【尊重】 と 【敬意】  エッセー

例えば、本当に木から何かを受け取るため

には、目の前の木だけに意識するのではない。

もし足元に花が咲いているなら、花に気づく

ことだ。花だけではなく、認識されるすべてに

一切の隔たりなく注意を払うこと。それにより

はじめて木から何かを受け取ることができる。



心からの 【尊重】 なくして、真の感謝に在る

ことはない。同じく、すべてへの 【敬意】 が

あれば、そこに判断や区別、自己主張の入る

隙間はない。木や花が何かを与えてくれるの

ではなく、木や花に何かを求めるのでもなく、

個でありながら正しく全体性を認識し、尊重と

敬意をもって、その懐に参入するということだ。



・・・といったようなことを、4.5階の一室に住んで

いる5人姉妹のお嬢さんたちから反面教師的に

教わった。一人一人、自己顕示や自己主張が

強く誰も歩み寄ろうとしないが、楽しそうに自分

のアピールをする姿は心なしか苦しそうに見える。



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性質が性質たる性質  エッセー

あなたの眼が開かれるならば、そこには無限

に拡散された多様性 diversity と同時に、無限

に収斂された特異点 singularity が映るだろう。



それらは閉じた眼には矛盾性以外の何物でも

ないが、開いた眼にはそう映らないどころか、

それが全体性 integrality と個別性 individuality

の両性質を併せながら、なおかつ、いずれの

性質も全く認められないことを認めるだろう。



本来の性質 nature とはそういうものであり、

その上でどう在るか、を選択するということだ。



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異次元飛行日誌  エッセー

異次元飛行日誌の切れ端 ―


ふと意識が飛行訓練が始まるのを察知すると同時に、

既に見渡す限りの平原が広がる土地の上空にいた。



目を凝らすと、小高い丘に城が見えた。城というより

邸宅用の館といった趣の建物だった。整えられた庭を

降下地点に定め、ゆっくりと下降した。扉を開けると

城のホストが出迎えてくれて、晩餐会に招待された。



因みにこの場所だが、“ホスト”との会話により、どの国

のどの地域かも明確となった。だが異なるのは時代で、

およそ数百年前らしい。更にホストの話に耳を傾けた。



「今は立派なこの城もやがて住人がいなくなり、朽ち

 果てていきます。私たち家族は間もなくある出来事に

 より皆でこの世を去ることとなります。そして愛する

 この城は不吉な場所として後世に伝えられるでしょう」



踊り場の窓から外の庭を眺めながら、ホストはそう語った。

すると娘とおぼしき少女が二階からやってきて、父に何か

をねだっているようだった。父の返事にパッと明るい笑顔

を見せると、彼女は息を切らせながら階下へ降りていった。



「私たちがいかにこの世を去り、この城が衰退していく

様をありのままお見せしましょう」 ホストがそう告げると、

城内の様子が急に変わり出し、まるで時が交差するかの

ように過去と未来の流れが重なり合って映し出された。



未来に起こるであろう、目の前で展開される悲劇を直視

し続けることは耐え難く、「取り込まれないうちにここを

去ったほうがいいでしょう」 というホストの言葉に従い、

上階まで一気に駆け上がり、窓から飛んで城を離れた。



信念に盲目となった人の側面としての無慈悲な残酷さ。

それは階下から響き渡る悲鳴と叫び声が物語っていた。



上空から見下ろすと、周りの風景も城内と同じく様相が

変わっていた。見渡す限りの平原に家々が立ち並び、

町が形成され、舗装された道路もできた。だが城だけは

当時の輝きを失い、廃墟と思しき姿でひっそりと喧騒

から離れ、誰も寄せつけない雰囲気を醸し出していた。



あの少女は今でも父にドレスをねだっているだろうか。


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