2006/5/31

嫌われ松子の一生 〜まげて、のばして〜  ときどきシネマ

そりゃまあ人生いろいろ、とは言う、ワケですが。
あまりにも悲惨だと本人は麻痺するのか、周りが見るほど不幸でもないのか?
・・・・今日は午後を有休にして、「嫌われ松子の一生」を見に行きました。・・混んでましたなあ^_^; クリックすると元のサイズで表示します
前作で、めちゃ面白かった『下妻物語』の中島哲也監督監督・脚本ということで、絶対見たい映画の一つでした。(※私は原作読んでいません)
実際見ると・・なんか、きれぎれに聞いていたり目にした以上の悲惨人生なんですよね、松子さん・・。
この映画のポップでカラフルな映像とミュージカル仕立て、CG満載の回想や妄想シーンがないとあまりにも悲愴すぎて、たぶん見ていられないと思う・・。

●以下、いつものようにネタバレです。見るなら読むな。読むなら文句言うながこのブログの鉄板オキテですよ。




昭和22年・福岡県大野島生まれだった川尻松子(中谷美紀)
荒川の土手で、遺体となって見つかり、今まで松子の存在をしらなかった、松子の甥にあたる笙(瑛太)が荷物の整理を父であり松子の実弟(香川照之)にムリヤリ命じられて行うことからこの映画は始まる。

得体の知れない住人ばかりの安アパートの汚部屋でひとりで暮らし、ゴミとほこりにまみれて太り、土手で謎の死をとげた松子。 しょっぱなから「なんでこんな事に?」と引き込まれる。
最初、父の言いつけ通り中学の教師をしていたのだが、修学旅行での生徒の窃盗事件をきっかけに(・・このきっかけの運の悪さというか人間模様がスゴい。そいでこの窃盗事件の教え子、龍が、15年ほど後に松子の最後の恋人になる。その伏線でもある。)家出し、転落していく。そしてただ故郷の川に似た荒川を眺め続け、最後は遺体で見つかる。

それがもー、あまりにも悲惨で、どこまで行くんだ?という位の転落人生なのである。

もと中学教師→ダメ男(クドカン)に殴られながら貢ぐ→ダメ男の友人のサラリーマン(劇団ひとり。余談ですがこの劇団ひとりとのベッドシーンが妙に生々しい・・笑)の愛人→トルコ嬢(※現代の「ソープランド」の事ですが、映画では昭和50年代なので頻繁に「トルコ」という言葉がでてきます)→雄琴で風俗→同棲していたヒモ(武田真治)を殺す→理容師(荒川良々)と同棲(※同棲中に逮捕)ムショ生活→ムショで資格をとり美容師→ムショで知り合った友達、めぐみ(黒沢あすか)との再会→かつての教え子でヤクザになった龍(伊勢谷友介)とも再会→なぐられながら同棲→ヤクザに巻き込まれる→龍はムショへ

・・・・・・というすさまじさである。

と に か く 
男運がものすごく悪い。殴るとかヒモ体質とか浮気とか・・。

ただ、松子の場合背景がやはりあるんですね。
生まれつき体の悪い、ほぼ寝たきりの妹だけが父に愛され、かわいがられ、ずっと孤独感を抱いていたのだ。
(そして少々性格もゆがんでいってると思うなあ)

愛に飢えていた・・のだと思う。

映画のなかに
「・・殴られても、一人ぼっちより、マシ」とつぶやくシーンがあって、なんだかたまらなかった。

本当はシアワセになりたいし、お姫様になりたい・・そういう妄想(というか幻想)がある。

でも愛されたいから・・淋しいからと、男に利用され、殴られる人生なんて、絶対イヤだけどなあ・・。そんなの破滅だよ。

父に愛されたかったエピソードとして、子供の時、出掛けた先で芸人のマネをしてヘン顔をしたとき、はじめて父親(柄本明)が少しだけ笑う。
それがうれしくてうれしくてうれしくて、ことあるごとにヘン顔をして、笑わそうとする。

そういうクセがついてしまったため、何か精神的に追いつめられたとき、松子はその顔をしてしまうのである・・・

が、後半、かーーなーーりーー追いつめられてるシーン満載だったのに、ヘン顔しなかったなあ・・・(^_^;)
これ、ちょっと不満だなあ。 前半の説明部分にしかやってなかったような。

とにかく、ややコメディチックに描いてる部分とか妄想や、昭和の時代(40年代から50年代)を音楽とニュース中心で描く手法で、「ものすごい悲惨な人生」をグロやエロやえげつなさだけに走らないで見せる演出ではあるかな、と思う。クリックすると元のサイズで表示します

