夏休み最後の日曜日、帰郷していた隣家の小学生が小さな水槽に入れて釣ってきた魚を見せに来た。数匹のフナと一匹のドジョウ、その中にマタナゴらしき魚が一匹いた。タナゴならばレッドリストに指定されている絶滅の恐れのある種である。二枚貝に産卵する性質を持つタナゴは護岸工事や農薬などで姿を見ることが殆どなくなった。
最近の子どものように家族旅行や学校から海やキャンプに行かなかった時代、夏休みの遊びに魚獲りがあった。友達数人で近くの鈴川でよく遊んだ、豊田堰は6月から10月はじめまで農業用水として堰き止められるため本流の水量が少なくなり、素手で魚をつかむことが出来た。ときにはナマズを獲ることもあった。これはでっけいから三世だなとみんなに自慢げに見せた。
鈴川には魚の種類も多い。ウナギ、フナ、ナマズ、オイカワ、ヤツメウナギ、コイ、タナゴ、ドジョウ等々。4月には鮎の稚魚が遡上してきた、8月にはソーメンことウナギの稚魚が流れのゆるいところでよく見た。
あるとき友達が早川に釣りに行こうと言いだした、青竹にテグス餌はミミズという簡単な道具で出かけた。
早川は村境を流れる川で名とは反対にゆっくりと流れていた。川幅6メートルくらいだが釣れる魚の種類は多かった、よくタナゴが釣れたことを思い出す。
隣の小学生は夏休みの思い出をつくって、帰って行った。
カモの親子 8/30鈴川にて
