さて、手術するという前提が決まって、「いつが都合いいですか?」とか「○月×日に来てください」とはならない。 経験済みの方はご存知だろうが、病院のスケジュールの空きにこっちが合わせなければならない。
そして、前説も受けなきゃならない。 でもって引き続きT.O医師から説明を受ける。 A4用紙1枚に以下のようなことが書かれたものを上から順に確認していく。
[腫瘍の種類] 悪性腫瘍のうち、乳頭癌
[手術する理由] 悪性腫瘍だから
[手術法] 甲状腺の全摘、リンパ節郭清は中央部のみ
[甲状腺の手術に特有の合併症]
1.(後)出血・・・頚部の腫れ、呼吸困難・頻度1%以下・起こった場合は再手術の可能性
2.反回神経麻痺・・・声のかすれ、むせ・頻度1%
3.副甲状腺機能低下・・・しびれ、こわばり・頻度1〜10%・起こった場合はカルシウム・ビタミンD
[一般的な合併症]
心血管系・・・虚血性障害、重大な不整脈、心不全など
呼吸器系・・・肺炎、無気肺など
その他・・・深部静脈血症による肺血栓塞栓症=エコノミークラス症候群
[手術後によく起こること]
2〜3日で軽快するもの・・・のどの痛み、後頚部から肩にかけての痛み、発熱
数ヶ月で徐々に軽快するもの・・・創部とその周囲の腫れ、違和感
[甲状腺機能の経過] 全摘なので、機能は全く残らない
わたしの場合、周囲への浸潤はなさそうで、手術全般としてはシンプルで標準的な全摘。 ただし、開いてみたら、あらら・・・という場合もなくはないので、その場合はその場で判断して範囲を拡大したりするということだ。
珍しい手術じゃないけれど、T.O医師は「簡単だよー」とは言わない。 模型を示しながら「甲状腺はこんな風に、神経や気管にぴったりくっついてるから難しいんだよ」といいつつ、その甲状腺をパカッとはずして「これが反回神経、傷つけないよう細心の注意を払ってやります」「でも、実際の体内こんな風にハッキリパーツに分かれては見えないし、神経は繊細なので、麻痺することもあります」と。
わたし「声に支障が出ますよね?」
T.O医師「片方でそれくらいだといいけど、両方の声帯が閉じっぱなしになると気管が閉じてしまって呼吸ができないので、気管切開ということも有り得ます」
わたし「ひょっとして、一生そのままみたいなことに?」
T.O医師「回復することもしないこともあります。 強く傷ついたり、切断されていれば自然回復は無理」
わたし「ぎょえー」
いままでわたしは反回神経→声の問題、と捉えてきたけれど、1%の確率とはいえ、それ以上のことも覚悟しなければならないのね。(汗)
ちなみに、反回神経が無事でも、やはり声は変わるし、高い声が出にくくなると。 今まではそんなの気のせいだという先生もいたけれど、T.O医師はそうは考えていないらしい。
肺血栓塞栓症については、手術中にも注意はするが、そのあとしばらくしてから(3週間以内くらい)血栓がポロリと取れて肺へ運ばれて起こるということも。 確率は手術の難しさやかかった時間には必ずしも関係しない。 この病院のこの手術では一名の女性の方で術中に発生したことがあって、やはり困難な手術ではなくて40分くらいの時点だったとのこと。
機能低下については、全部取っ払っちゃうんだからしかたない。 一生にわたって甲状腺ホルモンを服用し続けることになる。 副作用はほとんどないというけれど、必ず服用しなければならないという点で、これはけっこうキツい。
今は全ての病気について自分で通院して薬を受け取り、服用を管理することができるけれど、もし自分でできなくなった場合、忘れられて死んじゃうことも想像できる。 いまからそんな心配を?と笑う先生も多いが、わたしは兄弟も子供もいないので、天涯孤独になる確率は高い。 心臓の薬と言われれば命に関わるとイメージだけど、甲状腺の薬と言われてもピンと来ない、そんなのどうでもいいんじゃないの、と思われそうである。
ま、悩んでみても解決しないことはともかく、あと詰めなきゃならないことは、不整脈について。