「十善戒
一
不殺生(ふせっしょう):むやみに生き物を殺さない
「生きとし生けるものを殺さない」ということです。
すべての生けるものはみな同じ命を持ち、同じ命を皆が分け合っているのだということです。その生命をより良く生かしていこうと教えます。一方でわたしたちは日々、多くの生きものの命を戴かなければ生きていけぬ存在です。その事実をしっかり見つめなめればなりません。
ニ
不偸盗(ふちゅうとう):盗みをしない
「盗んではいけない」ということです。
新しいものが満ちあふれる毎日。大量生産・大量消費といわれるこの時代は、わたしたちの様々な欲望を刺激します。その刺激はやがて自分のものと他人のものの区別まで見失わせるのかもしれません。また、「ものを盗む」というだけではなく、それぞれの持ち味、長所なども含め、相応の徳分をも含めて奪われてはいけないことを示しています。
三
不邪婬(ふじゃいん):男女の道を外さない
「不倫な関係をしてはいけない」ということです。
売春、買春、援助交際に出会い系サイト・・・。最近は後先を考えないで淫らな行為に走る人が多く、しかも低年齢層まで浸透しつつあります。しかし、男女の間柄はそういう問題ではありません。相手への気づかいや思いやりのない関係は必ず不幸へと結びつきます。
四
不妄語(ふもうご):嘘をつかない
「嘘をついてはいけない」ということです。
世の中の色々なところで嘘、偽りがはびこっていると思いませんか。驚くことに、「だまされるほうが悪い」と堂々と開き直る人もいます。一度の嘘は次々と重なっていくものです。そしてその嘘によって信用は一瞬にして崩れ去り、取り戻すには大変な時間と努力が必要となります。最初の四つは「淫・盗・殺・妄」一括りにされ、殊更重要な位置におかれている。
五
不綺語(ふきご):心にもない綺麗ごとも言わない
「お世辞など、無益なことを言わない」ということです。
基本的にゴシップ、うわさ話は楽しいものです。しかし、その話は本当なのでしょうか。そのようなことを話す意味があるのでしょうか。もしかしたら、あなた自身が周りの人からうわさされているかもしれません。
六
不悪口(ふあっく):悪口を言わない
「悪罵しない」ということです。
日本語はとても美しい言葉なのですが、相手を不快にさせる言葉を遣えば、瞬く間にいさかいが生じます。逆に優しい言葉を遣えば、周りを和ませてくれます。
七
不両舌(ふりょうぜつ):二枚舌を使わない
「二枚舌を使わない」ということです。
食い違うことばかり平気で言えば信用も失い、場合によっては相手にも損害を与えかねません。「おもいやりのある言葉を話そう」と心がけるべきです。
八
不慳貪(ふけんどん):欲張らない
「むさぼらない」ということです。
物質社会に生きるわたしたちは、生活を便利に、快適にしてくれる「物」によって豊かさを享受しています。しかし、逆にいえば物が溢れ、物に執着し、そういった物無しには生きていけないともいえるのではないでしょうか。「お金さえあれば幸せに暮らせる」と多くの人が勘違いしている日本で、今、何が求められているのか深く考える必要があります。
九
不瞋恚(ふしんに):憎むことをしない
「怒らない」ということです。
ムカツイたり、キレたり、暴力をふるったり・・・。その怒りはどこからくるのでしょうか。悪いのは本当に相手だけなのでしょうか。一時の怒りに我を忘れると、取り返しのつかない事件を起こしかねません。
十
不邪見(ふじゃけん):間違った考え方をしない
「間違ったものの見方」ということです。
常に自分は偉く正しいけれど、「周りの奴は馬鹿だ」と思っている人がいます。そして悪いことに、恨みは人一倍です。皆さんの周りにも一人や二人、こんな人が見受けられることでしょう。間違った考え方をせず、正しい判断を心がけたいものです。」
人は、戒め、しらないと、破滅する。

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