2009/7/15

ベートーベン・トリオ・ボン 17日に東京公演!  期待のコンサート

ベートーベン・トリオ・ボンは、ピアニストの濱倫子と、ベートーベン・オーケストラ・ボン(GMD:ステファン・ブルニエール)のコンサートマスター、ミハイル・オヴルツキ、同オケのチェロ首席、グレゴリー・アルミャンによって構成されるピアノ三重奏団。濱についてはこのページでも何回か取り上げているし、アルミャンとのデュオについても触れてある。2人はカールスルーエ音大時代からのユニットであるが、そこにオヴルツキを加えたトリオが結成されてからは、さほど時間が経っていない。

このグループがいま、来日している。濱はもちろん日本人だが、現在、ドイツのカールスルーエ在住で、フランスやドイツなどで活動しているというから、「来日」というのが正しかろう。これまで1年に1回くらいは、日本でいろいろな形で演奏を披露してきた。初めはアルミャンとのデュオ、ソロ・リサイタルも2回。別のパートナーとのピアノ・デュオによる公演。そして、トリオによる日本公演は、今回で2回目となる。これらのうちのソロ公演(2回目)と、デュオの録音については、当ページでもレビューが読める。

今回、トリオは関西と九州ではじめて公演をおこない、関東では17日の公演に先駆けて、川崎でも公演が組まれている。また、濱とオヴルツキは、別に1公演を過ごした。

このトリオの実力については、ANTESというドイツのレーヴェルから発売されているベートーベンとメンデルスゾーンの録音で知ることができるが、他人に薦めるのに恥ずかしくない優れた演奏を披露してくれている。特に、トリオ名に負けることなく、ベートーベンのトリオがいい。ダイナモとなる濱のピアノのつくるカラフルなカンバスに、ロシア出身の2人の音楽家が自由自在に筆を滑らせ、彼らにしかない個性的な演奏となっている。以前にアルミャンとのデュオについても同様のことを書いたとおり、濱のピアノがフォルムを守り、しっかりと2人のオトコを繋ぎ止めてくれることで、バランスのとれた演奏になっている。

ベートーベン「ピアノ三重奏曲第3番」の第1楽章では、最初のシーケンスでは舌足らずなフレーズが抜群のユーモアを放って輝き、次に同じようなシーケンスを繰り返すときには、ぐっと影が射すような演奏をしている。演奏が進むにつれて、この入れ替えが頻繁におこなわれるようになり、その度に作品が深さを増していく。非常に自由な演奏なのだが、楽曲の構造はしっかりと踏まえられ、知的に演奏が組み立てられていることも、また間違いないのだ。この楽章の最後で、対位法が爆発したようにピアノがうなるラインの作り方、そこから膨張と収縮を繰り返しながら、ミステリアスに終わっていく部分の演奏も秀逸だ。

第2楽章のヴァリュエーション仕立ては、3人の音楽性のユーモアと詩情が噛みあって、まことに味わいのふかい演奏になっている。メヌエットだが、スケルッツォ的なユーモアが感じられる第3楽章は、モーツァルトの重唱のような快活な表情が秀逸。第4楽章はアレグロ・アパショナートを生かした、ベートーベンらしい渦巻くような演奏が特徴で迫力があるが、一方、ガスの抜き方もうまい。

17日の公演では、メンデルスゾーン(1番)、ショスタコーヴィチ(1番)、ベートーベン(4番)に、ピアソラが組み合わされた多彩な内容となっている。これは敬愛するベートーベンとともに、オトコ2人の故郷であるロシアを代表する室内楽の作曲家に敬意を表したものにちがいない。19:00開演で、会場は浜離宮朝日ホール。私としては、このトリオの実演は初めてだが、自信をもって推薦できるコンサートである。
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