本書は素晴らしい。
ロス・マクは米ハードボイルド界を代表する作家である。
本作も新婚早々の妻が失踪するところから始まり、典型的なハードボイルドの展開を見せる。
読者もそのつもりで読んで行くと、最後に本格の趣向が待っているという凝りに凝った構成の作品である。
かつて、こんなに本格に近づいたハードボイルドがあっただろうか。
いや驚きはそれだけではない。
本書の扱っているテーマには人間の弱さを見せつけられてしまった。
親と子の悲劇。次々とあらわれる登場人物たちの内面には、悲劇がすみついているのだ。
これほど大胆に展開する人間のエゴをぼくは知らない。
本書の真相は戦慄そのものである。
構成の巧みさと、意外性のあるストーリー展開がほんとうに素晴らしかった。
ラストには、心底ぞおーっとして、戦慄させられました。
ラストはまさに“さむけ”です。
ハードボイルドか本格推理か、などと言うジャンルを超えて、「ミステリ」カテゴリーの中での最高傑作が本作だと思う。
人物描写のすさまじさ、ミスディレクションの自然さ、ストーリー展開の吸引力、ラストのインパクトの凄さ。
超一級品。
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さむけ (ハヤカワ・ミステリ文庫 8-4)
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