2010/4/27

ワークショップによる都市分析に関する考察  

今日のゼミでのアドバイス
@研究の目的・意義のところで、どんな風にまとめるのかスケッチでいいから描く
A辞書的意味で、いつから「ワークショップ」がでてくるか調べてるのは面白い。


今日のレジメ↓↓

0.研究の背景
「つくる」というコミュニケーション手段を考察するために、昨年度は石山アートプロジェクトに取り組んだ。このプロジェクトは、石山商店街をフィールドとしている。主な活動内容としては、作家、ハンディキャップを持つ人、石山に暮らす人が集まって、石山のアートを制作することである。
このプロジェクトの成果の一つに挙げられることは、「ワークショップ」という手法を用いて石山のアートを制作し、現在の石山を切り取り、保存したことである。

ワークショップという手法は、近年、芸術の分野(特に舞台芸術や現代美術)やまちづくりの分野で用いられるようになった新しい手法である。
ワークショップという手法をはじめて利用したのは、「人種差別をなくすために働くソーシャルワーカーのワークショップ」(*1)であると言われる。このワークショップは、クルト・レヴィン(*2)がリーダーになって行われた。内容は、市民意識の啓発と実践的トレーニングなど。このワークショップで実験的に導入された社会的技法や対話学習法が、後の社会教育法や心理療法の分野に大きな影響を与えた。カール・ロジャース(*3)は、この体験的参加学習方法は20世紀の画期的発明であると語ったほどであったという。

参考文献
・中野民夫(2001)『ワークショップ』岩波書店

1.「ワークショップ」の定義 
「ワークショップ」は新しい手法であり、その定義は用いられる分野によって少し異なる。共通点する要素は、『「協働」して何かを創造すること』である。

1-1.「ワークショップ」の辞書的意味
「ワークショップ」本来の意味である「仕事場」や「作業場」という意味に加えて、「研究集会」といった意味で定義している辞書が多い。(*4 ワークショップの辞書的意味)『現代用語の基礎知識』シリーズを遡ると、

1-2.芸術分野における「ワークショップ」の定義

1-3.まちづくりの分野における「ワークショップ」の定義

1-4.その他文献の中に見られる定義
・「講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学びあったり創り出したりする学びと創造のスタイル」
中野民夫(2001)「ワークショップ」岩波書店

1-5.本研究における「ワークショップ」の定義

2.研究の目的と意義
本研究では、都市を構成する様々な領域の人が参加するワークショップが都市を分析するツールとなるかを考察することを目的としている。その事例として、昨年度、大津市石山商店街をフィールドとした「石山アートプロジェクト」を事例として考察する。
本研究の意義としては、
@既往研究において、ワークショップは集合住宅の建て替えのための合意形成や住民参加のための手法としての研究がほとんどであること
Aワークショップを都市を分析するためのツールとして考察した既往研究は見当たらないこと
B近年、様々な分野で用いられるようになったワークショップの事例として石山アートプロジェクトを考察すること
である。


3.石山アートプロジェクトの概要とまとめ

3-1.石山商店街について

3-2.石山のアート制作

3-3.石山のアート展示

3-3-1.石山アートまつり

3-3-2.石山アートプロジェクト巡回展

3-4.石山アートプロジェクト考察
4.研究方法
4-1.既往研究の調査
4-1-1.ワークショップの考察
・「総合学習の時間を活用したワークショップにおける参加意識を高めるための方法に関する考察」(*5)
アーティストを迎え、北九州市門司区地蔵面地区の施設整備や利用に関してワークショップ形式で提案内容をつくっていく。参加者は小学生とその担任。運営組織の参加意識について、アンケートやインタビューから考察している。

・「地域協働型まちづくりにおける市民提案のための『場』のデザインの変遷と行政支援のあり方」(*6)
この論文における「場」の定義は、「創造やアイディアを生み出すための双方向の情報交換としてのコミュニケーションの場所」としており、現象としての「場」について述べられている。都市やまちという意味での「場」における考察ではない。



