玉野「廃」石部明選
準特選 紫を切って廃刀令とする 小池正博
この句について何人かから意味を問われ、解釈を求められた。だからといって「廃刀令」から意味を起こしてゆくのは億劫だし、なんとなく口をもぐもぐさせてその場は逃れた。勿論わからずに入選にしたわけではないし、難解句でもない。「紫」を一つの象徴とし、「廃刀令」をキーワードとする近代日本の相克の図が、一切のムダを省いた屹立感と、意味性を超えた緊張感の中に表現されていると思った。何よりも句姿に品位がある。トナリの女性が「紫は高貴の色ですね」と言ったのもヒントになった。
・・などと理屈っぽい読みは句の印象を損ねることが多いし、作者の意図はもっと別のところにあるのかも知れない。しかし、それはそれ、これはこれ、である。
※江戸幕府を崩壊させ、大政奉還・王政復古宣言のあと明治政府の成立に至る政権交代が日本の近代国家の第一歩とすれば、「紫」に象徴される伝統と文化の脱却こそが急務であったはず。国家の安定は中央集権による強力な新政府を作ることでもあった。そのための新しい制度として「廃藩置県」制度などとともに「廃刀令」がある。