カタクリの花が真っ盛りと聞いて四人で出かけた。
カタクリの開花時期は三月中旬から四月初旬で短いため例年見逃してしまっていた。
今年こそはと張り切って、十時ごろ香嵐渓に着いた。
晴れているのに温度が低いのか斜面一面のカタクリの花は雄しべと雌しべを守って閉じている。
カタクリは片籠と呼ばれ気温が上がると花弁が上に反って巻き上がり、傾いた籠のようになる。それを撮影したいので、もう少し気温があがるまで散歩したり食事をして再び来る事にした。
奥の吊り橋の方へ進んで行くと三椏の木が所々に有り花が咲いている。「此の木を刈って蒸し、皮をむいて水に晒し、その繊維で紙を漉くのね」
お食事所で豆腐の田楽、白和え、ご飯、味噌汁、漬け物など「これ何かしら」
とNさんが言うので味を見ると柚餅子みたい「ゆべしじゃないかしら」
以前友達がゆべしを作って呉れた。
柚子の実を七分、三分に輪切りにして果肉を出す。
七分の方を器にして中に甘味噌などを詰め込み三分の方で蓋をして蒸し軒下などに吊して干すのだと聞いた。
食事をすまして正午過ぎ行くと、花びらは空に向かって開き反って片籠の名のように変形していたので写真を撮った。
大伴家持が八十おとめらと歌った情景が目の前に広がり感激した。
随分以前此方へ行くと必ず寄って買った柚子の香りの最中を買いたくて塩の道まで足をのばした。
友達はダウンして途中で待っていると言う。
街は随分変わって、其の老舗も消えているのでないかと思ったが健在だった。
「柚子の入った最中まだ作っておられますか」と尋ねると有るとの事二十個箱に入れてもらって友達の待っている所へ戻り、「どう、味見てよ。美味しかったらお店へ連れて行ってあげるわ」「美味しいけれどもう歩けない」
山の急斜面を登ったり下りたり疲れ果てた様子だった。





もののふの 八十娘子らが 汲み乱ふ 寺井の上の 堅香子の花
大伴家持

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