2014/1/27

コンピュータが計算機と呼ばれた時代【財団法人C&C】  
評価:★★★
日本のコンピュータ史を追った本。
パラメトロンについての評価はなるほどなと思わせるものがあった。

ただ、誤植が酷い。
p146、p211。
プロの校正が入らなかったのかな。著者も名義貸しっぽいなぁ。
値段の割には上質な紙と貴重な写真を使っているんだから、もう少し気を使ってほしかった。

ひとことで書くと、先人エラい。
だからIBMのスパイ事件なんかは当然書いてないwww
まぁエラいよな。
焼野原の戦後に数人の天才たちによって、欧米とはまったく違うコンピュータ史が作られたんだから。
それだけでも誇れるものがある。忘れられる歴史だろうから、こうやって一冊の本としてまとめられた意義は大きいと思う。

コンピュータに関わる人たちにとって有益とは言えないだろうけれど、ひとつの話柄として持っていると便利かもね。
トランジスタだけじゃないって話。

本当に日本のコンピュータ史に興味を持っている人たちにのみオススメ。
ネットで集められた情報とはまた一味違う感覚を持つと思うよ。
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2013/5/12

未来のアトム【田近伸和】  
評価:★★★
ふるい本なので、あまり期待していなかったのだけれども、意外にも読めるものだった。
とくに研究者インタビューは、論文や専門書しか読んでいない人にとっては意義のあるものだと思いたい。
それ以外のところはけっこうしんどいなぁ。ATRの人工脳プロジェクトとか懐かしいね。いまどうなっているんだろう。
コケた研究、かたちが変わってしまった研究と色とりどりで微笑ましい。

建築家ってのは、なんで門外のところにまで手を伸ばす傾向があるんだろうね。ちょこちょこいっちょかみで出てきてかき回して持論を展開したら、消えていっちゃうなぁ。
ベルグソン偏重は、まぁ著者の趣味だろう。
科学的じゃなくても反証できないから入れておく、というのが著者の態度なので、とりあえず読んでおく。
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2013/3/16

人間の境界はどこにあるのだろう?【フェリペ・フェルナンデス=アルメスト】  
評価:★★★
08年翻訳出版。

歴史的に、人間とは一線を画した存在というものがあった。
奴隷や未開人なんかをイメージすると分かりやすい。
現在でもあるのが、中絶や老人の問題だね。あと類人猿の位置づけ。
さらにピグミー族の話とか。
http://www.thesalon.jp/themagazine/social/post-13.html
この本はそういう人間と人間扱いされなかった人たちの境界の歴史を、大雑把に書いてある。

キリスト教圏的な発想での人間の定義なので、やはりなんというか、ヒステリックな歴史を感じる。
いまでもSMが倫理的に大きなタブーだったりすることは、宗教的な意味合いもあるんだろう。
破門された人なんてどういう扱いだったんだろうね。ことばを話せても、人間社会に入れてもらえない人間。
ま、大災害のドサクサに鈍器で殺されそうな人間だっている。
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2013/2/16

コンピュータの発明【能澤徹】  
評価:★☆
ほとんど自費出版という珍書。自分で会社を作って、その会社から出版してやんの。
wordかなんかで作った記事を、そのまま本にしたんじゃないだろうか。
出版業ナメんなよ。

IBMの内部資料が物珍しいって以外の価値は無い。

コンピュータの本で有機的って言葉を読んだのは初めての経験だな。
引用が無かったり、大上段に構えてマルクスの匂いがしたり、句読点や段落に人から指導された経験の無さが見えたり、デルタのフォントがオカしかったり。誤字脱字多数。
あー、この本は第三者の校正が入らないまま世に出てしまったんだなと。
友達いねぇのかな。
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2012/9/21

進化しすぎた脳【池谷裕二】  
評価:★★★★★
中高生を対象として、脳科学の講義を行った本。
脳科学のアップグレード用に買っておいたんだけれど、今年一番の読書体験だったな。
04年出版で、07年にブルーバックス化されているんだけれど、これでとりあえず05年までは追いついたかなというカンジがする。
脳に興味がある人になら、誰にでも紹介できる超良書。

池谷さんは、世界的に有名な脳科学者。
最近の研究はこれ。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120120/index.html
内容にチョー驚いた。



