季節のたより
「朝掘ったタケノコだから柔らかいよ。タラの芽も旬のものだから食べると元気がでるよ」
ドンゴロス一杯のタケノコをどすんと置いた。
「まあ、こんなに沢山!」覗くと太い筍が七本とタラの芽が一抱え位ある。
「柔らかいから刺身でたべても良いよ。僕は味噌汁とてんぷらが好きだが」
「私は酢味噌と煮付けと筍ご飯ってとこかな.
山椒の葉をすり鉢で当たって砂糖と白味噌と酢を入れながらよく擂り酢味噌を作るの。筍をあえるととても美味しく食欲が進むわ」
「筍の頭が無い筍もあるんだよ。先だけチョンと切ってある」
「何故なの、おまじないのつもり」
「イノシシやウサギが食べるのだそうだ、この前イノシシを撃った人が肉をいっぱい持って来てくれた。貴方に言ったら要らないと断られたので持ってこなかったけど」
「イノシシは猪突猛進と言って突進してくるからボンヤリ立っていると突き飛ばされて大怪我をするかもね、でも捕獲は簡単でしょう。進行方向に網でも張っておけば自分から突っ込んで掛かるのじゃない」
「捕らえてからが事だよ」
「いつか闇苅渓谷でぼたん鍋を食べたことがあるけど郡上からとりよせていると言ってた。丹波地方では体が温まると言って初冬頃から肉屋の店頭にぼたん肉の旗が立ってたけど最近は見かけないわね」
「何故、イノシシは要らないといったのだ」
「だって、何時だったか私たち五人で貴方の工房へ行って、みんなで平戸橋の近くの料理屋さんで食事をしたわね、熊の刺身が出て、晩秋だった。
赤身と白身(脂肪)が市松模様に皿にのって、綺麗なので食べたらトロリと美味しいので、友達の分まで食べて後が大変。数日後朝日新聞に、熊の肉にいる旋毛虫が人間の筋肉の中に入って、発熱、筋肉痛、関節痛など起こすと書いてあったでしょう。
皆愕然、貴方が代表で検診を受けて血液検査の結果OKだってホッとした。
記事を見てからは皮膚の下には旋毛虫が増殖して一杯になっているのじゃないかと落ち着かなかった。
イノシシのE型肝炎ビールスと人間のE型肝炎ビールスは遺伝子が同じだって、イノシシから感染する事だってあるのでしょう。
勿論火をしっかり通せば大丈夫でしょうけれど。
野生動物はビールスや寄生虫を持ってるから食べるの控えているの」
夕方知人に配って廻り我が家も筍とタラの芽のオンパレード。
この一週間ワケギを山ほど持ってくる人、わらび、豌豆、菜の花と入れ替わり立ち替わり持ち込まれる。
我が家が三人だと言うことを皆は忘れているのか、でも友情は有りがたい。

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