2017/5/12

4078:声量  

 この工房はヴィンテージオーディオ機器の修理のみ行っている。オーディオ機器の販売はしていないので、この試聴ルームに置いてあるオーディオ機器は販売目的ではなく、この工房のオーナーの私物ということになる。

 頑丈な棚の端には電源が入ってはいないが、Marantz Model8Bの姿もあり、普段はModel8BでGRFを駆動されているようである。

 さらに、棚にはCDプレーヤーも置いてあった。LINNの古いもので、製品名は「MIMIK」。1993年に発売されたCDプレーヤーであるので、20年以上前のモデルということになる。

 「このModel7は、パネルの色からすると初期型ですね・・・」傷のほとんどない綺麗なウッドケースに納まったModel7を見て、私がそう訊くと、店主は「確か11300番台だったかな・・・まずまずの初期型ですね・・・」と答えた。ちょっと嬉しげであった。

 Model7の初期型はパネルがシャンパンゴールドである。これが良い色合いである。私のModel7は12000番台であるが、そのパネルの色合いはシルバーである。

 店主は実に控えめな方で口数も少ない。ヴィンテージオーディオに絡んだ仕事をしている方は、賑やかな方と静かな方と両極端であることが多い。

 レコードが数多く詰まった棚から店主は1枚のレコードを選択して、トーレンスTD-124のターンテーブルに設置した。
 
 telefunkenレーベルのレコードである。ジャケットを見せてもらった。カイルベルト指揮のベートーヴェン交響曲7番であった。

 第1楽章がGRFから雄大な感じで放たれた。その音の印象は、第7番の第1楽章独特の躍動感ある展開に相応しい、若々しく清廉な印象を受けた。

 我が家のシステム構成と似ているので、その音の印象は多少参考になるのかもしれない。店主は第1楽章が終わると、SPUの針先をレコードから上げて、アームをアームレストに戻した。

 「しっかりと直してありますので、しばらくは大丈夫でしょう・・・」言葉の内容とは裏腹な弱々しい声量ではあったが、工房のオーナーはそう言った。

 「ありがとうございました・・・では、ビルの前に車を持ってきます・・・」そう言って、一旦工房を後にした。

 コインパーキングからビルのすぐ前に車を移動させてから、その後部座席にModel2を運び込んだ。

 2台のModel2は後部座席に納まり、毛布を掛けられて、さらにシートベルトで固定された。購入から入院がちで我が家のリスニングルームにあまり居ないModel2であったが、これからは安寧としてGTラックに定住して欲しいものである。




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