気になった話
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2012/7/8

意識の局在説を強化する実験結果  心理・精神
意識の局在説を肯定する結果
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/pdf/2011/111111_watanabe_web.pdf
ぬぁ〜にい?
追試チョー希望。
一次視覚野を単なる視覚情報素子の一部と考えるのがいいんだろか。他にもいろんな解釈ができそうだな。
意識の中心があるかもしれないのか。ふーむ。
他の哺乳類とか生物だと、どうなるんだろ。
意識を作っている領域だけ壊したら、どうなるんだろ。つーかその領域自体を発見できたらノーベル賞か。
複数の領域同士の通信自体が意識っていう、中間案もあるのか。うむむ。

もうひとつ可能性を。
一次視覚野がたんなる視覚統合のみの仕事しかしていないのだとしたら、一次視覚野を機械として作れちゃう可能性もあるってこと。
この辺はルーシーに期待したいね。

ひとつ確実なのは、ニューラルネット研究が、脳機能とはまた別の情報処理の可能性を持つ、工学的な意味合いのものになっちゃう可能性まで出てきたってことだ。それなりに結果は出し続けているので、心理学におけるゲシュタルトとか、材料工学におけるショットキーダイオードみたいに、完全に消え去るという事はないと思う。
こっち方面に深追いしなくて良かった。追試やこれを軸にした比較研究次第では、ミンスキーの評価まで変わっちゃうねぇ。



ついでに先週拾った脳関連の話。

脂質と意識
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0684.html
意外な組み合わせで、考えたことも無かった。言われてみると、たしかに気になるな。
二足歩行と脳の関係はそこいら中に書いてあるけど。


脳での遺伝子組み換え
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=49475
仮説はあったけど、検証待ちだった。
よーやく実験結果が出て来たね。
変化速度と環境や習慣との因果関係とか、今後に注目。やはりFPGAだったのね。
また論文本体がnatureか。世界中の政府から予算を出して、タダで読ませていただけないのかしら。
まぁやりようはあるんですが、手間と時間とカネがかかるの。
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2012/6/24

MIND HACKS【Tom stafford・Matt Webb】  
評価:★★★★
認知科学、脳科学といったジャンルの、比較的新しい研究をポップに紹介した良書。
アメリカ人はたまにこういういいモンを作るねー。
脳味噌をハッキングする(ハッキングされている?)という発想が面白い。

構成も見事。
テーマを紹介し、なぜそうなるのかを示し、それを証明するための簡易実験方法がついている。
ふーんとへーを連発。
小学生の自由研究にも使える本かもねぇ。
02年以降の認知科学や脳科学の知識がほぼ無いので、非常にためになった。
05年から現在までをカバーするような脳科学本を探さないといけないなー。

日本でもけっこう売れたので、知っている人も多いと思う。
続編も出ているので、安く手に入るようであれば欲しい。

ちょっと風変わりで、ある程度評価の固まった科学書を読みたいという人にお勧め。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4873112710/ref=cm_cr_pr_btm_helpful?ie=UTF8&showViewpoints=0
アマゾンレビューはこんなカンジ。
たしかに深みは無く、ブログ的で、結論も無い。
んでも記憶メカニズムとか読みたい人なら、別の本を読むもんじゃないの。


気になった話をいくつか
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2012/6/16

watsonに対しての覚書  
スパコン『watson』が脳にかなわない理由
http://wired.jp/wv/2011/02/21/スパコン『watson』が脳にかなわない理由/
使用するエネルギーは、10年もあれば半分以下に減らせる。
アメリカ人はこういう一見意味の無さそうな比較がスキだね。まぁ2、30回に一度くらいはこちらがアっと言わされるような比較をするから、まったく意味が無いとも言えないけどさ。
詳細の論文を読んでいないんだけど、Watsonは俺が知る限り地球上で最も成功した自律型人工知能プログラム。Deepblueですら、半自律型。目的特化しているとはいえ、自律型、という点が圧倒的にスゴイ。そんなもん他に無いもの。


