2017/2/24

4001:Zanden  

 オーディオショップ・グレンの大型ラックには普段並ばないような機器が数多く集結していた。この木製の大型ラックには全部で九つのオーディオ機器が設置された。

 左側の三段には普段から見慣れたものが集められていた。一番上はROKSAN XERXES10。今日は残念ながら出番はなかった。

 そして中段はLEAK Point One Stereo。コンパクトで良い雰囲気を醸し出す、いかにも英国製と思わせるプリアンプである。そして、下段にはLEAK Stereo50。シンメトリックに並んだ真空管が美しい空間を形作っている。その真空管の隊列は衛兵が並んでいるようである。

 真ん中の三段には、前回聴いたデジタル系の機器が並んだ。上段にはGOLDMUND MIMESIS39Aが、中段には同じくGOLDMUND MIMESIS12が置かれ、下段にはLINN NUMERIKが置かれた。これらはすべて小暮さんの個人的なコレクションである。

 そして、今日の主役たちといえる大川さんが持参された3台のDACが右側の三段に並んでいた。それらは大きさも色も様々で、実に個性的なオーディオ機器たちであった。

 上段には、現在は低迷しているようであるが、以前はデジタル機器のメーカーとして確固たる地位を築いていたWadiaのDACがあった。

 型番をよくよく確認してみると「Wadia12」であった。比較的コンパクトなDACであり、きっとWadiaとしてはエントリー的なポジションの製品であろう。Wadiaというと黒のイメージが強いが、このWadia12は、シルバーであった。シルバーのWadiaもなかなか良い感じの印象を受けた。

 中段には、とても小さな機器があった。それはJOBのDACである。フロントパネルは青にグレーを混ぜたような微妙な色合いをしている。この色合いは実に繊細で美しい。少し和のテイストも感じる色味である。

 そしてそのコンパクトでそっけないともいえる躯体からは、何かしらぎゅっと凝縮された高度な美意識が放出されていた。

 フロントパネルにはスイッチの類は何もなく、二つのインジケーターが淡い光を放っていた。フロントパネルの左下にはブランド名である「JOB」が、そして右下には「SWISS MADE」と小さく刻まれている。大川さんに型番を確認すると「DA48」ということであった。

 そして、下段には見慣れないDACがあった。今まで一度も見かけたことがないメーカーのものである。これがまた飛び切りに美しい意匠を身に纏っている。

 どう表現するのが適切かわからないが、クラシックでありながら実にゴージャスとでも言うのであろうか、フロントパネルの一部は金色でその他はプラチナシルバー。ノブの造形もたおやかで、高級感のある仕上げとなっている。

 大川さん訊くと「これはZandenという日本のメーカーのDACです。型番はdac5000。アメリカが主な市場で、向こうでは高い評価を受けているのですが、日本ではほとんど販売されていません。私が持っているDACのなかで、もっとも高価なものです・・・」との返答が返ってきた。

 「日本製・・・?」大川さんの返事を聞いて、目を疑った。そのデザインセンスはどう見ても日本製には思えなかったからである。

 フランスの真空管アンプメーカーに「Jadis」というメーカーがあるが、そこの製品のデザインにも共通する色合いと風合いである。

 華麗で上品・・・ヨーロッパ的なセンスを感じさせるdac5000は、きっとこの日のハイライトになるであろう予感がした。

2017/2/23

4000:CHATSWORTH  

 脇道に入り、少し行った先にあるコインパーキングにVW POLOを停めた。1台当たりに割り当てられるスペースは、多くのコインパーキングがそうであるように、それほど余裕のあるものではない。コンパクトなPOLOはこういった場合でもすんなりと納まり嬉しい。

 二つのオーディオ機器を両手で抱えて少し歩いた。そして、例の古いビルの階段を上っていった。4階まで上がると息が切れた。

 エアパッキンで厳重にくるまれた2台の機器を一旦床に置き、息を整えてから、「オーディオショップ・グレン」と書かれた小さな看板が掲げられた金属製のドアを3回ノックした。

