2006/12/13
「虫の音」
虫の音を、とめて嬉しき庭伝い
開ける柴折戸桐一葉、エー憎らしい秋の空
月はしょんぼり雲隠れ。
「娘道成寺」
諸行無常と夕暮れの、鐘は仏の玉の声
会者は定離と聞き捨てて、花は
花は去年の枝に咲く、月はいつでもまん丸そうな
鞠を抱えて一二の三、都育ちの艶やかさ
誰に見しょとて白粉つけて、紅は京紅小町紅
ほんのり染めて恥ずかしや、娘心のいとしらし
是生滅法煩悩菩薩寂滅為楽と謡うらん、おもしろや。
「むっとして」
むっとして、帰れば門の青柳に
曇りし胸を春雨の、また晴れてゆく月の影
ならば朧にしてほしや。
ちょっと来て、帰りしあとの一人居に
積もりし愚痴のさまざまに、また晴れて逢う文の数
ならば夫婦にしてほしや。
我が恋は、何やら足らぬ秋雨に
憂き身の傘の隠れ家へ、来て晴れてゆく胸の雲
ならば身ままにしてほしや。
ほっとして、帰れば宿の山の神
般若の面の高声に、またおまわりのお厄介
ならば静かにしてほしや。
「紫の結び目」
紫の、結び目かたき縁の糸
解けぬも色の深緑、待つに来ぬ夜も筆の先
怨み重ねし命毛も、硯の海にはまるほど
深い浅いは客と間夫、苦労するのも男ゆえ。
胸先へ、差し込む癪も縁の糸
悩むも夜半の目無し鳥、逢うに逢われぬ話が夫に
嘆き重ねし松山も、我が身の上も明け六つの
鐘に嬉しき主の顔、苦労するのも男ゆえ。
「紫の色」
紫の、色懐かしき杜若
染めて生半くよくよと、明け暮れ案じて暮らすえ。
「紫は」
紫は、江戸の花かや水道の水に
徒な浮名の色染分けて、いずれ菖蒲か杜若。
「無理な首尾」
無理な首尾して出先から、用事をつけて逢う夜さは
枕も邪魔と引き寄せて、頬に冷たき前髪の
月じゃござんせん、しらじらと時鳥。
投稿者: minminmin
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