神と野獣の都
イサベル・アジェンデ
扶桑社ミステリー 宮崎壽子訳
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15歳のアレキサンダー(アレックス)・コールドは、母が病気で化学治療のために入院することになり、父方の祖母に一人預けられることになった。妹たちは母方の優しい祖母の元へ、自分は意地悪でタフで、正直言うとちょっと怖い作家の祖母の元へ。そしてこの祖母と共になんとアマゾンの探検旅行へ行かされるという。
この探検旅行の目的は、密林の奥に住むという謎の人間型生物、通称「野獣」についての調査で、祖母はナショナル・ジオグラフィック誌に文章を載せるために参加しているのだった。母の重い病状に打ちのめされているアレックスだったが、アメリカでの平凡で安全な生活から遠くはなれ、危険いっぱいのジャングルクルージングとなると、そうそう自分の殻に籠って悩んでばかりはいられない。現地で父親と暮らす白人の少女ナディアと知り合い、心を通わせるアレックスだったが、思いもかけぬトラブルが……。
あらま。ラテンアメリカのストーリーテラー、イサベル・アジェンデの、ちょっとびっくりしてしまうような純然たる「少年冒険活劇」です。赤い背表紙の扶桑社ミステリーの文庫とアジェンデって組み合わせにまず微妙な違和感を抱きますが、中身がこれまたびっくり。なんというか……こう、ホントに冒険活劇なんですよ。ハリウッド映画みたいな「血湧き肉踊る」そして「少年の成長」の物語。そうか、アジェンデがジュニア向けの小説を意識して書くとこんな風になるのか、って感じです。
もちろんつまらないわけではありません。しつこいけどホントに「冒険活劇」で、すっごくスリリングで読んでいて楽しいのです。楽しいのですが、どうもこう…アジェンデの…とか思っちゃうと非常に意外な感じがしてしまいます。
アマゾンの密林の雰囲気や、インディオたちとの神秘的な体験など、とても印象的でなかなかぐっと来るものがあります。その辺りはサスガという感じかな。思いがけない作品の雰囲気で、「アジェンデ」の新しい作品だぁ♪って意気込んでしまうとありゃりゃってなってしまうかも知れないけど、それさえなければ十二分に楽しめる作品でしょうね。