http://m.pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kyokai/20110323_434297.html
人によって人工知能の定義は違うけれども、あれは人工知能だと言っちゃっても別にかまわないでしょう。
OS,DB,検索というもんは、人工知能研究から派生したものだから。
んでもま、検索システムとした方が聞こえはいいし、プログラムについてもイメージしやすい。
(1)クイズ番組の問題に特化した、自然言語処理
(2)上記を用いた検索
(3)検索結果を仮説とした推論
(4)クイズ番組の問題に特化した、推論の重み付け
という組み合わせかな。
(4)のとこが、いちばん厄介。クイズ番組という制約があるからこそ、なんとか成功できたとあえて書いちゃおう。一般化が難しいところで、俺がいちばん興味のあるところ。
(1)については、汎用化の可能性が出てくる。プログラミング言語の設計とかアセンブラの設計とか、そういうものに印象が近い。


http://www-06.ibm.com/ibm/jp/lead/ideasfromibm/watson/index2.html
IBMとしては、医療支援システムとしての研究に、もっとも関心があるみたい。


http://togetter.com/li/102117
こちらはtwitterによる実況中継。
クイズのルール戦略もデカい要素だねー。


http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20110310/1030705/
内容としてはPCwatchの方がはるか上。


NHKスペシャル コンピュータ革命
watsonを人工知能って言っちゃった。まぁいいけど。
人間と同じように考えるって言っちゃった。人間と同じようには考えていない。人間と同等のパフォーマンスを示せただけ。PCwatch記事を参考。
機械学習はぜんぜん新しい概念ではないです。20年以上前からあった。
インスピレーションを感じた、というクイズ対戦者のコメントは編集やりすぎ。見ての通り、大勢の人がすごく頑張って作った、ただのプログラムです。

医療現場において一部watsonを実用化。
んー。新しい病気をどうやって発見するんだろう。
医療現場において、既知の病気について人間をバックアップするシステムという程度に考えてもらわないと。
なんでもかんでもコンピュータまかせにすりゃいい、というもんでもないでしょう。

フラッシュクラッシュについて。
ヘンな下げがある時に取引を止める仕組みが無いから、プログラムひとつに翻弄される。
NYのみの事象であって、東京市場での影響は限定的です。
あと、コンピュータの意思決定はプログラムを組んだ人間の仕掛けです。コンピュータが暴走しているわけじゃないです。


京について。
心臓シミュレータ。
人類が心臓について100%完全に理解していないと、精度の高い予測の域を出ないです。
たとえ今まで組み入れることができなかった生理的知見を実装したシミュレータであっても、やはり同じです。

リアルタイム防災シミュレーション
完全に手詰まりになった時、あなたは死にますって、携帯に出すつもりなんでしょうか。
どうもこのジャンルは、あまりコンピュータには向いていない感じがする。学問としては興味深いけれども。

番組の感想を一言でいえば、やりすぎの期待過剰。
つーか誰が作ったんだこれ。


総論。
自律型人工知能として、現状で達成できるひとつの金字塔だったのだと思います。
んでも期待感が先行しすぎているんじゃないのかなぁ。
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2012/5/20

情報をエネルギーに変換することに成功  
情報をエネルギーに変換することに成功
http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/pressrelease_files/kouho_926d762ef5d729c7544d1276739468c5_1289788403.pdf
ええええええええ?
これでなんかしらのデバイスを作れたら、ノーベル賞ものの成果なんじゃね。

こちらが詳しい。政府刊行物。
http://j-net21.smrj.go.jp/develop/digital/entry/001-20110323-01.html
震災二日後に公開している点はとりあえず置いておこう。
原子のエネルギー準位を電磁波でFB回路として制御した、という表現の方が、コンピュータ畑の人にとって分かりやすいかも。
この場合の情報ってのは、原子のエネルギー準位がどういう状態であるのか、という内容(間違ってたらスンマセン)

どーいう具合になにを設計すりゃいいのか、見当もつかない。決して安定したシステムでも、ロバストなシステムでも、フェイルセーフが効くシステムでも無いし。
なによりこの回路、ひたすら発散しちゃうし。

まぁざっと頭に浮かぶのは、人工筋肉とか、人工神経とかかなぁ。でもノイズ判定やエラー判定をどうすりゃいいんだろ。
バイオ工学やサイバネティクスの方面に明るい人の方が価値を分かっているかもね。

エネルギーを情報にする方なら身近なんだけど、逆となるとまったく発想が湧いてこない。
うーーーーむ。これだけ悩むか。
もう三日も引っかかっている。
自分のテーマと結びつきそうな、結びつかなそうな。

未知のシステムの可能性って、なんでこうも魅力的なのかね。
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2012/5/20

