また、宋文洲氏のメルマガ「宋メール」が来た。本日のお題は、「いつもの袋小路」。
このところ、第三四半期の企業業績の発表が相次ぎ、日本企業は、大手があそこもここも大赤字、という惨憺たる状態である。テレビが売れなくなった、と言ったって、サムスンもLGも元気にやっているのに、パナソニックとソニー、それにシャープがひどい赤字に陥ったのは、単に円高だけの問題なのだろうか。
ここから宋さんの分析に入るのだが、この家電事業については、私には私なりの意見がある。数年前からエコポイントという補助金を政府が出したことによって、消費者は、原価に比較して割安に家電製品を購入することができ、製造者は、原価に従った収入を得ることができたのだが、その結果は、当然だが、本来の価格が想定していた以上の台数が売れた。つまり、政府が介入することによって、あるべき需要以上の出荷をすることになったメーカは、それだけの製造が可能になるように生産能力を調整した。
ところが、エコポイントが消滅することによって、需要は本来の価格に見合った水準に戻るどころか、本来ならその価格で購入すべきだった消費者が、エコポイント時代に前倒しで購入済みになってしまったのだから、その分の需要も減ったのである。
それは、メーカにとってどういう影響を与えたかと言うと、政府の政策が介入することによって、メーカは本来なら売れるはずのない台数を生産することを余儀なくされ、その次には、本来なら売れるはずの台数すら売ることの出来ない状態に突き落とされたのである。資本主義の健全なメカニズムが政府の介入によって破壊され、無用なジェットコースターに乗せられたメーカが軒並み赤字に陥ったのだから、政府というものは、「やってくれる」ものである。ところが被害者はメーカだけではなくて、エコポイントのために支出されたカネは我々の税金であり、政府は今度は、「いやあ、カネがねえから消費税を上げさせてくれ」と言う。
政府は、そんな具合に奇妙な政策を執行して、反省がないどころか、日本経済を成長させようとしているのだ、名目3%の経済成長は、何としてもやりとげるのだ、とか言っている。もし、政府が資本主義のメカニズムに介入することで、経済が成長するものなら、ソ連やキューバや北朝鮮は、どうして経済政策に失敗したのか。誰もできなかった政府主導の経済成長を、日本国の民主党だけが実現できるのだったら、やってみろ、バカヤロー、というのが、私の感想である。
さて、それは全然宋さんの論旨ではなくて、彼が疑問に思うのは、日本のメーカがものづくりへのこだわりをいつまでも捨てない、というその姿勢についてである。良いものは売れる、という神話は、つくる側の論理でしかなく、現実の世の中には通用しない。使う側の事情をろくに知りもしないで、世界に向かって手前勝手な製品を販売しようとするのだから、売れるはずもないのである。それで、日本企業は袋小路に迷い込んでいる、というのが宋さんの指摘だ。ものにのめり込み過ぎて顧客が見えない日本の経営者に、そう指摘すると、必ず、いや顧客のこともちゃんと見ている、との反論が出る、と宋さんは語る。しかし、冷静な彼はその言い分を聞いて、「愛人にのめり込む人が『妻も愛している』と言い張る。一緒です。」と語るのである。
政府が政府なら企業も企業。世の中真っ暗闇じゃあございませんか、ということなのだが、他人の不幸は、こっちのラッキー。誰もが落ち込んで行く逆バブルの時代には、何もしないでいるだけで、自分のポジションが上がって行くし、もし少しでも努力しようものなら、レバレッジ効果が働いて、どんだけ大成功するか分からない。
世の中の崩壊も、裏側から見れば大チャンス、というのが、わが横丁の哲学である。

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