「トルコ」のシーンが結構面白かった。ミュージカル仕立てなんだけどシルエットにうかびあがる風俗店での模様(ちなみにトルコ嬢仲間はボニー・ピンク、トルコの店長はスカパラの谷中さんで、これがかなりはまり役)とか。いや、刑務所での生活もミュージカルなんだけどね。こういう演出はまあ、面白いのかも。

刑務所シーンって、女囚役のAIのプロモみたいだったけどね。


「下妻物語」でも回想シーンや妄想シーンにアニメがでてきたりしてスピード感がよかったんだけど、私は正直いって嫌われ松子での演出はやや過剰に感じたかも。

この悲惨な人生での救いは、刑務所で知り合い、友人になっためぐみの存在だと思う。
めぐみは出所後、ストリッパーを経てAV女優になり、美容院で松子と再会して親しくなるのだが、彼女が本気で松子の心配をし、18年後、めぐみはAV会社の社長になり、かたや落ちぶれて無職となり変わり果てた松子にまた再会したとき、
「松ちゃん!!!今なにやってるの??美容師は??うちいまヘアメイクいないの!うちで働かない?」
とムリヤリ名刺を渡すシーンは、じーんとした。

・・つーか社長になっためぐみ、存在感&貫禄ありすぎ(^_^;)

松子にとってめぐみとの再会が「立ち直れるかも」のきっかけだったんだけどな。
これがどうなるのか・・・・・がこの映画の最後のキモでもある。
キモなんだけど・・・

結果的に、あまりにもくだらない死に方なんですね。松子。
くだらなくってどうしようもない、やりきれない。


死の真相でやりきれなさだけが残る・・・んだけどラストシーンもまたちょっと凝った演出がなされていて、悲愴感より、なんか切なくなる、そんな感じ。

松子の死のやりきれなさは、松子の最後の恋人だった龍(伊勢谷友介)にとっても同じだったろうな・・・。
バックにながれる賛美歌が切なかった。

見る前に思っていたよりも悲惨で、かなしくて切なくて、なんだかまとまりないレビューになったけど、ここに書いてない脇役の出演陣も贅沢で、飽きないです。

えーーーこの人がこれだけ?っていうやつね。

それと笑うのはたまに出てくる妙なエピソード。
晩年なぜか「光GENJI」のファン(しかも内海君って・・・^_^;  )になるとことか。
刑務所で会わないうちに、松子の脳内で恋人だった荒川良々の顔がちょっとずつイケメンに美化されていくとことか。

あと、ヤクザの龍役の伊勢谷がものすっごくセクシー。
声もいいし・・・。
伊勢谷と中谷美紀のキスシーンは、キレイでした。(若干エロいです。この映画、けっこうエロ&グロがでるので、テレビでゴールデンの枠で放映するなら編集されるのかもなぁ)
伊勢谷を見るだけでもけっこういいかもしれません。
あと中谷美紀の歌。けっこういいです。

ああ、ほんま長くなってしまった^_^; 書きながら反芻して疲れてきたとですよ・・・・。

ってな感じでオルボワーーー。

しかしレディーズデーは混んでますなあ。(^_^;)

劇場の入り口で、映画での松子の衣装が展示されていました。
クリックすると元のサイズで表示します



こ ん な 
長いレビューを最後まで読んでくれた親切のついでに→人気blogランキングへうっかり行ってみるとです・・・・順位?だいたい安定(笑)


●タイトルの「まげて、のばして」は劇中で松子の歌っている曲です。
童謡と思われます。けっこうせつない。










2006/6/17  22:19

投稿者:ツバッキー

●みきちゃんさん はじめまして^^
見てきたんですねー。

なんか晩年になって、つぶやくように歌う
「まぁーーげてぇーーー・・のーばーしーてぇーー
♪」・・がやたらにせつなかったですね。

http://moon.ap.teacup.com/tsubaki-net/

2006/6/17  19:22

投稿者:みきちゃん☆★

そそそそそそぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!!
ほんまそう!!!
せつないですねぇ!!映画館でボロボロの号泣でした。。。

2006/6/2  23:58

投稿者:ツバッキー

●machineさん ダンサー・イン・ザ・ダークを引き
合いに出されてレビュー書いてる方、何人か見まし
た。暗い内容をミュージカルに、みたいな点でしょ
うかね。
この映画はポスターやフライヤーのイメージで、明
るいカラフルでポップな感覚だったんですが、やっ
ぱし内容は悲惨ですよ・・。

下妻はコメディですが、これは根底がシリアスドラ
マだし・・

中谷美紀の歌はうまくはないですが(笑)
クラブ歌手みたいなのしたり、教師時代音楽の授業
したり、ってシーンもあるし、
最後年老いて落ちぶれてからぽつぽつと足を見下ろ
しながらつぶやくようにうたう「まげて・・・のば
して・・・」とか。なかなかよかったです。

2006/6/2  23:52

投稿者:ツバッキー

●ぐんだんさん 面白いんですが(笑えるシーンも
けっこうあるし、脇役が豪華)やはり内容自体は切
ない、重い部分が多いかもですね。

でも濃い内容ですし、けっこういいですよ^^


2006/6/2  23:05

投稿者:machine

映像、(先にびーとさん御指摘ですが)ダンサー・イン・ザ・ダークをポップにした感じのイメージを勝手に受けました。救いの無さも、似たところがありそう?

