地中美術館の入り口は、チケット売り場からさらに坂道を登り、「地中の庭を散策しながら美術館の入り口に着く。正面入り口ではなく、巨大なコンクリートの塊りの、コンクリートに切り込みのある一角から中にはいった。そのためにより迷路感が強くなったのだが、環境保護のためすっぽりの山の中に収められた地下三階の建物は、鋭角的に通路、ゆるやかな階段などの薄暗い空間にも、曲がるたびに新しい世界が開けるような、何か仕掛けが施されていて、常にドキドキ感で前に進むことになる。ロビーや角のあたりに白い服の係員が無言で立っているのもなにやらミステリアスで、宇宙の要塞に紛れ込んだような錯覚もある。
通路の脇にはいきなり空が広がり地に幾何学的に石を敷き詰めた巨大な空間があり、背丈の低い、なにやら竹のような青い植物の群生している空間もある。この美術館は展示されたものだけではなく、このような空間も合わせて、美術館そのものが現代アートだと教えられた。
クロード・モネ
"睡蓮" 1914-17年、油彩、200×200cm
"睡蓮-柳の反映" 1916-19年、油彩、100×200cm
"睡蓮の池" 1917-19年、油彩、100×200cm
"睡蓮の池" c.1915-26年、油彩、2枚組、各200×300cm
ウォルター・デ・マリア
"タイム/タイムレス/ノー・タイム" 2004年、花崗岩、マホガニー材、金箔、コンクリー
ジェームズ・タレル
"アフラム、ペール・ブルー" 1968年、プロジェクター
"オープン・フィールド" 2000年、蛍光灯、ネオン管
"オープン・スカイ" 2004年、LED、キセノンランプ
展示されているものはたったこれだけ。しかも永久展示で内容が変わることはない、というよりも展示という概念がここでは成立しない。モネの絵は確かに展示だが、そのほかの作品は空間アートとでも言えばいいのか、美術館との一体感によって作り出されたアートであって、もはやそれは展示の域を超えた展示としかいいようがない。
この直島には美術館とは別に「家プロジェクト」という古民家を空間アートとして再生した町並みがあり、世界から人々が見学に集まるという。時間の関係でゆっくり鑑賞できなかったが、島の人たちはみな親切で、とくに道案内に立ってくれた「でんべいさん」(同姓の多い島では屋号で呼び合っていたとか)は、ジェームズ・タレルとか、美術館や古民家を設計した安藤忠雄の詳細を語ってくれたのには驚いた。島民の現代アートの理解度は日本一だと胸を張っておられたが、それだけ島の人たちの心意気が伝わってくるようであった。
もう一度、今度は計画的に行きたいと思っている。