「私、鬱病だと先生に言われたの。 この頃ボーとしてやる気が無く、やるのが厭になる」「物忘れが多くて、今しようとした事が分からなくなったりするの、いよいよ認知症かしら」同じ年頃の知り合いから相談される。
人事ではない。 周りを見ていると人間、何時、何がおこるか分からない。
以前、10数年になるが染色に魅せられて、布や染色材料を一杯買いこんでいたが、やむをえない事で地域活動に7年間没頭する事になり染色を止めた。
趣味とは言え染色は時間が寸断されては出来ない。手許の紙にスケッチをしたりするのとは違うのでスッパリと閉じてアトリエは地域活動をしている時、企画会議をしたり、イベントの教室の為の試作、などに使っていたが活動を止めてからは物置代わりになっていた。
此の染色材料を残しておけば、私に何かが起こった時家人は困るだろう。 整理して再び1から出発しようと考えた。
アトリエのホワイトボードには10数年前に書いたそのまま今染めようと思った染色工程、染料、薬品などを書いている。 その下に私の指標としたEdward M.Forsterの言葉を書いていた。(岩田一男英語一日一言)
The identification of old age with growing old must be avoided.
Growing old is an emotion which comes over us at any age.
老齢と老化を同一視する事は避けなければならない。老化は感情でありどんな年齢でも我々に襲ってくる感情である。
老化がemotionであれば、若くて老化することもあれば高齢でも瑞々しい感情をもっていれば青春という場合もあるだろう。
染料を解いた液が瓶のなかで10数年の年を重ねていた。直接とか酸性とか瓶に貼っておいたが其れも取れたり風化して判読しにくい。 紫色の染液を煮立ててハンカチを煮染めしてみたが素晴らしい色がでた。 しかし、染料の種類がわからないので色止めに何を使ったらいいのか分からない。 水洗だけで処理してスカーフの代わりに着けて出ると「素晴らしい色ね」と褒められた。 ワインのように瓶のなかでじっくりと熟成していたのかしら。


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