4-1-2.都市を分析する手法
・「音符表記によるスカイラインの心理量分析―都市のスカイライン記号表現による研究(その4)―」(*7)
スカイラインを音符により表現し、その構成について分析している。この論文では、「スカイラインの音楽」を聞き、その印象評価をSD法を用いて分析している。

・「影を用いた建築や都市の密度感に関する考察」(*8)
影を分析することで都市の密度感を記述することを目的にしている。商業地域の日影規制にも言及している。

4-1-3.都市空間におけるイベントの考察
・「阿波踊りにおけるパフォーマンス空間の変容に関する研究」(*9)
阿波踊りが「ワークショップ」であるとは言い難いが、イベントで都市に一時的に空間を創出する点ではワークショップと共通している。阿波踊りは、社会学・民俗学・歴史学の観点から論じられたものはあるが、空間という観点からは、この研究がはじめて取り上げている。阿波踊りは都市構造の変化や観光化から、地域コミュニティの盆踊りという枠を越えて公共空間へ進出するようになった過程を空間的な変遷からまとめている。考察としては、「祭りが均質化した都市の個性として重要な役割を果す」と論じられている。
4-2.文献調査
4-2-1.都市を分析する手法
・都市のコレオグラフィ―「AAスクール ディプロマユニット9 東京コラボレーション・ワークショップ―」(*10)
ウェインストック(*11)は、メルロ・ポンティの「知覚の現象学」を通して、都市行動学的アプローチから都市を解析している。このワークショップでは、都市空間のフローや流動性の検証から新しい建築のプロとタイプをつくることを目的としている。流動性の検証では、マルチプル・センター(*12)がセミラティス構造と類似していることから、建築空間への応用を考察している。

4-3.事例調査
4-3-1.ワークショップ
・こどもたちの平和公園―こどものけんちくワークショップ―(*13)
音楽や絵画の教育と同様、建築の教育が子どもたちに必要と考えている伊藤豊雄によるワークショップ。会場には大きな敷地模型を用意する。子どもたちも、事前に都市のシンボルとなるような建造物の模型をつくってもらう。模型の対象や材料などは自由である。ワークショップ当日は、それらの模型を敷地模型におき、紙やペンなどで模型をつなぎ、みんなで「まち」をつくっていく。スタッフとして、建築系の学生がサポートする。
ワークショップで印象的だったのは、最後のまとめの際、子どもたちが静かで手法も建築的であった。音楽や絵画、教育などを学ぶ学生スタッフが入ることで、参加者である子どもやその家族にとってもわかりやすいワークショップになったのではないだろうか。

・ひろしまとヒロシマさがし、未来づくり(*14)
広島市内の都市や建築に関するクイズを行い、まちあるきへの導入を図る。まちあるきでは、被爆建造物に触れることで過去を知る。それらの建造物を現在の地図にプロットし、現在の都市を俯瞰する。そして、未来の都市がどのようになっているか想像するワークショップ。日本都市計画学会中国四国支部のメンバーの6人がファシリテーターを務めた。
未来を想像する部分で、子どもたちが参加できていない印象。

・かべコミュ(*15)
三六判のダンボールを壁に見立てて、一人一枚ずつ部屋の内部に絵を描く。できあがった壁から他の人とつながったり、小さな空間や大きなコミュニティについて考える。
ダンボールでつくった空間をまちに見立てるという手法が興味深い。原初的な建築形態から都市空間や周囲の環境、さらにはコミュニティまで想像させるワークショップであった。