 中指の第2関節を鋭角的に曲げてその先端でノックすると、その古ぼけたドアはやや調子っぱずれな音をたてた。

 「どうぞ・・・」とドアの向こうから声が聞こえた。ドアを開けて中に入った。リスニングポイントに置いてある黒い革製のソファには一人の男性が座っていた。

 小暮さんはいつものようにソファの斜め後ろに置かれているイージーチェアに座っていた。そのイージーチェアは、グレーテ・ヤルクがデザインしたものである。

 女性デザイナーらしく、アームの曲線が実に優し気で繊細である。身体をやさしく包んでくれるクッションの表面はチャコールグレーの生地、クッションの裏面が濃紺の張り生地になっていて、その色合いのコンビネーションが実に美しい。

 背面の脚が、背からすっとまっすぐに降りているので、すっきりと洗練された印象を受ける。こういう北欧ヴィンテージのイージーチェアは、大きさのわりに見た目的な軽快感があり、圧迫感がない。

 「こんばんわ・・・」私が挨拶すると、小暮さんが「こちら、大川さん・・・」とソファに座っていた男性を紹介してくれた。

 お互い挨拶をかわして、ソファに腰をかけた。実は今日はある企画が持ち上がっていた。一言で言うと「DAC祭り」である。

 数日前に小暮さんと電話で話した時に、Goldmund MIMESIS39AをCDトランスポートとして固定して、DACの聴き比べをしようという話になった。

 小暮さんはDACを二つ持っている。MIMESIS39Aとは純正組み合わせと言えるGoldmund MIMESIS12としばらく我が家に滞在していたLINN NUMERIKである。

 「実はDACマニアの知り合いがいてね、自宅に六つもDACを持っているんだ。トランスポートはOracle CD2000を使っていて、DACを取り換えて音の違いを楽しんでいる人でね、その人に言わせると、DACはカートリッジのようなものだって・・・まあ、そういわれるそうとも言えるかもって気になるよね・・・六つ全部は無理だけど三つぐらいは持ってきてくれると思うよ・・・高円寺に住んでいるから近いしね・・・」

 そのDACマニアが、大川さんである。大川さんが持参したと思われるDACがリスニングポイントから見て右側のラックの上に幾つかあった。

 小暮さんはMIMESIS39AとNUMERIKをエアパッキンから手早く開放して、オーディオラックに設置した。

 今日は出番がないであろうROKSAN XERXES10は一番左端に置かれていた。プリアンプは前回同様LEAK Point One Stereoで、パワーアンプはLEAK STEREO50であった。電源は既に投入されていて、オレンジ色の淡い色合いを放っていた。

 壁の両コーナーには前回はTANNOY LANCASTERが置かれていたが、幸福なオーナーのもとに旅立っていったようで、今日は別のスピーカーが置かれていた。

 それはTANNOY CHATSWORTHであった。珍しいコーナーキャビネットである。濃い色合いの茶色のキャビネットはすっきりとしている。

 「珍しいですね・・・コーナーですか・・・12インチのREDですか・・・?」私はあまり見かけることのないCHATSWORTHのコーナーキャビネットに目を輝かせた。

 「そう・・・状態の良いものが英国で見つかったんだ・・・キャビネット、綺麗でしょう・・・ネットにも汚れがないし・・・」小暮さんは嬉しそうに話した。

2017/2/22

3999:シトロエン  

 穏やかな日であった。この2月は暖かくなったり、寒くなったり、強風が吹いたり、日替わりで天候が大きく変化していたが、それも一段落したのであろうか・・・

 VW POLOの後席には2台のオーディオ機器が置かれていた。それらはエアパッキンで厳重にくるまれていた。

 Goldmund MIMESIS39AとLINN NUMERIKはしばらくの間、小暮さんから借りていた。それらは我が家のリスニングルームに滞在して、なかなか良い音を聴かせてくれていた。

 しかし、それらは「オーディオショップ・グレン」の売り物ではなく、小暮さんの個人的なコレクションであったので、返却する必要があったのである。

 VW POLOの1.2Lエンジンは6年経過しても快調である。今では小排気量のエンジンは珍しくはないが6年前はまだ少数派であった。

 その時比較検討の対象となったシトロエンのC3は1.6Lのエンジンを積んでいた。その後他のメーカーもコンパクトなエンジンに変わっていき、今ではC3も1.2Lのエンジンを積んでいる。

 シトロエンC3は癒し系の独特の雰囲気があり、かなり心を惹かれたが、その当時は1.6Lのエンジンに4速ATという旧態依然な感じの組み合わせであり、1.2L直噴エンジンにDSGという先進的な組み合わせであったPOLOの前では少しくすんで見えた。

