不思議な「おばぁさん」の話題です。
もう数年前になりますかねぇ。今のようにバス通勤ではなく、バイクで
通勤していた頃のことです。当時はあまり歩くこともないので夜、自宅の
団地の住宅街をウオーキングしておりました。寝るちょっと前の10時ごろ、
ウオーキングにはちょっと遅い時間帯ですが、誰とも会わなくて歩けるので
その時間帯にしていたのです。すると毎晩ではないんですが、団地の大通りを
おばぁさん、そうですねぇ、70代後半と思える老婆がキャスターに荷物を積んで
それを引きずりながら、とぼとぼと背をかがめて歩いているんですよ。服装は
大変に失礼ながらちょっと貧しいような感じで、ただ黙々と大通りを歩いて
行くんです。普通に考えて、そんな年寄りが少なくもない荷物を引きずって
夜遅くに歩く様はちょっと奇異に見えます。何処に行くのかなぁ、とワシは
気になって遠ざかる老婆を見送るのですが、何処までも続く大通りを黙々と
歩き去って行くのです。そんなことが数回ありました。やがてワシはバスの
通勤に切り替えて、それからは歩く機会も増えたので夜の散歩も止めて、あの
おばぁさんと出会うこともなくなったのですが、今度は繁華街のバス停でその
おばぁさんと出会うので、びっくりしました。ワシの住む団地行きのバス停の
ベンチに座っているのを見かけました。それで、あっ、バスを待ってるんだな、
ワシと同じバスに乗るんだな、と思っておりまして、やがてバスが来て、ワシは
当然に乗りますが、見るとその老婆は乗る様子もなく、バスは発車します。
それから数日のことです。いつものように夜にバスに乗りまして、そうですね、
夜の7時過ぎです。窓際の席から流れる景色をぼーーっと眺めておりましたら、
あの老婆が3号線の歩道をとぼとぼと荷物を引きずって歩いているんです。
バスにも乗らず、うんと遠い団地まで歩いて行くんでしょうか。団地はかなり
高台にあって、坂は相当きついです。そこも徒歩で歩くんでしょうか?
一体、何処まで歩くのでしょう。ワシは気になって気になって・・・
ま、暇なせいでもあるんですが。
そうして今日です。店の外に出て世間を眺めておりましたら、なんと、あの
老婆が、そうです、あの謎の老婆がワシの店の前を通過したんです。
やっぱり少なくはない荷物をキャスターに積んで、それを引きずりながら
とぼとぼと歩き去って行きました。一体何処から、何処まで行くのでしょうか?
そんな、実に謎の多い「おばぁさん」の話題です。
これ、全部実話です。


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