政権交代が既定事実のように報道されているのが、昨今のマスコミなのであるが、さて民主党政権になれば、何が変わるのか。
菅直人氏などが盛んに言うのは、官僚政治の打破、というようなことである。それで、官から政へ、みたいなことを言う。しかし、官僚が行っていることは「行政」であり、菅氏のような国会議員の仕事は「立法」だ。日本国憲法の構造では、立法権を持っている国会は、国民による直接選挙で選ばれた代表者であるから、民意を最も反映している、という意味で、三権の他の機能よりも優位に立つ。しかし、三権にはそれぞれの役割があるから、それらはチェック・アンド・バランスの関係にあって、これを三権分立と言う。
これを具体化したのが、議院内閣制というもので、行政府の長、すなわち大臣は、国会の議決によって決められた内閣総理大臣が指名することになっている。大臣は、もちろんすべての行政を執行できるわけがないが、少なくとも、各省庁の行政を指揮する権限(人事を含めて)があるから、その意味で、行政権が暴走しないようにチェックする機能を果たすことになる。
ところが、これまで官僚の権限であったものを政治家の権限にするということになると、立法府に属している国会議員たちが、具体的な行政の問題に入り込んで、行政を自ら執行することになりはしないだろうか。
少なくとも官僚は、若い時から行政官として勤め上げ、その一生を行政執行という仕事とともに過ごすだろう。しかし、国会議員は、ある選挙で当選してからその仕事を始め、衆議院なら四年または解散まで、参議院でも六年間という期限付きの役職である。そういう期限付きの人々に、行政という大事な問題を任せることは、とてもできない。
第一、民主党はよく官僚にだまされているのだ、というようなことを言うが、国民をもっと多くだましているのは政治家であり、官僚だって、政治家にだけはそんなことを言われたくないだろう。
要するに、官僚の代わりに政治家が行政に入り込むのは、利権が政治家にわたるだけのことであって、そんなことになって、日本の行政が、より国民のためのものになる、なんて話は、あるはずがないこと、保証付きである。

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