日が長くなった、とは言うものの、一旦陽が落ちてしまえば
あっという間に闇に取り込まれてしまう。
すぐそこに迫る夕暮れに、乙巳(いっし)を想わずにいられなかった。
奈良の中心部からそれほど離れていないが、
西大寺から乗り換えなければならないため、多少面倒臭い。
「何かシブイ」と、靖子は微妙な言い方をした。
どういう意味で言ったのか知らないが、「シブイといえばシブイな」。
正直、俺もそう思った。
人目を気にして、必要以上に装わないところがいいと思う。
しかし歴史に隠された変革は、どうやら謎という説も。
「謎といえば靖子も謎だ」
(白鳳に思う・唐招提寺)

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