 そのシトロエンC3が2017年の1月にヨーロッパでフルモデルチェンジした。その写真を見て驚いた。シトロエンはもともと突拍子もないことをするメーカーであるが、現行型のC3と全く脈絡のない斬新な意匠を身に纏っていた。

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 斬新である。斬新すぎるとも言えるような気がするが、目が慣れていないだけかもしれない。デザインにはスパイス的な感じでSUV風のアイテムが所々に取り入れられている。

 その内装もかなり気合が入っている。フランスのエスプリと言える感じでまとめられている。この新たなC3、今年の後半には日本にも入ってくるであろう。

 現行型の癒し系から一気にアクティブ派に変身したシトロエン C3は日本で受け入れられるであろうか・・・「それなりに売れるのでは・・・」という気がしないでもない。

 VW POLOは順調に走っていった。新青梅街道から青梅街道に入ってその大きな道をしばし走っていくと、いつもの脇道に入るポイントが近づいてきた。

2017/2/21

3998:トレーニング  

 最初の5分間はウォーミングアップである。軽めの負荷で漕ぐ。ウォーミングアップが終了すると負荷を上げた。

 出力は200〜210Wほど。この負荷で漕いでいると、10分ほどで汗が流れ始めた。その後はパワーの数値やケイデンスの数値を時折確認し負荷が落ちないようにした。気を抜くとすぐに体は楽をしようとする。

 タイマーは自動的に60分に設定されている。ボードには残り時間が表示される。歳をとっていくと時間の経過する速さは若い頃に比べとても速く感じられるが、この時ばかりは遅々として時間がなかなか進まない。

 「普段の時間もこんなにゆっくりと進んでくれればいいのに・・・」と思ってしまうような遅さである。

 タイマーの残り時間が30分になったので、ペダルの重さを最高の「25」まで上げた。当然ケイデンスは下がる。

 ケイデンスは下がるけれど、負荷を下げるわけでない。やはり出力を示す数値が200Wを下回らないように気をつけながら、より重くなったクランクを回し続けていった。

 汗はとめどなく流れる。流れ落ちた汗が床に小さな水たまりを形成し始めた。漕ぎ始める前にジム内の自販機で買った500mlのスポーツドリンクも残り少なくなってきた。

 残り時間が10分を切った。なんだか少しほっとする。「もう少しで終わる・・・」と思えるからであろうか・・・

 そして、なかなか進まなかった時間もようやく60分に達した。するとペダルの負荷が自動的に下がっていった。そして「クールダウン」という表示がボードに現れる。

 クールダウンは5分間。軽くなったペダルを静かに回し続けていく。パワーの数値はすっと下がった。

 ウォ―ミングアップが5分、負荷を上げて55分、そしてクールダウンで5分、合計で65分。それほど追い込むわけではないが、それなりにつらいトレーニングが終わった。

 汗は文字通りびっしょりとかく。それをシャワールームで洗い流した。トレーニングを終えて、暖かいシャワーを浴びる時、なんだか妙な満足感がある。とりあえずやるべきことをやったというような満足感であろうか・・・

2017/2/20

3997:一日置き作戦  

 「一日置き作戦」は、2日に1回ほどの割合でジムにいって、エアロバイクで汗をかくという単純なもの。「作戦」と名を付けるほどのものではない。

 忙しい仕事や稀には行わないといけない家族サービスの合間を縫ってどうにかこうにか継続している。もう何年になるのであろうか・・・3年以上は続いているはずである。

 日曜日は普段はチームのロングライドに参加する。翌月曜日は体が疲れているのでお休み。火曜日と水曜日は連荘でトレーニング。木曜日には疲れが溜まるのでお休み。そして金曜日はトレーニングして、土曜日はお休み。

 厳格にこの通りという訳にはいかないが、大体がこんな感じである。最初のうちは自宅でロードバイクを固定式ローラー台に取り付けて、トレーニングしていたが、音のうるささや汗臭さが家族から不評で、最近はもっぱらジムへ行くようにしている。

 数年前に事務所のそばにAnytimefitnessができた。できてしばらくしてから入会した。トレーニングはもっぱらこのジムで行う。

 Anytimefitnessは年中無休24時間営業のジムである。マシーンしかなく、プールやスタジオはない。そのため会費が安い。

 この手のジムは最近増えているようである。スタッフは10:00〜18:00までしかいない。それ以外は利用者のみである。防犯カメラがしっかりと設置されていて、運営上の問題はないようである。