4-3-2.商店街・地域におけるアート系プロジェクト
・越後妻有
・大垣ビエンナーレ
・昭和女子大学杉浦研究室
・アーティストインレジデンス


*1 1946年、アメリカ コネティカット州ニューブリテン市で行われた。
*2 心理学者。集団力学の創始者。
*3 アメリカの臨床心理学者。来談者中心療法。
*4 ワークショップの辞書的意味
1976『日本国語大辞典』第20巻 小学館 @研究集会。参加者が専門家の助言を得ながら問題解決のために行う協同研究。
1977『講談社英和辞典』講談社【Workshop】@仕事場。工作場。職場。A(参加者が実習を行う)研修会。共同研究会。
1981『国語大辞典』尚学図書 @研究集会。参加者が専門家の助言を得ながら問題解決のために行う協同研究。
1988『新選国語辞典』小学館 @研究集会。
1989『福武国語辞典』ベネッセコーポレーション @(教師の)研究集会。
1989『学研国語大辞典』学習研究社 @仕事場。作業場。Aあるテーマについて、主として実地の応用を交えながら、参加者が意見を交換したり、技術などの紹介をしたりする研究会。研究集会。
1992『旺文社国語辞典』第8版 旺文社 
@研究発表会。研究集会。セミナー。
1992『デスク版 講談社国語辞典』講談社 @仕事場。作業場。A研究集会。
1993『辞林21』三省堂 @仕事場。作業場。A所定の課題についての事前研究の結果を持ち寄って、討議を重ねる形の研修会。教員、社会教育指導者の研修や企業教育で採用されることが多い。
1994『岩波国語辞典』第5版 岩波書店
記述なし
1995『ブリタニカ国際大百科事典』第19巻 ティビーエス・ブリタニカ 記述なし
1995『日本語大辞典』第二版 講談社 
@作業場。A参加者が自主的に運営、活動する方式の研究集会。教職員の研修・観客参加による演劇・芝居づくりなど。
1995『大辞泉』小学館 @仕事場。作業場。A参加者が専門家の助言を得ながら問題解決のために行う研究集会。B参加者が自主的活動方式で行う講習会。
1996『ポケットプログレッシブカタカナ語辞典』小学館 記述なし
1996『現代用語新辞典』梧桐書院 記述なし
1997『新明解国語辞典』三省堂 @教師が研究のために集まる会。研究集会。
1997『NAVIX』講談社 記述なし
1998『世界大百科事典』第30巻 平凡社 記述なし
2002『日本国語大辞典』第二版 第13巻 小学館 @仕事場。作業場。A研究集会。参加者が専門家の助言を得ながら問題解決のために行う協同研究。B講習会。とくに、参加者が自主的に行動して行う講習会。
2006『デイリーコンサイス カタカナ語辞典』第二版 三省堂 @仕事場。作業場。A研究集会。講習会。B舞台芸術などで、組織の枠を超えた参加者の共同による実験的な舞台づくり。
2006『大辞林』第3版 三省堂 @仕事場。作業場。A研究集会。講習会。B舞台芸術などで、組織枠を超えた参加者による講習や実験的な舞台づくり。
2009『カタカナ 外来語/略語辞典』
自由国民社 WS=ワークステーション
※WS≠ワークショップ
2010『現代用語の基礎知識2010』自由国民社 @体験する講習会。A研究会。討論会。B作業場。工場。工房。
*5 梶山篤史・仲間浩一(2003)日本都市計画学会都市計画論文集No.41-3 pp271-276
*6 田中晃代(2008)日本都市計画学会都市計画論文集No.43-3 pp385-390
*7 土田寛・積田洋・阿久津沙文(2008)日本建築学会大会学術講演梗概集 pp733-734
*8 藤本健太郎(2010) 2009年度東京大学大学院建築学専攻 修士論文
*9 坂東裕介・木下光・丸茂弘幸(2007) 日本都市計画学会都市計画論文集No.42-3 pp31-36
*10 納村信之・田島則行(編集・監修)(2001)
(メディア・デザイン研究所(編集)(2001)『10+1 No.24 フィールドワーク/歩行と視線』INAX出版より)
*11 AAスクール ディプロマユニット9
*12 ダンス・ムーブメントで発生する無数の中心とその連携のこと
*13 日時:2010年4月24日 場所:広島市立袋町小学校講堂(こども環境学会大会2010年大会)にて 講師:伊東豊雄 参加者:小学校中学年〜中学生30人程度+保護者
*14 日時:2010年4月24日 場所:広島市まちづくり市民交流プラザ(こども環境学会大会2010年大会)にて 講師:松波龍一 参加者:小学校中学年〜中学生10人程度+保護者
*15 日時:2010年4月24日 場所:広島市まちづくり市民交流プラザ(こども環境学会大会2010年大会)にて 講師:粕谷周司 参加者:3歳〜未就学児・小学生+保護者





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