
剛しいら(絵 巴里)/フロンティアワークス(2005・11月)
【あらすじ】両親を亡くし、悲しみに暮れる天之昴は、星空の下で侯爵と呼ばれる謎の金髪の男に出会う。一目で彼に惹かれていった昴だが、実は彼は純粋種の吸血鬼だった。昴は侯爵の別荘に血液提供者として連れ去られ、最初は途惑うものの、次第に悲しみを背負う侯爵を愛しく思い始めてしまう。一方、侯爵は遠い過去に愛という感情を捨ててきてしまったようで…。
いや〜なんとも不思議なお話でした。
しいらさんの作品は読みたいと思いつつなかなか読めなくて、いまだに『筋肉』と『SM』の印象が強いんですが、こんな不思議なお話も書かれるんですね〜。
ますます大注目の作家さんです♪
【新刊即買い&既刊ちょっとずつ集めちゃうわよ
】な作家さん認定されました(笑)
今度アイノベルズで、
『剛堂小冊子フェア』という、しいらさんと愁堂さんの合同のフェアが開催されるんですが、その時に愁堂さんの作品と共に、しいらさんのアイノベルズ作品もまとめて馬鹿買いしそうです。
さてさて本作で、微妙に避けてきた
『BL吸血鬼もの』にはじめてチャレンジしたわけですが、なんと吸血鬼どころか、
『犬神家』やら
『狼男』やらが登場するわで、大変衝撃的な吸血鬼ものデビューとなりました(笑)
これだけ書くと「笑える作品か!?」と思われそうですが、けっして笑えません。
笑えるポイントはなく、むしろかなり切ないお話でした。
血液提供者として侯爵の屋敷に連れてこられた昴ですが、屋敷には他にも血液提供者がいて、けっして昴だけが特別ではない…というところから、けっこうBLにしては珍しい設定だと思いました。
しかも、血液提供者と侯爵の間にはセクシャルな関係はなく、提供者は侯爵に血液を提供し、侯爵は提供者に健康や能力を与える…という、完璧な相互提供関係を築いています。
そして40歳になる頃には血液提供の役目を終え、記憶を消されて元の世界へと戻るわけです。
ただ例外があって、侯爵の為に血液の研究をしている赤根という研究者は、老人になった今でも侯爵の為に研究を続けています。
この赤根がすごく切ないキャラでした。
彼は侯爵を深く愛していたんですね。
愛していたからこそ侯爵に強くなってほしかった。日の光を恐れる事の無い肉体を侯爵に得てほしかった。
そこで彼は、狼男の血を昴に与え、間接的に侯爵に狼男の血を飲ませたんです。
狼男の血を飲んだ侯爵は発情し、昴を抱く事になります。
昴は侯爵に出会ってから惹かれていき、侯爵を深く愛するようになっていて、そんな昴を侯爵も愛しく思い始めていました。
愛を忘れた侯爵が、狼男の血の威力も借りて、昴と肉体関係を結ぶようになります。
自分をだまして狼男の血を飲ませた赤根の記憶を消し、彼を元の世界へと戻します。
赤根は、そうなることを覚悟していて…。
せつないですぅ!
めちゃせつないです!
愛してはいけない人を愛し、遂げる事のない想いをずっと抱いてきた赤根。
でも、それに負けないくらい、ほんとバカなんじゃないか!?と思うくらい深く侯爵を愛する昴もせつないキャラでした。
とりあえず侯爵と昴は共にいることを選びましたが、今後どう生きていくかはまだまだこれからといった感じです。
続編があるのでしょうか。
そもそも、このお話もシリーズ3作目みたいで、前の2作を読んでいなかったので、登場したキャラが若干わかりにくかったりしたんですが、一応これだけでも十分理解できます。
全体的に不思議な雰囲気がして、BLの新たな一面を見せていただきました。

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