 会員になるとICカードがもらえ、それを入口のセンサーにかざすと入口のカギが開く。私は国分寺店で入会したが、その他の店舗も利用可能である。

 なかなか合理的である。アメリカ発のジムのようで、日本国内でも相当数の店舗を展開している。

 私は予定していた仕事を終えて、8時過ぎにジムに入っていった。コートを脱いで所定の位置にかけて、ロッカールームで着替えた。

 マシーンは筋トレ系と有酸素系に別れている。日曜日の夜、利用者はまばらである。私は有酸素系のマシーンが並んでいる方向へ歩いていって、エアロバイクに跨った。

 店内にはBGMが流れている。有酸素系のマシーンには画面がついていて、様々な情報が表示される。さらにテレビも観ることができる。

 跨って「クイックスタートボタン」を押した。そしてペダルの重さを調整するボタンで負荷を「17」に設定した。最初の5分間はウォーミングアップである。

2017/2/19

3996:休息  

 自宅の庭の梅の木は満開となっている。その赤い小さな花の群集を眺めていると季節が確実に移ろっていることが実感される。

 今日のチームのロングライドは、江の島ライドである。海を眺め、シラス丼などの海鮮グルメを楽しむのが恒例となっている。

 いつものようなヒルクライムエリアがないので、比較的軽やかな気分で走れるコースである。ただし風が強く吹くと、その気軽さが吹き飛ばされることがある。

 何年か前に江の島へ行った時のことであった。強い北風が吹いた。南へ向かう往路は追い風であり、ロードバイクの隊列は帆に風を受けたヨットのように滑走していった。

 その時は「江の島ってこんなに近かったんだ・・・」と思った。しかし、大変だったのは帰路である。帰路は北に向かう。

 強い向い風は行く手を阻み続けた。道は平坦なのにヒルクライムをしているのかと勘違いするかのような負荷に脚は疲労していった。

 「行きはよいよい帰りは怖い・・・」わらべ歌のようなロングライドとなった。その時の記憶は鮮明に残っている。

 今日の江の島ライドには参加したかったが、Kuota Khanはサイクルラックに掛けられたまま、一日惰眠を貪っていた。

 私も同様に惰眠を貪っていたわけではなかった。確定申告が始まったので、仕事に忙殺されていた。

 気分転換のためにもロードバイクで風を切って走りたかったのであるが、今日までにある程度こなしておかないと、今月の終盤が大変な状況になりそうだったので、Kuota Khanには「じゃあ・・・行ってくる・・・」と静かに挨拶して朝早くから事務所へ向かった。

 天気は最高に良かった。風は吹いていなかった。「これなら江の島も大丈夫かな・・・」と思った。

 今日の予定をほぼこなした後、夜の8時過ぎになってからジムへ向かった。「一日置き作戦」は随分と長い間継続中である。

 日曜日はいつもロングライドに参加するので、トレーニングデイではないが、今日は諸々の事情により、ジムで汗を流すことにした。

2017/2/18

3995:べっかくさん  

 SACDマルチチャンネルは5本のスピーカーが必要である。フロントに3本、リアに2本のスピーカーを設置して、リスニングポイントは5本のスピーカーが周囲を囲う中にある。

 日本の一般的な住宅事情を考慮するとハードルが高いSACDマルチチャンネルであるが、エム5さんのリスニングルームは、SACDマルチチャンネルを実践するには理想的な空間である。

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 フロントの左右にはB&W 801NがセンターにはB&W 802Dが、そしてリアにはB&W 801Nが設置されている。フロントの3本のスピーカーはCLASSEのモノラルパワーアンプがあてがわれ、リアの2本はCLASSEのステレオパワーアンプで駆動される。

 実に豪華妍麗な布陣である。SACDマルチチャンネルは広く堅牢な部屋を必要とするだけでなく、調整項目が多くなるため、オーナーの力量も相当に要求される。

 今日はエム5さんのリスニングルームに1年ぶりにお邪魔して、SACDマルチチャンネルを堪能してきた。

 SACDの2チャンネル、普通のCD(もちろん2チャンネル)、そしてアナログ(こちらももちろん2チャンネル)も聴かせていただいた。

 それぞれに高度に調整されていたので、それのみを聴いているぶんには全然不足感を感じないのであるが、SACDマルチチャンネルがかかると、「あ〜やっぱり、違う・・・別格と言ってもいいな・・・SACDマルチチャンネルは・・・」と思ってしまう。

