相手がタイガースだもの、勝てるわけがないと思いながら誰もいない家でごろごろ寝そべってテレビをつけた。今日は昼のゲームである。案の定、ピッチャー高橋でそうそうに4点取られた。アホらしくなったチャンネルを変えた。
なにやら市原悦子が弁護士役でストーリーは月並みだったが、社会から阻害された男とその幼い娘が流浪するシーンに目がとまった。
風吹き荒ぶ北国の海辺をさまよい、春の野原で束の間の幸せに浸るように、飛び跳ねて蝶を追うみすぼらしい親子。それはそれなりに感動的なシーンだが、カメラアングルは、あのかつての名作「砂の器」とおなじではないか。その後に似たシーンは何度も撮影されているが、そう簡単にパクられても困る。
1974年製作のこの映画は野村芳太郎監督の代表作といわれ、脚本・橋本忍、山田洋次、それに音楽が芥川也寸志とくれば、ほっといても名作のできる布陣だが、そのスタッフのなかでもっとも注目され賞賛されたのが、あとに「黒い雨」なども撮ったカメラマンの川又昴であった。
松本清張原作の本格ミステリーとしても、質の高い映画と評価されたが、なんといってもこの映画は、宿命を背負う親子が、故郷を追われ、石礫に背を打たれながら見知らぬ土地をさまようシーンの圧倒的なうつくしさと迫力にあった。
で、ジャイアンツは完敗・・・。もうテレビ中継はしないでくれ。