暦の上では5月5日は立夏である。庭に「ウツギ」の花が咲く頃になると、不思議と「夏は来ぬ」の歌詞が思い出される。
夏は来ぬ 佐々木 信綱 作詞
小山 作之助 作曲
1 卯の花の におう垣根に 時鳥(ほととぎす)
早もき鳴きて しのび音(ね)もらす 夏はきぬ
5 五月(さつき)やみ 蛍とびかい 水鶏(くいな)鳴き
卯の花さきて 早苗植えわたす 夏はきぬ 私は「卯の花の匂う垣根に・・・」を以前から疑問を持っていた。ウツギの花は鼻をつけても匂いません。なぜこの歌詞が出来たのかと不思議でした。調べているうちに興味深いことが分かりました。万葉集には相当数時鳥とセットで読まれていること、万葉集に垣根の卯の花が出てきます。
春されば卯の花ぐたし我が越えし妹が垣間は荒れにけるかも
ほととぎす鳴く声聞くや卯の花の咲き散る岡に葛(くず)引く娘女(おとめ)
第十巻 作者不明
卯の花のにおう垣根」の卯の花(ウツギ)が香るのではなく、白い花が美しく映える状態をいう。ウツギに香りはない。においとしては香りより色の意味合いのほうが古い。万葉集では花のにおいは、もっぱら色の表現に使われた、香りは殆ど触れられていない。それが古今和歌集になると、花の香りが注目され、においとしてもとらえられている。源氏物語になると色の美しさが「におひ」と表現されている。・・・・』 (園田学園女子大学 源氏物語に関する論文集より)
ユキノシタ科ウツギ属の落葉低木
幹が中空であることからウツギの名がある。又、卯月(陰暦の4月)に咲くからともいう。
別名のウノハナはウツギノハナの略称である。