 空間表現も含め、音の厚み、エネルギー量、リアリティーといったものがやはり別格である。2本ではなく、5本のスピーカーで演奏されるのであるから、当然と言えば当然であるが、プレミアムな音世界は、一旦入り込んでしまうと抜け出せないような極上な味わいと肌触りを提供してくれる。

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 送り出しはEMM LAB。操作性はあまりいいとは言えないし、メカは何年も使っていると安定性に欠けてくる。(今日もトレーの開閉が時折不調になっていた。)しかし、その音は実に素晴らしい。

 SACDマルチチャンネルに対応したソフトは録音の良いものが多い。それらの高品質な録音のソフトを様々聴かせていただいた。

 この素晴らしく広い空間。壁も天井もしっくしで仕上げられて響きは上質である。豪華妍麗なオーディオ機器はエム5さんの豊富な経験に基づいてしっかりと調整されていて安定してその本領を発揮している。

 そして、素晴らしい録音のソフト・・・そういった幾つかの稀有な条件が揃うとこんな「べっかくさん」が生まれるのかと・・・ひとしきり感慨にふけりながら聴いていた。

 何枚ものSACDやCD、そしてレコードで音楽を堪能した後、リアの2本のB&W 801Nを駆動しているCLASSEのステレオパワーアンプの電源ケーブルの違いによる音の変化という、オーディオマニアとしては関心を持たずにはいられない検証も行った。

 比べるのはNBSのブラックラベルとPSオーディオのもの。ブラックラベルで聴いていて、それをPSオーディオに変えてみた。

 PSオーディオのものに変えると奥行きが広く感じられた。そしてそのせいか高さも感じられる。音には化粧っけが増えて、より美音系に振れた。

 良い点も確かにある。しかし、堅牢な音の土台が少し軽くなったように感じれた。音の素材の本来の良さはブラックラベルの方がしっかりと分かるような気がした。

 ブラックラベルは正統派、PSオーディオは技巧派といったところであろうか・・・「ブラックラベルの方が、土台がしっかりとしていて、正統派という感じですね・・・PSオーディオの方が良いと言う人がいても全然おかしくはありませんが、ブラックラベルの時の盤石な感じは薄れます。」と言うと、エム5さんも「そうだよね・・・」と同じ見解であった。

 実はこのブラックラベルはとあるところからお借りしていて、気に入ったら購入する予定のものとのこと。使い始めた頃は全然ダメで、戻すつもりであったが、しばらく使っているとその本領を発揮し始めたとのこと。「買うしかないか・・・」とエム5さんは呟かれていた。

 それにしてもリアのスピーカーを駆動する電源ケーブルでこれほどの差を聴かせるとは・・・エム5さんのシステムの調整度合いが極めて高度であるがゆえに起こる現象であろう。

 「べっぴんさん」ならぬ「べっかくさん」を十二分に堪能して、私は帰路に着いた。2Lターボ付きの4気筒エンジンは、出来の良いエンジンである。「BMWなら直列6気筒でしょう・・・」という思い込みは過去のものになりつつある。

 確かに比べてみれば直列6気筒エンジンの方が良いであろうが、4気筒でも十分と思われる。「SACDマルチチャンネルもそういう世界かもしれない。比べてしまうと明らかに差がある・・・2気筒よりもやはり5気筒は違う・・・」そんなことを思いながらハンドルを握っていた。

2017/2/17

3994:シンメトリック  

 我が家のリスニングルームにはYAMAHA GTラックが三つ並んでいる。GTラックには、中板があるが、それは全く使っていなかった。

 「そういえば、中板がどっかにしまってあったな・・・」とふと思いだした。それを階段下の収納から探し出してきた。

 一枚の中板を真ん中のGTラックに装着してみた。こうするとGTラックは上段・中段・下段と3台のオーディオ機器が収納できる。

 ただし中段は他の場所に置くよりも強度が弱く、音にはそれほど良くないと聞いたような記憶があった。そのため今までは使わなかった。

 この真ん中のGTラックの上段にはMarantz Model7が設置されている。そして、新たに形成された中段にOracle Delphi6の電源部を移動させた。

 そしてその下段には、「オーディオショップ・グレン」の小暮さんから一時的にお借りしているLINN NUMERIKが置かれた。

 こうすると、Marantz Model2が修理から戻ってきても、ラックから放り出される機器がない。「これなら、CDプレーヤーがセパレート構成でも大丈夫か・・・」とその様子を見ながら、思った。

