2009/11/18

雨の深夜の緑の香。トーマス・ドルビー 1984  ロック

クリックすると元のサイズで表示します

 トーマス・ドルビーは、なかなかにセンセーショナルだったシングル
『彼女はサイエンス』の成功以来、ソロアーチストであると
同時に、他アーチストのプロデューサーとしての「鬼才」ぶりが
注目されていた時期があった。

 一方のプロデュース業における代表作は、なんと云っても
プリファブ・スプラウトの『スティーヴ・マックイーン』だろう。
トーマス印のトリートメントも鮮やかに、冬間近のからっ風駆け抜ける
青春の彷徨が美しい、80年代を代表する永遠の名作だが、個人的には
もう一枚、大御所ジョニ・ミッチェルのゲフィン移籍2作目
『ドッグ・イート・ドッグ』の滋味も忘れがたいところ。

 オーガニックな感触のエレクトロニクスに包まれ、より冷ややかな
ジョニのクールな声が、これまたミョ〜にイイ感じで。
惜しむらくは、肝心の楽曲にやや出来ムラが目立つ…のだが
この邂逅ならではの「奇跡の数曲」が、あまりに素晴らしい。
「録りだけ」にフォーカスしても参考書的な、埋れさすには
あまりに惜しい、発見満載の一枚だ。

 …で、本題。ファースト『光と物体』に続く
第二作目『地平球』(1984発表)のご紹介。
前作時の「白衣を纏った科学者風な出で立ちで
知的な印象を放つ」ポップな「アイドル」から
上昇の気に乗って、次のステージに羽ばたく
秘めた「鬼才」が一気に爆発!の最高傑作。

 奥行き深い、音のキャンバスに、硬質なエレクトロニクスの
粒立ちよいパルスで描く、ムーディな風香るトーマス・ワールド。
さらに磨きがかかった「妙にオーガニック」な質感が
ひたすら美しい!

 スウィングしながら地を這うジャズなベースラインに
冷たい水滴染み出して‥ 揺れ立ち上る濃い緑香の風に
いつしか「ここではないどこかの」過去生が現れる‥
呆れるほどのオリジナリティ。まさに「風の鬼才」の仕業。

 しかしその後、これを越える‥どころか、迫る作品さえ
生まれていないことが真に惜しまれる‥2000年越えの
腕組みでしみじみ‥「こんな感じ、他に知らない。」




2009/11/12

レヴェル42、爽やかな英国ファンクの集大成。  ロック

クリックすると元のサイズで表示します
 
 シャキッとした歯ごたえ、新鮮な青菜の如きファンク・サウンド。
しかし、これ「ファンク」と呼ぶには、あまりに爽やかで‥
単にフュージョンと呼んで構わないような‥ いやいや‥
やっぱりコレも、ファンクでしょ‥ってトコで、最初から云い直そう。
やさしく、切ない‥ 世界にひとつ「風のUKファンク」、それがレヴェル42。

 レッドにホットに、チョコレート。その反復の臨界点に爆ぜ
日常を一気に越える、ファンクな官能マジックは、無きに近しとも
ポップスやロック、当世の流行をしっかり頂いた哀愁の旋律と
知的な転調が綾なす、清冽なる音の織物は、こと夜空に羽ばたく
唯一無二、さわやかな「異端のファンク」の最高峰!

 心優しき鉄腕4人のアンサンブルによる、テクニカルな
カッチョよさに、染み出だす哀愁の滋味が、これまた何とも
いとおしい、その歴史をギュッ!と圧縮‥してみたら‥
2枚に及んだ特盛豪華ベスト盤!『ゴールド』のご紹介と
参りましょうか!

 瑞々しくも、どこか内省的な初期から、当時のチャート的、
歌もの旨味を捉え、ついに世界的大ブレイクを果たす名曲
『サムシング・アバウト・ユー』、お次はノリに乗ったり
『レッスンズ・イン・ラヴ』『ラニング・イン・ザ・ファミリー』
威風堂々のファンファーレを高らかに鳴らす『ヘヴン・イン・マイ・ハンズ』
などなど‥忘れじの名曲をもれなく収録した、メチャメチャお得な2枚組。

 個人的には、「世界的ブレイク前夜」となる
『サン・ゴーズ・ダウン』『マイクロ・キッド』
今また「グッと」心に効くのだけど、収録のどれもが親密に心くすぐり
開く心の荒野に優しく吹き込む、遠くドーバー海峡からの叙情の海風が
いつしか心身のコリを解してくれた‥ 来る師走の気負った心のどこかを
スッキリさせる、なんとも風通しの良い、贅沢な2枚組だ。


2009/11/11

『ダイヤモンド・ライフ』 シャーデー 1984  ソウル R&B

クリックすると元のサイズで表示します

 周り周るよ時代の中で、時代に変わらず
同時に時代に磨かれたとも云える「ジャジー」で
「ソウルフル」な、1984・UK発のこの一枚は
どちらに傾いた「直情にあらず」、ふたつのカッコイイ部分を
スラリとクールに纏いつつも… 軽すぎずの、絶妙すぎる重量感。
それは「狙い済ました…」以上に、天然まさるセンスの賜物。
デビュー作にして大物感みなぎる、ふてぶてしいまでのカッコ良さ。
どこを切っても「いちいち格好よい」永遠の名作だ。

 音の粒立ちクリアーな、程よい80年代なサウンドメイクも
飽きの来ないツボであり、その感触は「ディーヴァと呼ぶには
キャリアで男っぽい」バーシアのファースト・ソロに近しくも
何度でも耳に美味しい、手ごろでオシャレな音のヌーベル・キュイジーヌ。

 粋でイナセな黒人音楽のフュージョンを、今夜穏やかな
リラックスムードのなか、お箸な気分で、全曲ペロリと平らげる。
いや、もう… 美味しいんだから!




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