「無限」に魅入られた天才数学者たち【アミール・D・アクゼル】  
評価:★★★★☆
実際のとこ、工学部で無限についての数学はほとんどやらない。
というか、いかに無限を有限に丸めこむのか、というテクニックを中心に教わる。
無限についての数学ってどんなのがあるの?と疑問を持ったら、自分で学ぶしかない。
とりあえずの入門書として、これは格好の出来。勉強になりました。
翻訳者買いをした一冊なんだけれども、青木薫さんの本は助かるねー。


古代ギリシャから始まり、ユダヤ教のカバラ、ガリレオ、ワイエルシュトラウス、リーマン、カントール、リーマン。
名前を読むだけででもワクワクドキドキ。

きちんと宗教とも向き合って数学を語る姿勢もいい。
キリスト教圏では、無限=神と言ってもいい。
なにせ0ですら宗教的な理由でなかなか導入できなかったんだから。
ローマ法王がカントールを支持しなかった歴史を想像しただけでも空恐ろしい。
こういう具合に数学史を教えてもらえないもんだからねぇ。

理解できたかどうかと聞かれると、あんまり自信が無い。
実無限自体の理解も相当に難しい。
自分でも理解できているのかどうか自信がない。部分的にでも無限を巡る数学的議論を知ることができただけでもラッキー。
数学的な定義自体は憶えることや導き出すことができても、数学に向き合わざるを得ない状況に置かれると、核心に触れている感覚がガキの頃から非常に薄い。

なんで現代で分かっている数学が、これほどカバラに似てくるのか。
あるいは曼荼羅に似てくるのか。電子の動きに似てくるのか。
整数が絡むと、なぜか似たような動きが出てくる。なぜなのか、という問いに対して、明確な答えはいまのところ無い。

しかしまぁ、呪いのように研究者が死んでゆく。。
魅了されて死んでゆくのだから、それなりに幸せだったのだと思いたい。


さて、本編ダイジェスト。
ガリレオと実無限との出会い。無限集合の性質の発見。
ボルツィアーノによる、連続だが微分が不可能な関数の発見。
カントールによる集合論。(1)集合論から出発して実無限に到達できたこと(2)実無限の実像を知ったこと。
数学の新時代の幕開け。
しかしカントール自身は途方に暮れていた。無限の性質を証明できたは良いが、どう解釈をしたらいいのか見当がつかなかったためだ。
そしてカントールは自問する。無限にも次元というものがある。次元の違う無限は、どう序列をつけたらいいのだろうか?具体的に言うと、「平面上に乗っている数は、直線に乗っている数よりも多いのだろうか?」
どーやら無限大ℵ0(アレフ)に整数を足してもℵ0らしい。ℵ0+ℵ0=ℵ0になるらしい。どーいう証明なのかは読んでいて分からないけれども、とにかくそうらしい。
追い詰められたカントールに続いて、今度はゲーデルがやってきて、ラッセルを地獄へと叩き落とす。連続体仮説が集合論と矛盾しないことを証明できたが、一方で連続体仮説が無くても集合論は矛盾しない。
一気に現代へと持っていく。カントールが発見できなかった基数が発見される。無限にも階層がある、ということが証明された。基数は4。ただし、なぜ「4」であるのかは誰にも説明できない。


コンピュータサイエンスで重要そうな話をひとつ。
「すべてのものが無限に分割可能であることを示す証拠は何もない」いまのところは。
数というものが本当にあるのかと問われたら、どうやらあるみたいだとは言える。しかし、どれくらいの数がこの宇宙に存在しているのか?という問いに対しての解答は無い。
フロンティアを面白がる人間であるなら、この不確定要素というものによって知りたいという欲望を刺激されるだろう。ちょっとビビりながらね。


とにかく、読んでいてわくわくした。
人類にとって既知であることと未知であることの境界線の上で、天才たちが踊り続けたダンスを見ることができる。
すげー高いところから、不安定な足場で下界を見るかのような、漆黒の深淵を覗き込むような怖さがある。
宗教的意味付けがされる理由を、理屈ではなく生理的に感じてしまうな。



お気に入りのフレーズ。
「なんびとたりとも、ゲオルク・カントールが開いてくれた楽園からわれわれを追い出すことはできない」
ダヴィッド・ヒルベルト
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