「クローン恐竜に出会う日」 軽部征夫著 同文書院 1993年
前東京大学先端科学技術研究センター教授 現東京工科大学学長で、バイオニクスの世界的権威である氏の興味深い著作。ていうか、かな〜りマニアックな本。
どうして急にこんな本を読もうとしようと思ったのか、と申しますと、まあいろいろありまして…。
マイクル・クライトンの「ジュラシックパーク」という小説は映画になったので有名だが、実際、化石や琥珀の中に残された昆虫から恐竜などの古生物の遺伝子(DNA)をとりだしてクローン恐竜を作る研究もなされているようだが、現時点では不可能だそうだ。
しかしながら、現在、発生工学がどのレベルまで来ているのかということを詳細に記述し、これから恐竜のクローン化、蘇生について技術的に可能なのかどうかをシュミレーションするような書物を作ってくださいという提案が出版社からされ、この本を書かれたそうだ。
恐竜…約2億3000万年前、三畳期の後期に出現して、ジュラ紀、白亜紀と地球の主として君臨し、1億5000万年も生き続けた生物。そして白亜紀の終わりになると、こつ然と姿を消してしまう、そのミステリーが人々の好奇心をそそり、恐竜ファンが多いわけだ。かくいう私もこんな巨大な生物が、現実に存在していたんだー、と遠い億年のかなたに思いをはせながら、いつまでも飽きもせず博物館の恐竜の化石をながめてしまうファンのひとりである。
この私たちが住んでいる場所の深いところにも、恐竜の化石は眠っているかもしれない。それほど、地球上のあらゆるところに彼らの姿は見られたようだ。
蘇生された恐竜たちに会ってみたい、との思いはあるが、現実にそんなことが可能になったら、とっても危険だ。まちがってもティラノザウルスなんか再生しないでほしい。せめて、魚竜や翼竜のような小型恐竜にしてくれー。そして、厳重な檻の中に囲って、恐竜園=ジュラシックパークを作ってくれたら見に行くだろう。
恐竜をよみがえらせる意味、というのは、このような個人的興味を満足させるためだけではなく、哺乳類や鳥類や人類の進化についてもいろいろなことがわかってくる、というところにもある。
さて、現在のバイオテクノロジーの技術では不可能であるとしても、軽部氏は、将来的に、理論的には、恐竜の化石からDNAを取り出して、クローンを蘇生させることは不可能ではない、と語っている。
「ジュラシックパーク」の中では、化石からDNAを取り出し、恐竜を再生させることになっているが、何億年も昔の古生物の化石から、完全なDNAを取り出すことはきわめて困難である、と。手順としては、ある種類の恐竜の化石をたくさん集めてきて、こなごなに粉砕して、それを溶液に入れてDNAを抽出する。今度はそれをアルコールなどで沈殿させて濃縮し、DNAを取り出す。しかし、このDNAとは、デオキシリボ核酸という物質なのだが、これがとても不安定で壊れやすいのだそうだ。取り出せたとしても、断片しか取り出せないのだ。なので、いくら化石を集めても一個体が持っている分のDNAを集めることは困難・・・だそうだ。
ところが、1985年にPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)という技術が開発され、手間がかかったDNAの断片修復や大量増幅が試験管の中で短時間で簡単にできるようになった。
つづく
つづく

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