私としては予想していたことだが、井原さんは負けてしまった。ここに何を見るか?
岩国市長選:福田氏が初当選 基地「移転容認」に民意
米軍再編に伴う空母艦載機部隊の岩国基地移転を最大の争点にした山口県岩国市の出直し市長選が10日、投開票され、移転容認派で前自民党衆院議員の新人、福田良彦氏(37)=無所属=が、移転反対の前市長、井原勝介氏(57)=同=を破り、初当選した。06年3月の住民投票と同年4月の市長選で「移転反対」を示した民意が「容認」に転じた。福田氏は移転問題に関する国との協議に入る構えを示しており、近い時期に移転受け入れを表明する見通し。
事実上、政権与党が支援した福田氏の勝利は、福田氏の衆院議員辞職に伴い、4月27日に投開票される衆院山口2区補選にも影響しそうだ。
国は移転反対の岩国市に対し、06年12月に新市庁舎建設補助金約35億円の支給を凍結した。また、米軍再編の関係自治体に払う再編交付金の対象からも岩国市を外している。福田氏は国に、新庁舎補助金約35億円と、今後10年で約134億円が見込まれる再編交付金の支給も求めていく考えだ。
福田氏は選挙戦で、借金1000億円を超す市の財政再建を「最大の争点」と強調。「今のままでは破綻(はたん)する。国や県と協議できるリーダーが必要」とし、教育・医療の充実や、民間空港再開による経済活性化などを掲げた。移転問題に関しては「国と騒音や治安問題などを個別具体的に協議する」と述べていた。
対する井原氏は艦載機移転に「現計画では市民の不安を払しょくできない」と反対の姿勢を貫いた。新庁舎補助金を凍結した国を「民主主義と地方自治を危うくし、乱暴」と批判してきたが及ばず、町村合併前の旧岩国市時代から4回連続の当選はならなかった。
出直し市長選は、新庁舎補助金凍結が発端。井原氏は、合併特例債で穴埋めする予算案を市議会に4度にわたり否決されたため、昨年末に「民意を問う」として、予算の成立と引き換えに市長を辞職していた。
投票率は76・26%と前回(65・09%)を上回った。当日有権者は12万1717人。【大山典男、内田久光】
毎日新聞 2008年2月10日 23時06分 (最終更新時間 2月10日 23時58分)
まず、はっきり言って今回の選挙は
公正なものとは言えないだろう。
中央政府の意向が非常に強く反映した選挙結果だと言える。岩国市民にしてみれば、補助金を凍結されて市が財政破綻すれば、行政サービスが低下するのは目に見えているのだから、間接的に
脅された状態で投票したようなものだ。
しかし、井原さんについては、(応援していた人や井原さんには)悪いが丸坊主になった時点で私は「ダメだこりゃ」と思ってしまった。あんなに悲壮感漂わしちゃダメだ。「手詰まりです」と言っているようなものじゃないか。そんなこともあったので、選挙前はこの件について何も書く気がしなかった。
しかし、そうは言っても、やはり政府のやり口は民主主義の理念に反するだけでなく、地方自治制度自体を否定するようなやり方であり、容認できるものではない。
ここで少し振り返ってみれば、この種の圧力はずっと前から存在しており、
地方交付税と補助金は中央政府による地方支配の道具になっていたのだが、ここ数年で、それが特に露骨になってきた感があることに気づかざるをえない。
私が今回のエントリーを上げたのは、こうした
中央政府の圧力による支配がこれだけ露骨にまかり通るようになった大きな原因として、小泉政権下で行なわれた
「三位一体改革」、とりわけ地方交付税の削減にあるのではないか、と言いたかったからである。
2000年には22兆円ほどあった地方交付税は、最近は15〜16兆円程度まで削減されている。この削減によって地方自治体の赤字は膨らんでおり、夕張市は財政破綻し、北九州市では生活保護を打ち切られて「おにぎり食べたい」と書き残した餓死者を出した。これも結局は市や県の財源がないから(節約のため!)である。
今回の岩国のように
補助金が停止されただけで瞬時に自治体が活動停止に追い込まれる状況も、上記のような事件と同じ背景があるのではないか。
もしそうなら、今回の一連の事件は、単に
単発の問題だと考えてるだけではいけない問題だと思う。交付税削減を中心とした
「地方への負担の押し付け」が続く限り、同じことは何度でも起こりうるのだから。
これはもっと大きく括ってしまえば、今や随所で出てきている
新自由主義政策の弊害の一環であり、
新自由主義による民主主義と地方自治の破壊であると位置づけることができるだろう。
※ わざわざ言うまでもないが、原因というのは大抵複数のものが絡み合っている。「持続的に地方自治を妨げる要因」として、今回は交付税削減に着目してみた。
つまり、「補助金なしでもナントカなる」という状態で選挙するのと「補助金なしではどうしようもない」という状態で選挙するのでは、同じように中央政府の干渉があるとしても、その意味はかなり違ってくる、ということだ。
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