ダンサー〜の監督(ラース・フォン・トリアー)の作品は、どれもず〜んって来る感じです。個人的には、好きな監督ですが。ただダンサー〜は、内容は置いといてもカメラワークが揺れ揺れで酔います(笑)

そもそも私は中谷美紀のファンなのですが、歌が結構いいとのツバッキーさんのコメント、我が意を得たりです。上手い訳も無く平坦な感じなんですが、味があるというか。楽曲も有名どころが提供してて(主に坂本龍一)、良い曲たくさんありますし。

かもめ食堂に続き、これも DVD購入リスト入りですね。下妻物語も評判いいし、一緒に買おうかな? ていうか、劇場で観たい。。。

2006/6/2  22:20

投稿者:ぐんだん

おぉ・・観て来ましたですか。

なぁるほどねぇ。。フムフム。。
噂どうりの、いやさ、噂どうりの映画なようですな。
観るか観ないか・・・
う〜〜〜mm・・迷うのも楽しみの一つなんですよね。映画って。

http://blog.livedoor.jp/supersale/

2006/6/2  14:52

投稿者:ツバッキー

●shinyさん なんかまとまりないレビューになってしまいました^^;

コメディオンリーでは、ないです。
下妻のイメージでいたんですけど、もとの原作が悲惨だから(読んでないですが)それを薄めるような演出でもあると思いますけどね。

笑えるシーンや伏線、あとミュージカル仕立てや、説明部分(妄想とか)がCG、とかの面白いとこもたくさんあるんですよ。
けど根底にあるのは「悲惨」

それと、せつなさが残るかなあ・・・。

三谷作品やクドカンドラマなんかで出てくるような時代にあった演出(これは昭和40年代から50年代・・がよくでてくる)なんかがけっこう楽しいかも。

伊勢谷くん、めちゃセクシーでしたよ^^
ヤクザなんですけどね。


http://moon.ap.teacup.com/tsubaki-net/

2006/6/2  14:47

投稿者:ツバッキー

●たま吉さん なんかねー、松子の悲惨さって、原因は男運が悪いせいに思うですけど、その男運の悪さって、自分が学習しないのと、子供のときから持ってるさみしさによるものみたいに思いました。

だめんずウォーカーって言うじゃないですか・?そのおミズの友達も寂しがりなんでしょうね。

殴られて貢いでして、まわりからみたら、なんでーー????って人いますね、たまに。


一種の「共依存」でしょうね・・・

殴るだけでも最低なのに、でも貢いで、引き止めたい。。のかなあ・・。


http://moon.ap.teacup.com/tsubaki-net/

2006/6/2  13:10

投稿者:shiny

まだ観て無いですがレビュー読んでみました(笑)
観た後の後味、一言で言うと何ですか???
チラシからコメディーオンリーだと勝手に想像して
たんですよ。
伊勢谷君は一時好きでした♪映画メインに活動で
しょうか?こだわりあるみたいだし。東芸卒の期待
のクリエーター&モデルってファッション通信で言
われてましたよ〜^^; 光GENJIもうけますね〜。脇
役が豪華なのは個人的に好きです。三谷幸喜作品も
そうですよね^^

2006/6/2  12:26

投稿者:たま吉@ネボちゃん

観たいと思いつつ、映画館の前を通り過ぎてた私。。
そうかぁ、そんなに悲惨なオトコ運の悪さなのねぇ。
いるのよね、こういう女性。ほんとに!
娘の友だちでお水の女の子。。
相手はお決まりのホスト。
一昨年の正月にその女の子がうちに来たの。
顔にアザ!
彼氏に殴られたと。
よく殴られるらしい。
で、稼ぎは貢いでる。
それでも別れない…
どうして? って聞いても自分でも解らないという。
その子の親は教師だって云ってたな。
金銭的な不自由もしていなく育ってる。

どこでどう狂うかわからないね。

http://blue.ap.teacup.com/guretya-2/

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




Powered by teacup.ブログ “AutoPage”