冬
我が家は石油ストーブを使っていました。
田舎とはいえ、エアコンのお家が多かったのですが。
石油ストーブを焚いていると、石油の匂いと湿気が(やかんのも含め)家の空気に混じります。からっかぜに吹かれながらの帰り道、耳は痛いくらい冷たくなります。玄関にたどり着いてドアを開けると、暖かい空気と、ストーブの匂いがぽわんと迎えてくれます。
それから、屑籠の紙や、落ち葉や枯れ木を庭で燃やす匂い。
周りに建物やものがないから匂いが広がるし、燃やせるのでしょう。夏もその光景を目にすることはあるのですが、炎の様子と自分を取り巻く空気の暑さから、見なかったことにしがちです。
冬になると温かさを持ったものがなくなるせいか、なんだか近しいものに感じられ、空気が乾くせいか、匂いが遠くの方からも流れてきます。お隣だけでなく、畑の向こうから学校の向こうから。白い煙も横にすーっと伸びていきます。
ストーブでお餅が焼けてなくても、枯葉の中におさつがなくてもこの匂いを嗅ぐと、なんだか安心します。小さい頃からの家のにおいなので。