2006/7/30

小森輝彦&幸田浩子 デュオ 7/29  演奏会

マゲローネの前に、小森のもうひとつのリサイタルを聴いた。今回は、ソプ
ラノの幸田浩子とのデュオ・コンサートで、トッパンホールの企画。「真夏の
夜のセレナード」と題された。伴奏には、マゲローネのパートナーである服部
容子が、ここでも相務める。実質的には、この三人によるトリオ・コンサート
といって間違いではない。

またまた、小森のメールマガジンによれば、小森・幸田にホールより指名が
あって、中身は自由にということだったらしい。しかし、よくできたプログ
ラムで、名曲ばかりが並んだ内容でありながら、重唱と独唱がバランスよく
楽しめる構成の上に、前半のモーツァルトの中身が、リゴレットの筋と照応
できる点も面白い。

今回、マントヴァがいない分、前半のドン・ジョヴァンニが、そのイメージ
を肩代わりする。しかも、そのバリトンが、今度は娘を守る立場にまわって、
しかも、その想いを理解できずに、その気はないとはいえ、殺害してしまう
のだから皮肉だ。ここでは、他の登場人物が登場しないために、結局、リゴ
レットが自らの手で娘を殺してしまうということが、はっきり提示される
ことになるのだ。

2人の声づくりからしても、やはり、「リゴレット」がメインで考えられ
ていたことは間違いない。演技力のある二人だけに、演出などはなくとも、
上のようなプログラミングの意図が、思わず納得できてしまうのは、さすが
優れた歌手同士による、コミュニケーションの素晴らしさである。こうして、
父娘のドラマとしてみたとき、リゴレットは本当にアイロニカルで、厳しい
人間ドラマを刻む。そして、それが生み出すドラマの緊張感に、観るものは
とりつかれる。

詳細は、次の記事に譲るが、稀にみるエキサイティングで、感動的な公演で
ある。幸田は、以前に「ホフマン物語」のオランピアで、素晴らしい歌唱を
披露してくれたが、ヴェルディが得意というイメージはなかった。しかし、
このリゴレットでは、安定したテクニックが効いて、非常に深みのあるキャ
ラクターが表現される。あのときよりも、声は良い方向に熟してきている。
小森とともに、声量はホール中に響きわたるほどで、2人が身体を寄せて、
競いあうように口を開く場面の、緊迫した表情は、実にスリリングだった。

(Aにつづく)

【プログラム】

1、モーツァルト 歌劇「フィガロの結婚」より
 アリア「ため息つく間に」(伯爵)
 アリア「恋人よ、早くここへ」(スザンナ)
 二重唱「ひどい奴だ」(伯爵、スザンナ)

2、モーツァルト 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」
 セレナード「窓辺に出でよ」(DG)
 アリア「恋人よ、さあ、この薬で」(ツェルリーナ)
 二重唱「お手をどうぞ」(DG&ツェルリーナ)

3、ヴェルディ 歌劇「リゴレット」
 シェーナ「奴は刃で刺す・・・2人は同じ」(リゴレット+ジルダ)
 アリア「お慕わしい方の名は」(ジルダ)
 アリア「悪魔め、鬼め」(リゴレット)
 シェーナと二重唱「話しなさい、もう誰もいない
           ・・・日曜ごとに教会で」(リゴレット&ジルダ)
 シェーナと二重唱(フィナーレ)「愛する男の身代わりになって」(同上)
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