2006/12/15
「八重一重」
八重一重、山も朧に薄化粧、娘盛りはよい桜花
嵐に散らで主さんに、逢うて艶めかあと悔やむ
恥ずかしいではないかいな。
「安来節」
安来千軒名の出た所、社日桜に十神山
十神山から沖見れば、いずくの船かは知らねども
セミの元まで帆を巻いて、ヤサホヤサホと
鉄積んで上のぼる。
私ゃ出雲の三津浜生まれ、若布や若布
布の葉や布の葉、おばはんこんちは、ご機嫌さん
毎度はおおきに有難うさん
あげこげさっしゃいますと、斤量の目が減りますよ
かけた若布が、コナおばはん、一貫飛んで二十四匁。
瀬田の唐橋百二十五間、栗の木松の木
欅の廊下とせいろ橋、大津の鍛冶屋と
草津の鍛冶屋が集まりて、アラ朝から晩まで
飯も食わずに打ち賃とらずに
トッチンカラリヤチンカラリンと
叩き延ばした唐金の擬宝珠
橋の上から眺むれば、しかも天下の御定紋が
水に映りて膳所の城。
嵐山、桜なければありゃただの山
あなたも実なきゃただの人。
思うて通えば、七曲がりも一曲がり
逢わず帰れば、ただの一曲がりも七曲がり。
松江名所は数々あれど、千鳥お城に嫁ヶ島。
出雲八重垣鏡の池に、映す二人の晴れ姿。
高い山から谷底見れば、娘姿の土壌すくい。
汚れどこ行く腰に籠さげて、前の小川へ泥鰌とりに。
「奴さん」
エー奴さんどちら行き、アーコリャコリャ
旦那お迎いに、さても寒いのに供揃い
雪の降る夜も風の夜もサテ、お供は辛いね
いつも奴さんは高端折り、アリャセコリャセ
それもそうかいなエー。
エー姐さんほんかいな、アーコリャコリャ
後朝の、言葉も交わさず明日の夜は
裏の窓にはわし一人サテ、合図はよいか
首尾をようして逢いに来たわいな、アリャセコリャセ
それもそうかいなエー。
「柳橋から」
柳橋から、小舟で急がせ山谷堀
土手の夜風がぞっと身にしむ衣紋坂
君を思えば逢わぬ昔がましぞかし
どうして今日はござんした
そういう初音を聞きに来た。
待乳沈んで、梢に乗り込む山谷掘
土手の合傘かたみ代わりの夕しぐれ
君を思えば逢わぬ昔がましぞかし
どうして今日はござんした
そういう初音を聞きに来た。
「柳々」
柳々で世を面白う、請けて暮らすが命の薬
梅に従い桜に靡き、その日その日の風次第
嘘も誠も義理もなし、始めは粋に思えども
日増しに惚れてつい愚痴になり
昼寝の床の憂き思い、どうした表裏の瓢箪か
仇腹の立つ月じゃえ。
私ゃ三筋で世を面白う、浮いて暮らすが命の薬
髭に従い紳士に靡く、その日その夜の金次第
世辞も手管も義理もなく、真面目で粋な主さんに
岡惚れしたが野暮らしい、忘りょうとして忘られず
どうした心か馬鹿らしい、ええ腹の立つこの写真。
「屋根の簾」
屋根の簾を下ろして急ぐ、粋な爪弾き水調子
もしやそれかと似た声の、知らぬお方の面憎や。
「矢矧の橋」
矢矧の橋は長けれど、逢うたその夜の短さよ
ヨイヨイヨイヨイヨイヤサ。
「野暮な屋敷」
野暮な屋敷の大小捨てて、腰も身軽な町住い
ヨイヨイヨイヨイヨイヤサ。
「山中節」
ハー、忘れしゃんすな山中道を
東ゃ松山、西ゃ薬師。
ハー、山が高うて山中見えぬ
山中恋しや山憎や。
ハー、送りましょうか送られましょか
せめて二天の橋までも。
「槍錆び」
槍は錆びても名は錆びぬ、昔ながらの落し差し
エーササ、ヨイヨイヨイヨイ、エーヨンヤサ。
石は錆びても名は錆びぬ、昔ながらの泉岳寺
エーササ、ヨイヨイヨイヨイ、エーヨンヤサ。
鳶は錆びても名は錆びぬ、昔忘れぬ纏持ち
エーササ、ヨイヨイヨイヨイ、エーヨンヤサ。
笛は冴えても心は冴えぬ、秋の嵯峨野に露分けて
エーササ、ヨイヨイヨイヨイ、エーヨンヤサ。
「ヤンレサホイ」
こぼれ松葉はヨ、あやかりものよヤンレサホイ
枯れて落ちても夫婦づれ、ヤンレサホイ。
木の根茅の根ヨ、草の根分けてヤンレサホイ
訪ねて逢いたい人がある、ヤンレサホイ。
いくら口説いてもヨ、張子の虎はヤンレサホイ
すました顔して首を振る、ヤンレサホイ。
なかなかヨ、なかなか逢えぬヤンレサホイ
逢えぬ仲から逢うた仲、ヤンレサホイ。
行きに寄ろうかヨ、帰りにしよかヤンレサホイ
ならば行きにも帰りにも、ヤンレサホイ。
行きに寄らんせヨ、帰りは日暮れヤンレサホイ
あらぬ噂の風が立つ、ヤンレサホイ。
お前一人かヨ、連れ衆はまだかヤンレサホイ
連れ衆ぁ後から駕籠で来る、ヤンレサホイ。
投稿者: minminmin
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