 もし、Marantz Model2が戻ってきたらそれらは右と左のGTラックの下段に設置すればいい。上段には真ん中にMarantz Model7を挟んで右にORCLE DELPHI6左にGoldmund MIMESIS39Aが置かれる。

 なんだか微妙にシンメトリックになっている様を頭の中で想像してみた。シンメトリックというものは精神に安定感をもたらすのであろうか・・・思わずにんまりしてしまった。

 Marantz Model7のフロントパネルも微妙にシンメトリックである。完全にシンメトリックではないところが、絶妙とも言える。

 そのデザインはもともとはインダストリアルデザイナーであったソウル・B・マランツのデザインセンスの良さをうかがわせる。

 Goldmund MIMESIS39AとLINN NUMERIKは来週には小暮さんに戻さないといけない。もし新たにCDプレーヤーを導入する場合、一体型でも、セパレートでも、どちらでも大丈夫な受け入れ態勢は整った。

 「シンメトリックか・・・」妄想のイメージはゆったりと膨らんでいく。「もしも、あのCDプレーヤーを持ってくると、さらに見事なシンメトリックが構成されるな・・・」ふととあるCDプレーヤのことが頭をよぎった。

 早速インターネットで調べてみた。その画像を見ると、それはオーディオ機器という範囲を大きく逸脱して美術工芸品としての品格を備えていた。

 そのCDプレーヤーが、微妙なシンメトリックなデザインを有するMarantz Model7を真ん中に挟んで、ORACLE DELPHI6と飛車・角的なポジションで並ぶ様は、一種の「桃源郷」のように思えた。

2017/2/16

3993:苦労坂  

 「苦労坂」は、東都飯能カントリー倶楽部のために作られた道のようである。急造りのためか、その斜度は車でしか上らないことを前提としたような急峻なものである。

 ゴルフ場へ向かう人はほぼ100%車で行く。きっと道を設計した人はこの道を自転車で上るような馬鹿はいないと思っていたはずである。
 
 その正式名称ではないが、「CAFE KIKI」のご主人が命名した「苦労坂」へ向けて、私達3名は出発した。

 店内は暖かかったが、一歩外に出ると冬らしい空気に包まれた。県道に出て少し行った先の脇道に入っていった。

 寂れた感じの集落を過ぎると、それらしい道が出現した。「これだ・・・これだ・・・」という感じでその「苦労坂」を上り始めた。
  
 上り始めは、それほどの斜度ではない。ちょっと油断させておいて奥へ誘い込む作戦であろうか・・・激坂で有名な和田峠もそうである。
  
 和田峠は序盤は緩めの斜度で、途中からこれでもかという感じで斜度が上がる。そして、上り始めた者に後悔の念を抱かせるのである。

 「苦労坂」も同様に、序盤を過ぎるといよいよその本領を発揮し始めた。ぐっと斜度が上がる。クランクは途端に重くなる。

 「とりあえず、この坂はやり過ごすことに専念しよう・・・」という感じで、パワーはそれほど使わずに上り切ることにした。

 斜度が20%を超えるような激坂エリアでは蛇行してその厳しい斜度を緩めて走りすぎていった。上る距離は短いので足を着く心配はないが、確かに激坂である。

 何度か蛇行していくと、ようやく頂上に着いた。頂上には東都飯能カントリー倶楽部の入り口があった。

 ここを「バトルモード」で蛇行することなく走ったなら、相当な負荷が脚にかかるであろう。ちょっとした新スポットを発見した。

 上り終えて向こう側に下りていった。逆側から上っても相当な斜度である。「これはどっちから上っても苦労するな・・・その名の通り・・・」そんなことを思いながら下っていくと、成木方面に繋がる道に出た。

