壷坂輝代さんが詩誌「ネビューラ」を創刊された。25人の同人の代表として先頭に立つ。心からお慶びを申し上げたい。
「ネビューラ」の一編
「訪問」石原美光作
明け方
雨戸がガタガタと音を立てて
僕を呼んだ
迷惑な訪問だと
眉をひそめながらも
客に脅えて律儀な雨戸は震えている
嫌なことは夢ではない
昨日畑で逢った蛇である
仲間の数匹の蛇が鎌首をもたげ
草刈り機で傷ついた蛇を庇うように
僕に文句があるとう
瀕死の蛇は
なぜあの時ひと思いに
殺してくれなかったのか
安楽死はどうなのか
苦しそうな息の下
恨みたらしく言う
僕は懸命に情けについて話す
正義について
生きるということについて
運命について
宇宙について話す
でも蛇は解ってくれない
冬眠中の蛙
腹の膨れたイモリ
無抵抗ななめくじ
それらの奪われた命を
ぬらりくらりと並べたてる
もう道は塞がれていて
殺意はあったのかを問いながら
蛇はじりじりと僕に迫ってくる