喧噪の街は夜の帳に包まれて、自らの息遣いと深い静寂。
少しばかりの懺悔もこめて、思索の中に閉じこもる。
自然の美しい営みを踏みにじって、人間のエゴが交錯する昼の街は彼方に去って、今は一人、夜のしじまの濃密な空間。
様々な人間ドラマを見てきたが人は意外ともろいものだ。
此の家を終の棲家にしようと建てた時「人々が自由に出入り出来るオープンな空間と、一人になりたい時の隠れ家の様な部屋が欲しいの」と設計家に頼んだ。
人間は誰でも精神的なバランスを崩す危険性がある。
長い人生の中、社会の中で生き生きと生きながら、しかも自らを維持してゆくには群れと個を上手く調和してゆく必要があると思った。
時には自分を見つめ自分を保持する。
虫の声が少し激しくなった。
遠くで救急車のサイレン、其処には瀬戸際の生と死。

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