今回は半落ち、第三の時効で知られる横山秀夫の幻の処女作であるルパンの消息である。サントリーミステリー大賞佳作を受賞し横山秀夫のデビューのきっかけを作った作品だが、様々な理由により現在まで世に出なかった。
この小説の舞台は平成2年、バブル絶頂期である。事件はさらに15年前の1975年、昭和50年と自分が生まれる前である。昭和50年はどういった時代か分からないため調べてみた。山陽新幹線・岡山駅〜博多駅間開業(3月10日)、サイゴン陥落によりベトナム戦争終結(4月30日)、沖縄国際海洋博覧会開幕(7月19日)などが有った。この年、広島東洋カープが初のリーグ優勝を飾った。
世相としては、高度経済成長が終わり、各種公害問題が噴出し、オイルショック後の閉塞感がある時代だった。有る意味、バブル崩壊後のここ数年の状況と似ているかもしれない。
さて話の本筋は、時効間際の女教師自殺事件が実は殺人だったという、匿名のタレコミが警察に入るところから始まる。時効まであと24時間、警察は時間との戦いを強いられる。
ここで警察に呼ばれたのは、女教師自殺事件の当時、ルパン作戦と称して学校の校長室に期末試験を盗みに入った、当時の不良男子高校生3人であった。
ルパン作戦はなぜ発覚したのか、そしてなぜ自殺が殺人事件と判断されたのか、そのあたりが重要なストーリーとなってくる。さらにはかの三億円事件との絡みもあるのだが、そのあたりはおまけという感も。
ところで当時高校生3人の15年後の現状が三者三様で、その青春への思いが対照的であったのが見所だったように思う。
横山秀夫ファンからすると物足りないらしいが、久々に2時間ドラマの原作本とは違う、本格的なミステリーを読んだ気がする。