 そしていつも走る帰路に戻った。その先には笹仁田峠がある。ここは先ほど上った「苦労坂」とは対照的な緩い上りである。

 さらっと走れば負荷はそれほどかからないが、目一杯気味に走ると斜度は緩くてもきつい。「苦労坂」を越えた効果であろうか、緩めの斜度がいつもよりさらに緩く感じられる。

 「坂は緩めの斜度が良い〜♪」という感じで鼻歌交じりというわけにはいかなかったが、クランクを回すペースを尻上がりで上げていった。

 そして最後のスパートエリアではダンシングでもがいた。頂上を越えて重力が反転すると、惰性で下っていった。

 これで今日のヒルクライムは打ち止めである。後は平坦路をひたすら家に向かって走ることになる。

 今日はいくつかの収穫があった。15分間であれば260W走行が可能であることが分かった。「CAFE KIKI」の「坂登り丼」は相当なレベルの美味しさであることも・・・さらに「苦労坂」は激坂好きの人には良いスポットであることも分かった。

 その三つの収穫を背にして先へ進んだ。天気は相変わらずとても良かった。岩蔵街道、旧青梅街道と走っていくと、今日の朝集合したセブンイレブンが見えてきた。ここで3台のロードバイクはそれぞれの道へ向かって分裂した。「お疲れ様〜」と声を掛け合って・・・

2017/2/15

3992:坂登り丼  

 山伏峠を上り終えて、記念撮影をした。山伏峠は素晴らしい景色が望めるわけではなく、気温はかなり低かったので、それほどの時間を過ごすことはなく、下り始めた。

 今日の昼食休憩には、飯能方面を走るローディーの間で有名な「CAFE KIKI」に行く予定になっていた。

 その店の前は何度が通過したことがあったが、寄ったことはなかった。少し前にチームメンバーの一人が単独走の時に立ち寄って、その様子をtwitterで報告していた。

 「CAFE KIKI」はオレンジ色の建物で目立っている。山伏峠を下り切って、下り基調の県道を走っていき、いつもは右折する山王峠に繋がる交差点をまっすぐに突っ切って少し先に行ったところにある。

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 店の前にはサイクルラックが三つ置かれている。そのサイクルラックにロードバイクをかけて、店内に入った。

 店の中はこじんまりとしていて清潔感に溢れている。ご夫婦で切り盛りされているようで、店内には「CAFA KIKI」の名前が入ったチームジャージも飾られていた。

 食事メニューのなかから、私は「坂登り丼」を選択した。そのネーミングはいかにもローディーうけしそう。

 しばし、待つとその「坂登り丼」がテーブルに運ばれてきた。その姿は見た目的にも魅力あふれるものであった。

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 まずは目を引くのが真ん中の半熟卵・・・その鮮やかな黄色と白の色合いが食欲をかき立てる。ご飯の周囲には甘辛く下味をつけ焼いた豚肉が盛られている。

 ごま、豆苗、紅生姜で白、緑、赤の彩りが添えられている。食してみると紅生姜の味わいがとても良いアクセントになっている。

 食べ進むと、この丼は2層構造になっていて、ご飯の中ほどにも豚肉が入っていて、なんだか得したような気分になる。

 飯能方面のヒルクライムの際の「丼」と言えば、今までは正丸峠を上った際の「正丸丼」がチームでの定番であったが、この「坂登り丼」・・・美味しさにおいて「正丸丼」といい勝負である。

 お店の主人は気さくな方で、初めて立ち寄ったが、いろんな話を聞けた。帰りのコースの話になった時、「近くに『苦労坂』という激坂がありますよ・・・」と教えて貰った。

 ちょうど「CAFE KIKI」から少し先に行ったところを右に入っていくと、東都飯能カントリー倶楽部に繋がる道があり、その道がきつい斜度の坂のようである。

 上る距離は1km弱で短いがその斜度が半端ないようで、店の常連さんがその坂を上った際に撮った動画も見せてもらった。

 その動画では「なんだよ・・・これ・・・!和田よりきつい・・・!」というコメントが激しい呼吸の合間に漏れ出ていた。

 「苦労坂」は正式名称ではなく、店の主人が付けた名前とのこと。「和田よりきつい・・・」ということは斜度が20%を超えるエリアがあるということ・・・

 「どうします・・・行ってみますか・・・」三人は顔を見合わせた。その坂を上って下ると往路で休憩したファミリーマート飯能上畑店の近くに出るようである。

 メンバーの一人はかなり前に逆側から上ったことがあるようであった。「せっかくだから行ってみますか・・・」ということになった。



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