土日と大原へ行った。さそわれて「ホタルまつり」を見に行ったのだ。「まつり」とは言ってもなにかがある訳ではない。国道沿いには3軒ばかりの屋台が出ていたが、それ以外には何もない。むしろ外灯もない闇の中をそぞろ歩いていくばかりだ。国道から10メートルばかり入った森の方に近づくにつれ、ほのかに輝いて飛ぶものが見えてくる。
ホタルだ。森の脇にある水田はまだ若い稲穂で水を満々とたたえている。そこに、三日月が写っている。目をこらすと森の方で、光るものが見えた。どうやら、水田の奥の方にある木にたくさんのホタルがとまって発光をシンクロさせているらしい。淡いネオンのように光ったかと思うと暗くなるサイクルを繰り返している。ホタルはその夜に見た限りでは、例年より少ないようである。
おそらく数十万匹といるホタルが、一本の木に鈴なりになってその光の同調リズムを多様に変えてシンクロしている神秘的な光景を見たことがある。もう、ずいぶんと前の話だが、スリランカへ行った折り、スリランカ中部の村で見た神秘的な光景だった。
おそらく、日本で見られる源氏ボタルとは、種類も違うのかも知れないが、その光りかたはほのかなものとはいえ、数の威力で木全体がイルミネーションのように浮かび上がって見えたほどだった。
その光りは、同調と異調を繰り返し、ウエーブを表現するように不思議な波状リズムを刻んでいた。
ボクは、異国で心細い思いでそのホタルの群れの光のリズムに身を任せていて、それでいて催眠術にかかったようにボーッとしていたことを覚えている。
一匹が偶然、手の平に飛び込んで来た。そっと両手でおおうと、手の平の中で淡い提灯のように点滅していた。
ホタルは樹木葬の寺から車で5分あまりの近くにあり、そのためかよく言われるように誰かのタマシイが浮遊しているようにも思われてくるのだった。
水田はおそらくホタルの育成、保護のために減農薬か何かを実践しているのではないかと思われた。初夏の風物詩であったホタルの群舞も、おそらく全国的には減っているはずだ。それとも、再び徐々に増え続けているのだろうか?
(つづく)