ご主人は我輩を「ミーは猫じゃなくてまるで犬だな」と言う。
何故かと言うと、我輩が此処へ住み着く前に、この家には先輩のヨークシャ犬「伸之進君」が居た。
ノラからようやくこの家に居ついた我輩としては、何処に居たら良いのか、どんな事をしたら良いのか、とんと見当も着かないので、先輩「伸之進君」の真似をして、ご主人が座ればシン君は右、我輩は左に寄り添って座った。ご主人は右手でシン君を、左手で我輩を撫でてくれた。
ご主人がシン君と散歩に出掛ければ、我輩もシン君と並んで歩いた。
シン君はソフアーの上にしか上がらなかったので、我輩もそれを見習って同じソフアーにしか上がらなかった。ご主人がトイレに入れば、シン君と一緒にトイレについていった。
ご主人夫妻が出かけている時は、シン君と留守番をして仲良く並んで昼寝をした。
ご帰宅の時は、シン君は短い尻尾を激しく振って喜んだが、我輩は上手く尻尾を振れないので、「ミァー、ミァー」と鳴いて喜んでみせた。
それが、シン君が逝ってしまった現在も続いていて、ご主人も時々間違って我輩を、「シン」と呼び、慌てゝ「いやミー」と呼び直す。
寝てる時も、シン君と我輩は、いつもご主人に身体を撫でてもらっていたので、我輩は身体を撫でてもらうのが大好きだ。今でも、寂しい時は「ミァー、ミァー」と鳴いて、ご主人に触って下さいと懇願する。犬は触られるのが好きだと言われるが、我輩も触られていると、気持ちが良いし安心できる。
本来、猫は余り触られるのが好きで無い筈、と近所の人は言っているが、我輩に限ってはそんな事は無い。
ただ、シン君と我輩の違うところは、シン君は夜もご主人と添い寝をしていたが、我輩は夜行性なので、夜中に一度縄張りを徘徊する癖がある。
我輩のこの癖さえなければ、自分でも猫なのか犬なのか、分からなくなってしまう程だ。
そのような我輩を、ご主人は「ミーは猫じゃなくてまるで犬だな」と言う。

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