コラムは、面白い。「よみうり寸評」で、映画の話。
「「死は門だ」「いってらっしゃい。また会おうのォ。
そう言って何人も送り出した」――火葬場の職員で銭湯の常連のセリフ
映画「おくりびと」で
名脇役・笹野高史に語らせたこんなセリフが心に残っている。
この映画の海外の題名が「Departures」というのもうなずける。
死は旅立ち、門出なのだ
本木雅弘が主演する「納棺師」の物語。
チェロ奏者だった主人公は楽団の解散でやむなく故郷山形へ帰り、
思わぬことから亡くなった人の体を清め、棺に納める仕事につく
初めは抵抗を感じながら、職を通じて数々の生と死、そして自分を見詰めて行く。
「汚らわしい」と言いながらも、次第に理解して行く妻……
実は身内を亡くして間もない筆者には見たいテーマではなかったのだが、
ユーモアあり、生と死に思いあり、舞台は庄内平野、背景に白い鳥海山がいい。
感動の涙で心を洗われた
日本の地味な習俗を描いたこの作品が米アカデミー賞・外国語映画賞に輝いた。
おくりびとバンザイ!おめでとう!」
門か、死は、別の世界の門なかもしれない。
映画で知る、葬儀の場面と、死の最後の作法が必要なのかもしれない。
火葬場の職員が、最後の言葉は、本当の最後の言葉をかけられるのだろう。

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