな存在のようである。

値踏みすると、ちょっと高すぎるようには思う。国内ではなかなか観られない演目を、フレッシュで有望なキャストで楽しめる点を、どこまで評価すべきか。会場は、オペラをやるには音響的条件が貧弱で、マイナス要因。スケジュールも理想的ではない。S席は42,000円で、国内のオペラなら、上等の席で3つは観られる。
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