読売新聞
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タイ国王容体の風説流し株価急落…2人逮捕
【バンコク=田原徳容】タイの捜査当局は2日、入院中のプミポン国王(81)の容体に関する風説をインターネットに流し、株価急落を招いて社会不安を引き起こしたとして、外資系大手証券の元幹部の女(43)らタイ人2人を、コンピューター関連犯罪法違反容疑で逮捕したことを明らかにした。
別の2人の逮捕状も請求する方針だ。
バンコクの証券市場では10月中旬、容体を巡る風説をきっかけに株価が急落し、主要株価指数は7〜8%も下落、今も以前の水準に戻っていない。当局は投資家に冷静な対応を求める一方、徹底捜査を進めていた。
警察によると、女は「外国発のニュースをタイ語に翻訳しただけで、株価を混乱させるようなうわさを流す意図はなかった」などと供述し、容疑を否認しているという。
(2009年11月2日20時24分 読売新聞)
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以前にも取り上げたことがあるが、タイ国王の安否についての情報が株価を下げたということで、その「犯人」探しが行われていたが、ついに逮捕に至ったらしい。
当人たちは、単なるニュースの紹介であり、意図的に風説を流布したものではない、と抗弁しているようだが、恐らくはその通りなのだと思う。
ここで気になるポイントは、彼女たちが「外国発のニュースをタイ語に翻訳しただけ」と語っていることだ。外国語だったら何の問題もない情報だったのに、タイ語にした途端に危険な意味を持ってしまった、ということが起こったのだと思われる。
およそ、民主主義では「言論の自由」が保障されているようだが、実態は違う。社会的に「言ってはいけない」タブーというものがたくさんある。日本でも皇室に関する記事は、たとえば芸能人に関する記事と同じように扱うことはできない。気安いひと言が、ある人々によっては深刻な受け止め方をされるからである。
おそらく国王のご病気というものは、噂話としてはヒソヒソ語られていて、誰もが詳しく知っているのだが、それをあからさまに語るのは、タイの国内では、はばかられることだったのだと思う。しかし、今回逮捕された人々は、金融取引という華やかな世界で、しかも外国語のニュースを読み慣れていたのであろう。外国語でなら、単刀直入に語られる国王のご病気も、それをタイ語で書いた途端、そんなにはっきり書かれた以上、ご病状はとても危ないに違いない、と読者に思わせることになり、結果として、株価の暴落という予期せぬ事態を引き起こしたのだろう。
そういう文化間の落差が、言葉の翻訳のむずかしさである、とまでは考えが及ばず、外国語で書かれている以上、全く同じ意味のタイ語に翻訳しても何の問題もない、と思ったところに彼女らの甘さがあり、またタイ人でありながら、タイの多数派である国王を崇拝する者たちの微妙な心を良く理解していなかったのが、敗因であろう。
しかしながら、たとえ株価暴落の引き金を引いたとしても、それを犯罪として構成するのは無理があると思う。株価暴落への明確な意図、動機がなければ、本件は無罪、というのが、勝手裁判員としての私の評決である。

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