2005/4/11
前回、書き終えてから、何か肝腎なことを書き忘れていると思いつつも、とうとう思い出せないままに、たださえ長すぎる雑文なのだしと、適当なところでお茶を濁してしまった。
書き忘れていたこととは、そう、カラスという名称の語源について、である。
といっても、知る人ぞ知るだし、知っている方にとっては、何を今更なのだろうけれど、暇(じゃない)徒然に、あれこれ書き綴ってみたい。
ネットを「カラス」と「語源」の二つをキーワードにして検索してみると、相当程度に関連サイトが引っ掛かってくる。その中からアトランダムに幾つかをピックアップする形を取る。
まず、「たなぼた」というサイト:
ここによると、「そもそもこの『カラス』という名前の語源は『カラ』の部分があのカーカーという鳴き声で、最後の『ス』はウグイスやホトトギスなどと同じく鳥を意味する言葉なのだという。」と書いてある。その出典などが明示されていないのがもどかしい。
ただ、「鳥」と「烏」という漢字表記に絡めての一文が面白い。曰く、「『鳥』というのはその姿を表した象形文字の象徴であるが、上部の『白』に見える部分の中の横棒は本来黒丸で、顔の中の目を意味しているものだ」「ところがカラスは真っ黒で、どこに目があるかわからなかったのでそれを省略してしまって『烏』という字になったのだという」
これも、典拠が示されていないので、話は面白いが、どう受け止めていいのか、判断に迷う。
このサイトでは、「さらに話は変わって、『髪はカラスの濡れ羽色』という言葉をご存じだろうか」と続く。そう、確かに、「古来、日本女性のつややかな黒髪は、欧米人からも憧れられるほど魅力的なものだった」のである。往年の日本の映画を見てみると、それが一目瞭然である。
言うまでもないが、間違っても、濡れ場色ではないので、表記する際には、注意が要る(小生にしても、未だに濡れ場色と聞こえてしまう)。カラスの行水なら、聞いたことがあるが、カラスの濡れ場というのは、一体、何を思い浮かべれば良いのか、小生には分からないし。
聞く所によると、カラスの羽の色が一番、綺麗で輝くのは、繁殖期だという。…ということは…、やっぱり、濡れ場色というのは、案外と的を射ているのかもしれない。
ただ、あからさまな表現を避けて、しかし、それでも濡れ場という雰囲気は残したくて、濡れ場と蒸れ場と羽根とを組み合わせて濡れ羽色という表現に落ち着いた経緯があるのかもしれない(この辺りは、ほとんど、小生の作り話である。典拠は多分、ない)。
さて、別のサイトへ飛ぼう。「「知」へのメッセージ (からす編−前編) 記者:愛川 良樹」である:
ここでは、「カラス(烏、鴉)という語源ですが、これは「気をからす:悪気(邪気)をからす(取り除く)」というところから付けられたということです」と書いてある。「辞書などには、「人里近くの高い木などで群れをなして生活する。昔から不吉な鳥とされる。」とあります(学研現代新国語辞典より)。」とも。
こういうふうに出典が示してあると、更なる探求ができるので、非常にありがたい。
このサイトには、「「古来、熊野の神の使いとして知られ、また、その鳴き声は不吉なものとされている。」ということも書かれている文献ものもあるということです」とあるのだが、できればその文献を示して欲しかった。
ただ、「カラスはその神の使い」というのは、有名な話で、小生も知っている。そういえば、日本サッカー協会がカラスをシンボルマークにしたのも、古代中国では、カラスが神の使いとして崇められていたからに他ならない。
但し、そのカラスは三本足なのだが。そう、和歌山県本宮市の熊野本宮大社で崇められているカラスも三本足で、八咫烏(やたがらす)と呼ばれている。この辺りのことは、下記サイトが詳しいし分かりやすく書かれている:
このサイトの文を読んで、「神社の「鳥居」も神の使いの霊鳥の為の「とまり木」」だという指摘も、改めて気付かせてくれた。鳥居と米(農耕生活)とカラスとが関連しているのでは…、というのは、小生の憶測である。
カラスという言葉の語源の話に戻る。下記サイトにも興味深い説が紹介されている:
曰く、「貝原益軒、新井白石は、カラスの体の色が黒いことから「黒し」、これにホトトギス、モズ、カケスなどと同じように、鳥の接尾語である「ス」がついたものといっています。また、カラスの鳴き声を「コロク」と聞き、これが転化しカラスになったという説があります。満州語で「カラ」は黒の意味があり、ウのことをカラスといっており、これが起源ではないかという説などがあります。」
尚、このサイトには、先の烏という漢字に関係する説明も書いてあった。
つまり、「カラスの漢字は、烏、鴉、慈鳥をあてることが普通です。」とした上で、「烏は、象形文字の鳥に対し、カラスが黒く、黒い目がどこにあるのかかわらないので、1画ないのが由来となっています」とある。先の説に信憑性があるということか。
さらに、「鴉は、「あ」と読みカラスの鳴き声に由来する表音文字です。おもにハシブトガラスにあてる漢字とされています」とも書いてある。
「慈鳥」と言う表記についても、説明が加えてある。興味ある方は、上掲のサイトを閲読願いたい。
カラスについての文献をネットで探していたら、下記のサイトをヒットした:
「カラスにまつわるあれこれ」
これを読んでいて、カラスについては、語るべきことがまだまだあるのだと、
つくづく感じさせられた。
カラスについて、より詳しく知りたい方は、下記の本を読まれるといいかもし
れない。但し、小生は読んでいないのだが(読みたい!):
「カラスはどれほど賢いか」(唐沢孝一、中公新書)
「カラス、どこが悪い!?」(樋口広芳・森下英美子、小学館文庫)
「カラス、なぜ襲う」(松田道生、河出書房新社)
カラス、その中でも、コクマルガラスを観察したエピソードなどを書いた、コ
ンラート・ローレンツ著『ソロモンの指環―動物行動学入門』(日高 敏隆訳、ハ
ヤカワ文庫 NF)は秀逸。動物好きなら、枕頭の書になるだろう:
同氏の『人イヌにあう』(小原 秀雄訳、至誠堂選書 1)も、今回の話題に関
係ないのだが、動物関連では忘れられない書の一つである。
(04/04/08)

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