先日(名古屋高裁違憲判決をどう生かすか」池住義憲(立教大学特任教授)の講演を聴いた。女性九条の会の主催で賑わい会館で催された。
池住氏を代表とする控訴団は「イラク特措法に基づいてイラク及び其の周辺地域に自衛隊を派遣したことは違憲であり、「戦争や武力行使をしない日本に生存する権利」を侵害されたとして、国家賠償法1条1項に基づき各自それぞれに1万円の損害賠償をすると共に、自衛隊派遣が憲法9条に反し違憲であることの確認を求めたさいばんである。
地裁に出した原判決は「本件差止請求及び本件違憲確認請求」にかかる訴えは不適法であると却下されたので、名古屋高裁に控訴した。


イラク派兵違憲判決・判決文は25ページに及び、此処にかかげた第1ページに「本件控訴をいずれも棄却する」とあるが、判決文の内容は明らかにイラク派兵は違憲である事が記されている。
15年3月20日イラク、フセイン政権が大量破壊兵器を保有して無条件査察に応じないと言う理由で国連の決意のないままアメリカ、イギリス軍を中心とする有志連合軍がイラクに先制攻撃をしフセイン政権が崩壊し、5月2日ブッシュ大統領戦闘終結の宣言15年5月安保理イラクでの人道、復旧・復興支援並びに安定及び安全の回復への貢献を要請が採択され、日本政府は7月にイラン特措法を制定、小泉政権で自民党、公明党の与党が議会の過半数をしめていた。
イラクに大量破壊兵器は無く、ブッシュ自身も大量破壊兵器疑惑の情報は誤りだったことをみとめた。 多国籍軍に参加したのは最大41カ国でフランス、ロシア、中華人民共和国、ドイツなどは加わらず、イラク攻撃への国際的な批判が高まる中、参加国は次々撤収し、アメリカ、イギリス、我が国を含め21カ国となった。
(イラクは1972年石油事業を国有化し1973 年石油の高騰でその後どんどん石油収益は伸び、其の収益で上中流階級の解体、社会主義経済と国有化で経済自立を目指し、修学の義務化、女性の地位向上、積極的に近代化を進めていった。中国やロシアと貿易はしても北朝鮮のように後ろ盾にはしなかったのでアメリカ攻撃を受けると短期間でフセイン政権はたおれたのだろう。しかしフセイン政権のあいだは、なりを潜めていたイスラム教徒の抗争、民兵の猛攻撃にフセイン崩壊後は、政府軍やアメリカ軍は交戦、泥沼化した。フセイン政権は強力な国を作り社会主義を達成するために反対するものを弾圧し、恐怖政治と言われたがそれなりに均衡を保っていたのだろう。 2002年(平成14年)1月の一般教書でイラン、イラク、北朝鮮をブッシュ大統領が名指しで悪の枢軸と発言し、翌年2003年3月アメリカの先制攻撃でイラク戦争が始まった。2003年7月にフセインは逮捕され、2006年2月死刑執行、2004年6月暫定政権が出来、2005年2月移行政権(選挙によって)2006年6月正式政府(選挙による)が出来た。イラク特措法は2003年7月27日成立、2003年12月派遣。)
判決文に戻る。平成16年6月1日イラク暫定政府が発足、安保理で全会一致で是認され、これに伴って多国籍軍が発足し日本の自衛隊も参加することになった。 平成18年6月20日シーア派もマリキ首相を首班とする正式政府が発足、主権を回復したが其の後もイラクの要請により多国籍軍はイラクに駐留している。
イラク各地における軍事行動(判決文より抜粋)
ファルージャ
平成16年3月アメリカ軍雇用の民間人4人が武装勢力に惨殺されたことから、4月5日武装勢力掃討の名の下に、アメリカ軍の攻撃開始、6月以降は間断なく空襲が行われるようになった。クラスター爆弾並びに国際的に禁止されているナパーム弾、マスタードガス及び神経ガスなどの化学兵器を使用、大規模な掃討作戦がじっしされた。残虐兵器と言われる白リン弾が使用されたともいわれる。(白リン弾は水分のある肉体などを焼き水分のない建物家具などはそのまま残るそうだ)
首都バグダッド(判決文より)
平成16年6月暫定政府発足後、政府高官を狙った自爆攻撃などが相次ぎ多国籍軍攻撃も相次ぎ、多国籍軍と武装勢力との衝突が頻繁に生じていた。 このような事態を受けて、多国籍軍はバグダッドにおいて大規模な掃討作戦を展開するにいたった。
しかし武装勢力を掃討することは出来ず、掃討作戦を実施し、アメリカ軍も駐留軍を増派した。平成19年1月22日過去45日間の掃討作戦、シーア派民兵に対し52回、スンニ派民兵に対し42回、19年2月14日、アメリカ軍とイラク治安部隊とともに9万人を投与してイラク戦争開始以来最大規模の作戦を実施し、多数の一般市民が犠牲となった。
19年に入ってからバグダッド及び其の周辺でたびたび激しい空爆を行い、19年中にイラクで実施した空爆は1447回に上った。
平成20年1月8日からイラク軍とともにイラク全土で「ファントム・フェニックス」を開始し、バグダッド南郊において大規模な集中爆撃を行い40カ所に爆弾を投下した。
判決文はこのように事実が詳細に上げられ、明らかにアメリカの犯罪、九条に違反し、特措法を作り、特措法にも違反し軍人や兵器も空輸し、戦闘に荷担した日本を浮き出して行き暗澹とする。
ブッシュの開いたパンドラの箱はイラクの人々の上に考えられない災いをもたらした。そして参加した軍人にも、憲法を護りきれなかった日本人にも!しかし、パンドラの箱の中には希望だけがのこった。
もう此処に延々と続く判決文を乗せて行く勇気はない。
最後に判決文に憲法九条、イラク特措法違反について書かれている。
「イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる事が認められる」
平和的生存権について判決文にかかれた。
人格権を規定する憲法13条をはじめ、憲法第3章が個別的な基本的人権を規定していることからすれば、平和的生存権は、憲法上の法的な権利として認められるべきである」
以上の通り池住氏ら原告の訴え「イラク派兵違憲」は事実であるが、「民事訴訟制度は、当事者間の現在の権利又は法律関係をめぐる紛争を解決することを目的とするものであるから、確認の対象は現在の権利又は法律関係でなければならない」とあり、
有る事実行為が抽象的に違法であることの確認を求めるものは、現在の権利又は法律関係に関するものということはできないから不適当であると言うことであった。
現在間接民主制であり、イラク特措法は閣議の決定で決められるものだと言う事だ。
しかし、1党が圧倒的に多数の場合、1党独裁の形で決められることもある。

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