4月20日投稿のエビネについて、叔父より図書、伊藤五彦著「エビネとその仲間」(昭和44年、313頁)をお借りし調べたところ、御蔵島ニオイエビネは自然交雑固体の少ない、日本に自生するエビネ属の17種のうち1種と分かりました(世界150種)。画像のニオイエビネは、昭和54年三池えびね菌研究所にて購入。
図書によると
御蔵島の厳しい地形と生物相を見るとき、島民の風俗習慣と相まって、御蔵島は、まさに東京都内に残された秘境といえよう。この御蔵島こそ、伊豆七島の固有種、香り高いニオイエビネの宝庫であって、交通の不便なことがその維持に幸いとなっている。この島に自生するニオイエビネの株数は1〜2万株を遥かに上回るものと推測される。島の南部に多く、特に黒埼高尾山には大きな群落をなしている。ニオイエビネのほか、エビネ、キリシマエビネ、ヒロハのカラン、ナツエビネ、近縁属のガンセキランが分布するが、数が少なく、ニオイエビネの自生が圧倒的である。
そのためか、七島中の他の島で見られるようなエビネの自然交雑固体など殆ど見られない。現在村では全面的にニオイエビネの採取を禁止している。御蔵島では、ニオイエビネの保護にのみ終始せず、ニオイエビネ生産組合を設立し、自生地の有利な環境を生かして、積極的に人工繁殖を行っている。