Lusty's Episode #01
誰も知らない世界創生の話
ラスティは、この世界では希少種の竜人で、獣人ばかりのこの世界でも、ひときわ異彩を放つ存在である。
彼は、この世界の巡視と治安維持を日常の生業としている。治安維持を行って、誰から給与を貰えるわけではない。お金のために治安維持をしているのではない。この世界が好きだから、ただそれだけだ。
そんな、彼の好きなこの世界は様々な文化や時代背景の入り乱れた、パッチワークのような様相を呈している。何故この世界がこのような多様性を持っているのか、そもそもこの世界は、一体誰が、どのようにして創り上げたのか、彼は、ラスティはそれを知りたかった。
世界というのは、この世に1つではない。それは彼も知っていた。何故なら、彼は元々この世界の住人ではないからだ。彼がかつて住んでいたのは人間が支配する、人間の世界−Earthia(アーシア)という世界だった。アーシアには科学文明が発達し、電気や内燃機関を用いた交
通機関が整備され、日常生活の多くを機械に頼っていた。竜人である彼は、そこでは人間として生活しており、その真の姿、真の力を解放することはなかった。
一方、彼がやってきたこの世界には、そういった科学的な産物はごく僅かであり、また、存在する機械類も動力源を断たれており、既に廃墟や遺物と化していた。
この世界、名前すら知らないこの世界の事を、ラスティは知りたかった。
彼の知的好奇心の延長上に、今の彼の仕事は存在している。
彼は毎日のように世界のあちこちを飛び回り、世界創生の手がかりを探すという目的の、そのついで(というのははばかられるが)に、目前に起こったトラブルに対処している。
この世界について、彼がいくつか気づいたこと、わかったことはまだほんの僅かである。
世界創生の謎を解き明かす時は、まだ、遠い。
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ラスティのメモ:
・この世界は、一般的にWildia(ウィルディア)と呼ばれている。
・ウィルディアは複数の別の世界の特徴をもった幾つかの土地(ランド)で構成されている。
・世界は人為的に作られたものであるが、誰が、何故、どのような理由で作ったのかは不明。
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Lusty's Episode #01 誰も知らない世界創生の話 End

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