生きる 2
「長石と灰が基礎でそれに何を入れるかによって種々の釉薬が出来る。
長石と灰プラス鉄で黄瀬戸、長石と灰プラス酸化銅で織部、灰プラス鉄で伊羅保、九谷の黒はマンガンを入れる。支那ゴス(コバルト)は非常に高い天然コバルトで昔は使っている人もあったが、今は人工コバルトが使われている人工コバルトでも3年ほど前1s1万円ぐらいだった。砂糖なんかの1sなんかとちがってほんの少量だ。
鉄の層の土を水に浸けて水を替えながら沈殿した鉄を釉薬に使う
灰は1300度に耐えるものでなければならないから堅木を焼いて白い灰をとる。楓とか栗の皮、栗灰は最高だ。栗の木は鉄道の枕木に使う堅い木だがその皮も良い灰になる」
「楽器製造所の残材は堅木だからそれで灰を作っている人もいた。窯で焼いて扇風機で灰を飛ばし1カ所に集めるんだ。その息子はフルート、奥さんはピアノで演奏会に出たりしていたよ」
「黄瀬戸とか瀬戸黒とか言うけれど瀬戸独特の焼き物は何なの」
「瀬戸独特とゆうのは無い。衛生陶器とかガイシの生産などで知られているが」
「平安時代から焼き物を作っていたと言うでしょう。何を作っていたのよ」
「しいて言えば、ここらで作っていたと言えば土鉢、畑を掘って下の方の土を取り(鉄分が入っている)形を作り焼いた土鉢くらいかな」
畑の底土を掘って置いておくとバクテリア等が入り、丸一日かかるが、練るとねばりが出て腰が出来る。
練った土をビニールに入れて、一晩置いて手で練ると扱いやすくなる。
師匠の蔵の中に陶器のお金があったんだよ。戦争末期に貨幣を造る金属も無くなり、陶器のお金を使うところまで来ていた。戦争はいやだ」

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