「子守唄」って聞いて何を連想しますか?
誰もが一度は耳にしたり、口ずさんだりしたことのある「子守唄」。優しさの中にも、その時代背景がもたらした、もの哀しいメロディーにちょっぴり思いを馳せながら、あなたの「思い出の子守唄」を懐かしんでみて下さい。
読者の方から、熊本の昔ながらの「やさしい子守唄」の特集をお願いしますというお葉書をいただき、「子守唄」について詳しく調べてみました。
古くからの子守唄は、子どもを寝かせるための「寝かせ唄」と、遊びの時に唄う「遊ばせ唄」。そして、子守奉公に行った子守たちが唄った「守子唄」に分けられるようです。
寝かせ唄
ねんねんころりよ おころりよ
坊やはよい子だ ねんねしな
ねんねの子守は どこへ行った
あの山こえて 里へ行った
里の土産に 何もろた
でんでん太鼓に 笙の笛
おきゃがりこぼしに 振り鼓
典型的な寝かせ唄「江戸の子守唄」は日本の子守唄の代表であり、原型のようです。
一説には、参勤交代で全国に流布し、各地方のお国言葉や慣習などによる変化をしながら、全国各地に三千近くの類歌が誕生したといわれています。
熊本では、おきゃがりこぼしに振り鼓の部分は唄われていないようです。
子守奉公に行った子守達が唄った「守子唄」
守子唄として全国的に有名な唄には熊本の「五木の子守唄」があります。
おどま 盆ぎり盆ぎり
盆から先ゃおらんど
盆が早よくりゃ早よもどる
おどま かんじんかんじん
あん人たちゃよか衆
よか衆よか帯よか着物
ねんねした子の 可愛さむぞさ起きて泣く子の面憎さ
花はなんの花 ツンツン椿
水は天からもらい水

子守奉公に出された子どもの、自分の身を愁い、奉公先の家や子どもに対する恨みや、父母を慕う気持ちが込められているようです。 平成4年以前に、人吉高校五木分校の生徒さん達が行った聞き取り調査をまとめたものは、70番まであるようです。「ねんねいっぺんいうて眠らぬがきは 頭たたいて尻ねずむ」という恐い歌詞もあります。
とにかく、「五木の子守唄」は、子守娘達が、即興的に唄っていったもので、どれが一番どれが二番という順番はなく、元唄もわかっていません。
またメロディーも、正調が唯一ではなく、谷ごとに違っていたともいわれています。
郷愁を感じるメロディーであるとともに、深い哀しみの子守唄のようです。
遊ばせ唄
遊びの時に唄う遊ばせ唄には、熊本にも「ギッコンバッコン」があります。
ギーッコンバーッコン
爺さんにいっちょ 打ってやろ
婆さんにいっちょ 打ってやろ
ギーッコンバーッコン
子守唄の背景
子守り唄の最古の記録は十四世紀初頭の作といわれる『聖徳太子伝』巻一に見ることが出来ます。
ブラームスやシューベルトの子守唄が、近代ヨーロッパ中産階級の、豊かで幸福な家庭における子供の子守唄であったのに対して、日本の子守唄には短調の曲が多く、なんとなく暗い雰囲気を感じますが、つらいつらいと言うばかりでなく、諦めも半分あるのでしょう、ひょうきんな表現も見受けられます。
子供に対して鬱憤を晴らすことによって、それを活力にしていたのかもしれません。